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November 09, 2004

金メダルをめざすフィギュア女子②

フィギュアスケートのNHK杯女子は昨季の世界チャンピオン荒川静香が優勝した。
2位には昨季の世界ジュニアチャンピオン安藤美姫が入った。

国際スケート連盟は、毎年グランプリシリーズを開催している。
スキー競技のW杯、陸上のグランプリを思い浮かべていただければいい。
世界のトップの選手が各地を転戦しながら総合優勝を決めるというシリーズ。
昨年は村主章枝が優勝している。
今年は、次のような大会開催が予定されており、開催地の次の名前は出場(予定)の日本人選手。すでに終わった大会には順位を入れてある。

アメリカ大会 SMART ONE SKATE AMERICA/ピッツバーグ/安藤③ 太田⑦
カナダ大会 MASTERCARD SKATE CANADA INTERNATIONAL/ハリファクス/恩田② 村主④ 中野⑪ 
NHK杯 NHK TROPHY/名古屋/荒川① 安藤② 太田④
中国大会 CUP OF CHINA/北京/安藤 太田
フランス大会 TROPHEE ERIC BOMPARD CACHEMIRE/パリ/荒川 村主 高橋
ロシア大会 CUP OF RUSSIA GALLIA BLANCA/モスクワ 荒川

そしてグランプリファイナル が再び北京で行われる。
ファイナルはロシア大会までのGP得点の上位6人が出場する。ここで表彰台に立てばトリノ五輪の出場枠がかかるモスクワ世界選手権(05年3月)代表内定の可能性もあり、激しい争いが続きそうだ。

グランプリファイナルは賞金大会であり
1位 25000㌦
2位 18000㌦
3位 12000㌦
4位  6000㌦
5位  4000㌦
6位  3000㌦
が、男子、女子、ペア、アイスダンスのそれぞれに贈られ、総額は272,000㌦にもなる。


ソルトレークシティ五輪のフィギュアスケートペアでは、採点不正疑惑から金メダルが2組出たことは記憶に新しい。
また、女子では自分の演技終了まで1位にいたクワンが、スルツカヤの演技終了後3位に、2位にいたヒューズが金メダルを獲るという(他競技から見れば)珍現象が起き、物議を醸した。
この五輪を機会に国際スケート連盟はこれまでの伝統的な6.0方式の採点方法をやめることにし、今季からは全く新しい採点方式を導入されている。

ソルトレークシティ五輪女子
SPはショートプログラム FSはフリー[ ]は順位 ( )は順位点

<スルツカヤ演技前>
M・クワン  SP [1](0.5) FS[2](2.0) 総合[1](2.5)
S・ヒューズ SP [4](2.0) FS[1](3.0) 総合[2](3.0)

<最終順位>
S・ヒューズ SP [4](2.0) FS[1](1.0) 総合[1](3.0)
スルツカヤ SP [2](1.0) FS[2](2.0) 総合[2](3.0)
M・クワン SP [1](0.5) FS[3](3.0) 総合[3](3.5)

SPの順位点は順位に0.5をかけ、FSの順位点は順位に1をかける。
ヒューズとスルツカヤはFSの上位のヒューズが上位に来る。

一方、新しい採点方式は、演技中から得点がどんどん出るシステムであり、ジャンプ、スピン、フットワーク等々、個別要素別採点になる。

個々のフィギュアの構成要素に対し、エレメントベースバリュー(要素の基本的価値)というポイントが設定されている。これは世界TOPクラスのスケーター、コーチ、役員で競技して決められている。
スケーターが演技をすると、テクニカル・スペシャリスト(技術専門家)がどのエレメントを演技したのか判定する。ジャッジはそのエレメントに対する基礎(価値)点に対し、演技の出来不出来を+3~ー3点の間で増減することができる。ぐらつき、着氷、高さの有無などがの得点は演技終了後にまとめてではなく、審判席の前にあるコンピューターに随時入力される。

そして全ての演技終了後に①スケーティングスキル、②スムーズな流れ、③演技の出来、④振り付け、⑤解釈の要素が採点される。

審判団はこの新システムでは相対比較の必要が無くなり、目の前の演技だけを客観的に採点できるようになる。これによりジャッジは個々の技術点や全体としてのプログラム要素に集中できるのである。

そして、新方式では積み上げ方式での絶対価値が与えられるようになるので、複数スケーターの差の大小が明確になるばかりではなく、得点が統計的価値をもつようになるので、そのスケーターの過去の最高得点より今回は良いのか悪いのかと言った時系列比較ができるようになったり、世界記録やオリンピック記録が絶対価値得点として意味を持つようになります。
NHK杯でも得点に対し「パーソナルベストです」と場内アナウンスがあった。
これまでの競技生活の中で客観的に最高の演技であると評価されたことと同じ意味を持つ。

最後にNHK杯優勝者のそのシーズンの五輪・世界選手権の優勝者を紹介する。同じシーズンでも五輪、世界選手権はNHK杯の翌年になるので注意。

1995年 陳露(中国) (世)クワン
1996年 ブッテルスカヤ(ロシア) (世)リピンスキー
1997年 シェフチェンコ(ドイツ) (世)クワン (五)リピンスキー
1998年 マリニナ(ウズベキスタン) (世)ブッテルスカヤ
1999年 ブッテルスカヤ(ロシア) (世)クワン
2000年 スルツカヤ(ロシア) (世)クワン
2001年 マリニナ(ウズベキスタン) (世)スルツカヤ (五)ヒューズ
2002年 恩田美栄 (世)クワン
2003年 村主章枝 (世)荒川静香
2004年 荒川静香 (世)?


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