2/1000秒差の接戦
先日の陸上日本選手権。女子走り幅跳びは池田久美子と花岡麻帆が、まれに見る激戦を演じた。1、2番目の記録で並び、3番目の記録で3センチ上回った池田が制した。
跳躍距離ではなく、タイムを競う競技ではもっと僅差の戦いもある。
1972年ミュンヘン五輪。
この大会から電気計時が陸上・競泳では本格的に導入され、それぞれ1/100秒までのタイムが計測、公表されることになった。そのため予期せぬ事態も起こった。
ミュンヘン大会の競泳といえばアメリカのマーク・スピッツが話題を独り占めした。
100m自由形、200m自由形、100mバタフライ、200mバタフライ、4×100mリレー、4×200mリレー、4×100メドレーリレーの7種目で金メダルを獲得。この4年前のメキシ大会での金メダル2個と合わせて9個の金メダルはカール・ルイスと並ぶ史上2位の金メダル獲得となる。昨年のアテネ大会でマイケル・フェルプスが6個の金メダルを獲得したが、スピッツに並ぶことはできなかった。
ミュンヘン大会の400m個人メドレーは、スウェーデンのグンナール・ラーションが金メダルを獲得。200m個人メドレーと合わせて2冠を達成した。
ラーションは、4種目の自由形になってアメリカのティム・マッキーと壮絶なデットヒートを続け、場内の観衆にも、テレビで見ていた人にも同時にタッチしたかに見えた。
記録の表示される会場の電光掲示板に視線が集まった。4分31秒98 ラーション、マッキー2人とも同じ数字が並ぶ。しばらく止まったままだった。
そして、ラーション4分31秒981、マッキー4分31秒983。
場内は一瞬おいて、ハチの巣をつついたような騒ぎとなった。
わずか2/1000秒差。
ラーションの金メダル、マッキーの銀メダルが確定した。
先述のように電気計時に大会運営側が慣れていなく、1/1000秒台で勝負が決まることを想定していなかったのだ。
その後ルールは改正され、1/100秒まで同タイムの場合は、同着とされた。
1984年ロサンゼルス大会、女子100mの自由形。
金メダル争いを演じたナンシー・ホグスヘッドとキャリー・スタインサイファー(どちらもアメリカ)のタイムは55秒92と発表され、両者に金メダルが贈られている。
400m個人メドレーの場合、2/1000秒差というと3ミリ位の差でしかない。
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