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June 06, 2005

野球をやめてラグビーを正式種目にしよう 夏季五輪

アメリカの著名スポーツ誌「スポーツイラストレーテッド」で5月24~27日にかけて行っていた夏季五輪から除外したい種目、加えたい種目のアンケートがまとまった。

 

それによると除外したい種目は、 シンクロナイズドスイミング...........32%
新体操................29%
野球..................................23%
近代5種競技....................8%
テコンドー................................8%

 

加えたい種目は、 ラグビー.......................................38%
ゴルフ..........................................29%
空手......................................22%
スカッシュ....................................6%、
ローラースポーツ..............................5%
といった結果が出た。

 

_40008944_harlandwin270最初に不人気種目を除外し、世界的にも人気の種目を加えようとの案が、IOC理事会で出たのは2002年のことだった。
IOCプログラム委員会が提案したのはゴルフとラグビー。そして野球、近代5種競技とソフトボールを廃止しようと提案した。

 

ポロ(馬上でやるホッケー)が1936年のベルリン五輪を最後に廃止されたあと、五輪から排除される競技はなかった。そのため、夏季五輪の規模会を重ねるごとに大きくなった。
IOCが3年前、夏季五輪の参加選手の総数を最大10,500としたが、アテネ五輪に実際は11,099選手が参加。
1984年のロサンゼルス五輪の6,802選手から、20年で63%の増加となっていた。

 

この間、7競技が新たに正式種目となった。テニス、卓球(1988年~)、バドミントン、野球(92年~)、ソフトボール(96年~)とテコンドー、トライアスロン(2000年~)。
さらに女子柔道(1992年~)、女子サッカー、ビーチバレー(96年~)、トランポリン(2000年~)、女子レスリング(04年~)のように既存の競技に種目が増やされていった事実もある。

 

「世界最大のスポーツの祭典」の称号をサッカーW杯に譲りたくないために、人気種目の確保に努めているとの見方もある。

 

昨年のアテネ五輪で存続が厳しいとされた競技がどのような評価をされていたか当時の共同通信の記事から見てみよう。

 

存続厳しい野球、ソフトボール[2004/8/30/共同通信]
アテネ五輪の競技会場では、国際オリンピック委員会(IOC)プログラム委員会の14人のメンバーが、28競技を分担してそれぞれの実施状況に目を光らせた。IOCは来年7月の総会(シンガポール)で、五輪実施競技を見直す方針を固めている。その際の判断材料となる報告書をまとめるためだ。

 

大会では観客の入り具合や試合の盛り上がりをチェック。さらに開幕直前の総会で採択された「評価基準」に沿って、各競技の普及度、実施費用、競技会場の後利用など計33項目を点検し、最終的に各競技を得点化して比較する。フェアウェザー競技部長は「五輪招致都市に対する評価委員会の報告書のような形態になると思う」と話した。

 

欧州でなじみの薄い野球、ソフトボールにとって、アテネでの開催は逆風だった。地元ギリシャの人々の関心は薄く、地中海の強烈な日差しにさらされるスタンドが満員になることはなかった。野球の本家、米国は米大陸予選で敗れて出場できず、プロ野球選手で固めた日本の「ドリームチーム」は準決勝で敗れた。
野球を視察したプログラム委員は「試合時間が長いのが何よりの問題。大会後、このスタジアムを使って地元で野球を普及させようという姿勢も感じられなかった」と厳しい評価だった。

 

近代五輪の父、クーベルタン男爵が発案した近代五種は、五輪の伝統競技の「地位」を活用して、着実に足場を固めている。「最終日は満員で、入りきらない観客が出たほど。盛り上がったし、多くのIOC委員が見に来てくれた」とショーマン国際近代五種連合(UIPM)会長。2年前から削減対象に挙がる3競技が、明暗を分けている。(引用以上)

 

この流れから行くと、野球、ソフトボールの実施は2008年北京が最後かと思われた。
ところが、野球をなんとしても五輪に残したい日本などの強力なキャンペーンによって状況は変わってきたようだ。

 

野球、ソフトボールの五輪存続が有望に[2005/4/20/共同通信]
国際オリンピック委員会(IOC)は20日、12年夏季五輪で実施される28競技を見直す7月のIOC総会(シンガポール)での投票手順などを発表した。
各競技は過半数の賛成で存続が決まり、削減がない場合は新競技採用の検討に入らない。投票は1競技ごとに無記名で行われる。3年前に削減対象に挙がった野球、ソフトボール、近代五種についても他競技と同じ扱いで、存続決定に必要な票数が過半数と比較的ハードルが低く設定されていることから、日本が存続を希望している野球、ソフトボールには有利な審議方法といえる。

 

IOCは昨夏のアテネ五輪での調査結果などをもとに7月8日に投票。削減競技があった場合、理事会はゴルフ、ラグビー(7人制)、空手、ローラースケート、スカッシュから新採用競技を選び、9日の総会に提案する。ただ新採用には3分の2以上の賛成が必要で、可決されない場合は実施競技数が現在の28を下回る可能性もあるという。 (引用以上)

 

五輪が肥大しすぎているとは誰しもが感じていることだろう。
果たして、テコンドーが五輪に必要かどうか、先に失脚した金雲龍元IOC副会長がいなかったら、現在でも正式種目ではなかっただろう。非常に政治的な駆け引きが水面下であったのである。

 

また、五輪から排除されることは、世界最大の競技のステージで参加する名声と、相当な財政的報酬の損失を意味する。 アテネ五輪でのテレビ収益からIOCは、各競技団体に合計2億5600万ドルを配分することに成功した。さらに人気と規模によって金額は異なり、最大の陸上競技には2570万ドルが、水泳(競泳、飛び込み、シンクロナイズドスイミングと水球)、バスケットボール、自転車、体操、サッカー、テニスとバレーボールにはそれぞれ1250万ドルが配分された。
このIOCから資金提供は、いかに潤沢なプロを抱えるバスケットボールやテニスといえども競技の普及や発展のために貴重な金額であり、五輪の舞台から降りたい競技団体は存在しないのである。

 

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Comments

ラグビーはW杯があるし、ゴルフも4大タイトル
があるから、五輪種目になってもそれが世界
一を決める大会にはならない。ただ、マーケテ
ィング上はIOCにも競技団体にもメリットがある
ということですよね。

Posted by: tomozo | June 09, 2005 01:35 PM

そうですね。
私はラグビーもゴルフも野球も五輪種目にふさわしくないと思いますが…。
ゴルフが正式種目になっても今のテニスのようにトップの選手は参加しないのでは。
でも、宮里藍が五輪に出たら、その注目度、商業的価値は福原、北島級になるんで
しょうね。
でも宮里本人が五輪に出たいか、ゴルフ協会がそれを望むかはまた別でしょう。

Posted by: 管理人 | June 10, 2005 10:30 AM

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