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November 18, 2004

福岡ダイエードームなんてどう?命名権

今年で最後となるトヨタカップが12月12日に横浜国際総合競技場で開催される。
対戦カードはFCポルト (ポルトガル)対 オンセ・カルダス (コロンビア)。

横浜国際は、ご存知2002年FIFA W杯の決勝の行なわれたスタジアムだが、来年から「日産スタジアム」と名前を変える。
これは横浜国際総合競技場の命名権を日産自動車が取得したためだ。契約は2005年から5年間、取得額は20億円といわれている。
そして日産自動車は2010年までに本社を銀座から横浜に移す予定である。

日本国内での大規模スタジアムの命名権売却は(神戸グリーンスタジアム→YAHOO BBスタジアム 04年で終了)、(東京スタジアム→味の素スタジアム)についで3例目となる。

命名権はサッカー競技場や野球場の名称に企業の社名や商品名をつけられる権利のことをいう。
70年代に米国で生まれた。施設所有者らは名前をつける権利を売ることで、施設運営費などを稼ぎ出す。
施設を所有する企業や利用企業の社名が球場などについている例は日本でもあるが、命名権ビジネスではまったく関係ない企業の社名がつくところが特徴だ。
SAFECOFieldlogo.jpg
最近の一番の成功例が大リーグ、シアトル・マリナーズの本拠地セーフコ・フィールドだろう。同球場はイチロー、長谷川の活躍で日本でもすっかり有名になった。
セーフコはシアトルに本社がある保険持ち株会社で、契約内容は99年の球場オープンから20年間、総額4千万ドル(約49億円)に及ぶ。
マリナーズの活躍で、ビジネス基盤が弱い東海岸や、日本など海外にも大きく社名が宣伝された。年間200万ドル(約2億5千万円)は十分元が取れている。

FC東京、東京ヴェルディのホームスタジアムである味の素スタジアム。
東京都、調布市などが出資する第三セクター方式でオープンした。
東京都は建設費約370億円を負担したが、完成後は「完全な独立採算」とし、援助していない。そこで命名権の販売となった。

命名権の価格は「10年単位契約で年間5億円」。米国の相場を考えても「妥当な価格」といわれている。ただ、税金で造った施設だけに、スポンサー企業の絞り込みに当たっては(1)企業イメージ(2)健全経営(3)市民の了解 などを重視せざるを得なかった。
一度つけた名前を何度も変えられないという制約もある。その中で命名されたのが「味の素スタジアム」である。

229センチの中国人センター姚明を擁するNBAヒューストンロケッツ
ロケッツの本拠地は今年からトヨタセンターになった。
北米でBIGスリーを凌駕するトヨタが、さらなる販売増加を狙っているとも見られるが、本当の狙いは中国にある。
中国でもNBAは大変な人気で、ロケッツの試合は生中継されており、試合の度に中国のテレビから「TOYOTA 豊田」が連呼されることを狙いとしている。

来季からのパリーグに新規参入する東北楽天ゴールデンイーグルス。
オーナーの三木谷社長は県営宮城スタジアムの命名権販売を知事相手に交渉している最中である。
また、ドイツサッカーブンデスリーガ高原の所属しているハンブルガーSVのホームスタジアムは世界的な通信会社AOLの名を冠したAOLアリーナ。
この手の話は連日報道されている。

もっとも、企業側が命名権に飛びつくかどうかは未知数である。
ジェフ市原が千葉市に作る新スタジアムに名乗りを挙げた企業はなかったと聞く。
宣伝効果がどれほどあるか、本拠チームの成績不振や移転問題といったリスクも計算に入れる必要がある。
スポーツ人気が高まる一方で、景気の先行き不安から自治体の財政負担軽減が問題となっている。命名権ビジネスは一大マーケットに育つ可能性もある

さて、福岡ダイエーホークスはダイエーが所有していた球団株98%(2%は中内氏所有)をソフトバンクに売却する。
16年間続いたダイエーホークスの名前が消えることになるが、ダイエー本社は福岡ドームの命名権を買ったらどうだろうか。コロニーキャピタルとの複雑な関係はさておき、『福岡ダイエードーム』なんてどうだろう。


□■大リーグの主な命名権ビジネス

チーム名
スタジアム名 開始年
総金額 契約年数 スポンサー企業業種

アナハイム・エンゼルス
エディソン・インターナショナル・フィールド・オブ・アナハイム 1998年~
5000万㌦ 20年 エネルギー

アリゾナ・ダイヤモンドバックス
バンクワン・ボールパーク 1998~
3300万㌦ 30年 金融

ヒューストン・アスレチックス
ネットワーク・アソシエーツ・コロシアム 1999年~
600万㌦ 5年 情報通信

コロラド・ロッキーズ
クアーズ・フィールド 1995年~
1500万㌦ 10年 ビール
 
サンディエゴ・パドレス
クアルコム・スタジアム 1997年~
1800万㌦ 20年 情報通信
 
サンフランシスコ・ジャイアンツ
パシフィックベル・パーク 2000年~
5000万㌦ 24年 情報通信

シアトル・マリナーズ
セーフコ・フィールド 1999年
4000万㌦ 20年 保険

シンシナティ・レッズ
シナジー・フィールド 1998年~2002年 球場取り壊し
600万㌦ 5年 エネルギー

シンシナティ・レッズ
グレートアメリカン・ボールパーク 2003年~
7500万㌦ 30年 保険

タンパベイ・デビルレイズ
トロピカーナ・フィールド 1996年~
4600万㌦ 30年 飲料
 
デトロイト・タイガース
コメリカ・パーク 2000年~
6600万㌦ 30年 金融

ピッツバーグ・パイレーツPNCパーク 2001年~
3000万㌦ 20年 金融

フロリダ・マーリンズ
プロプレーヤー・スタジアム 1996年~
2000万㌦ 10年 アパレル

ミルウォーキー・ブリュワーズ
ミラー・パーク 2001年~
4100万㌦ 20年 ビール


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