北朝鮮旗手入場 ところがスクリーンには韓国旗が…
第11回世界水泳選手権モントリオール大会の開会式が16日夜、当地のジャン・ドラポー公園内の競泳会場で行われた。
参加国・地域の旗手が会場に続々と入場してきたとき、そのハプニングは起きた。
北朝鮮の旗手が入ってきたにも関わらず、会場内の2つの大型スクリーンに映し出された国旗は韓国旗(太極旗)だったのである。
モントリオールの人々にとって、太平洋の彼方の分断国家のことは、よく理解できていないのだろうか?
南北対峙から親北へ、韓国の対北政策が大きく変化しているとはいえ、両国のプライドを大きく傷つけるハプニングだった。
とはいうものの日本でも全く同じ事をしたことがある。
1986年の第1回札幌冬季アジア大会、日本の提唱で開催されたこの大会、アイスホッケーの試合前の国旗掲揚で、組織委員会は韓国と北朝鮮の国旗を全く逆に掲揚した。
国際競技会に慣れているはずの札幌で、しかも隣国の旗を間違えたのだ。
ご存知のようにアメリカも日本も北朝鮮と国交を持っていない。
ところが、アメリカの隣国カナダは、2001年2月6日北朝鮮と正式に国交を樹立している。両国とも相手国に公館は設置していないが、全てにアメリカ追従ではなく、独自の外交姿勢をとるカナダらしさが出ている。
補足するならば、イギリスは2000年10月、ドイツは2001年3月に北朝鮮と国交を樹立しており、イタリア、オーストリア、デンマーク等も正式国交を持つ。
欧州の大国の中で未だ北朝鮮と国交を持たないのはフランスなどしかない。
モントリオール市は世界水泳選手権開幕まで、紆余曲折を踏んで来た。
招致レースに勝ち大会開催が決定したものの、組織委員会はローカルスポンサー企業からによる1200万カナダドルを集めることができなかった。そのため国際水連(FINA)は、モントリオール市に大会返上を迫った。それによって組織委員会の会長が自殺するというな悲しい事件も発生した。
アテネ、ベルリン、モスクワの中から代替開催地決定の投票が間近になったとき、モントリオール市長ラロルド・トランブレーはFINAにどんな予算上の不足でもカバーするとの保証を提唱した。そして、モントリオールでの世界水泳開催が再び確定した。
この大会は3850万ドルの予算が組まれている。そして、それの1600万ドルはカナダ政府、ケベック州政府、モントリオール市によって拠出されている。
組織委員会はスポンサー企業から850万ドルを集め、チケット販売で550万ドルの売り上げを見込んでいる。
大会公式サイトには、スポンサー企業と並んで、カナダ政府、ケベック州政府、モントリオール市の英字ロゴも並んでいる。
思い起こせば、1976年のモントリオール五輪は、商業主義五輪になる以前の国家主導型五輪であり、大会組織委員会は大幅な赤字を残し倒産した。
モントリオール市民はその負担を21世紀まで税金として払い続けると揶揄されたものだった。
21世紀になって5年、モントリオール市民はまた新たな税金を払い続けるのだろうか…。
●参考リンク
日本代表決定 世界水泳
世界水泳選手権 開催返上へ
The comments to this entry are closed.
Comments