陸上100㍍のはなし
Q.陸上競技男子100㍍で史上始めて10秒の壁を破ったのは誰でしょう。
1.カール・ルイス
2.ジム・ハインズ
3.ボブ・ヘイズ
答 2.ジム・ハインズ
陸上100㍍の歴史を見てみよう。
ベルリン五輪のJ.オーエンス(米10.3)、ローマ五輪のA.ハリー(西独10.0)、ミュンヘン五輪のV.ボロゾフ(ソ連10.14)など幾人もの名スプリンターが出ているが、もし時代を分けるならば、一つ目は手動計時から電気計時に変わったときではないだろうか。
1970年まで陸上競技の全自動電気計時のタイムは、スターターのピストル発射後0.05秒で時計が始動する取り決めになっていた。
1964年東京五輪100㍍、金メダルのボブ・ヘイズの電気計時のタイムは10.01。
競技規則の換算表によって10.0と発表された。
ちなみに3人の計時員の手動で計ったタイムは9.8、9.9、9.9だった。
限りなく9.9に近い10.0であったといえる。
1968年メキシコ五輪100㍍。
金メダルのジム・ハインズのタイムは0.05秒遅動の電気計時で9.90、「9.9」として記録に残された。
1970年に電気計時の0.05秒遅動の措置は廃止され、1975年、400㍍以下のレースの世界記録は、電気計時と手動の2本建てで公認されることになり、ハインズの9.95が世界記録として公認された。
この翌年に、日本記録もメキシコ五輪準決勝で飯島秀雄が出した10.34が公認されることになる。
そして1976年8月から、400㍍以下の記録は1/100秒単位の電気計時しか公認されないことになり現在に至っている。
メキシコは標高2000㍍の高地。
短距離や跳躍種目に当時としては驚異的な記録が生まれている。
ジム・ハインズの9.95も83年にカルビン・スミスが9.93の世界記録を出すまで不倒の世界記録として君臨していたほか、ボブ・ビーモンの走り幅跳び8㍍90も91年東京世界陸上でマイク・パウエルが8㍍95を出すまで残っていた。
カール・ルイスが世界にデビューしたのは1983年、第1回のヘルシンキ世界陸上であった。
23歳のルイスは100㍍を10.07で優勝、走り幅跳び、4×100㍍リレーと合わせて3冠を達成した。
当時の世界陸上は4年おきに五輪の前年に開催されており、翌84年のロサンゼルス五輪でルイスは、100㍍の9.99のほか、200㍍、走り幅跳び、4×100㍍リレーでベルリン五輪のジェシー・オーエンス以来の4冠を達成し、ルイス時代の幕を開けたのである。
●五輪・世界選手権の男子100㍍の優勝者
現在の世界記録9.77/A・パウエル(ジャマイカ)
83年 ヘルシンキ世界陸上 カール・ルイス(米)10.07
84年 ロサンゼルス五輪 カール・ルイス(米)9.99
87年 ローマ世界陸上 カール・ルイス(米)9.93
88年 ソウル五輪 カール・ルイス(米)9.92
91年 東京世界陸上 カール・ルイス(米)9.86
92年 バルセロナ五輪 リンフォード・クリスティ(英)9.96
93年 シュツットガルト世界陸上 リンフォード・クリスティ(英)9.97
95年 イエテボリ世界陸上 ドノバン・ベーリー(加)9.97
96年 アトランタ五輪 ドノバン・ベーリー(加)9.84
97年 アテネ世界陸上 モーリス・グリーン(米)9.86
99年 セビリア世界陸上 モーリス・グリーン(米)9.80
00年 シドニー五輪 モーリス・グリーン(米)9.87
01年 エドモントン世界陸上 モーリス・グリーン(米)9.82
03年 パリ世界陸上 キム・コリンズ(セントクリストファー・ネイビス)10.07
04年 アテネ五輪 ジャスティン・ガトリン(米)9.85
ローマの世界選手権、ソウル五輪ではベン・ジョンソンがそれぞれ9.83、9.79で1位でゴールしているが、ドーピングが発覚、金メダルは没収され、2位以下が繰り上が っている。
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Comments
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Posted by: 松原茂章 | April 25, 2005 09:11 AM
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Posted by: 管理人 | April 26, 2005 07:37 PM