陸上女子の永遠に破ることのできない世界記録
世界陸上ヘルシンキ大会が始まった。
昨夜TBSの中継を見たが、男子100mの2次予選など生中継で放送していた。
録画の部分も多いのだが、2003年、2001年と評判の悪かったところが少し改善されているようだ。
さて、陸上競技の、特に女子の世界記録を見ると、1980年代に出された記録が今なお残っていることに気づくだろう。
旧ソ連や旧東ドイツの組織的なドーピングの残滓であるとみる。
下の表は女子の陸上世界記録と今季のベスト3である。
●陸上女子の永遠に破られない世界記録
<100m>
世界記録 FG・ジョイナー(アメリカ) 10.49 1988年
2005年ランキング
(1)10.84 Chandra Sturrup (バハマ)
(2)10.91 Lauryn Williams (アメリカ)
(3)10.94 Christine Arron (フランス)
<200m>
世界記録 FG・ジョイナー (アメリカ) 21.34 1988年
2005年ランキング
(1)22.13 Allyson Felix (アメリカ)
(2)22.22 Rachelle Boone-Smith (アメリカ)
(3)22.27 Lauryn Williams (アメリカ)
<400m>
世界記録 M・コッホ (旧東ドイツ) 47.60 1985年
2005年ランキング
(1)49.28 Sanya Richards (アメリカ)
(2)49.69 Tonique Williams-Darling (バハマ)
(3)49.80 Svetlana Pospelova (ロシア)
<走り幅跳び>
世界記録 ガリナ・チスチャコワ (ソ連) 7m52 1988年
2005年ランキング
(1)7m04 Irina Simagina (ロシア)
(2)6m96 Tatyana Kotova (ロシア)
(3)6m92 Concepción Montaner (スペイン)
100m・200m・400m・走り幅跳びは永遠に破られることのない世界記録と言われている。
ジョイナーの100・200mの世界記録はソウル五輪直前とソウル五輪で出されたもの。
この4年前には全く普通の選手だったジョイナーが、1988年に急激に強くなった。
覚えているだろうか、ド派手な化粧もドーピングによる身体の変化を隠すためともいわれている。
心臓を患い若くして急死している点もドーピングの噂を否定できないところだ。
100m今季1位の10.84も速いがジョイナーの10.49は昨日の朝原のタイム並。
今の時代、100mは11秒切れればメダルの有力候補になる。
マリタ・コッホ。
ある意味この人は東ドイツの完成させた究極のアスリートだったといえる。
400mの世界記録を作ったとき既に28歳。
10年以上世界のトップで活躍した大選手だ。
五輪金メダルはモスクワ大会の400mのみだが、間違いなく80年代を代表する女子選手といえる。
東ドイツが1968年から1988年までの五輪で獲得した金メダルは154個。
日本が五輪初参加以来獲得した金メダル98個(ともに夏季のみ)を大きく上回る。
だが、旧東ドイツの女子選手への薬物投与は明らかになっているところで、有罪になった者も多く出ている。
被害者の選手達は、自分が知らないうちに、ビタミン剤などと言われて禁止薬物を飲まされ、その後遺症に今だに悩まされていると言われている。
コッホが「クロ」であるという話はないが、49秒すら難しい400mで47.60を20年前に出したコッホ。
皆さんはどう考えるだろうか。
テニスのS・グラフがジュニア時代に陸上でも才能を高く評価されていながら、テニスを選んだことについて
「陸上は今後ドーピングなしで記録を伸ばせるか疑問だった…」
と言い辛そうにインタビューに答えていたことがあったことを最後に付け加えておこう。
●参考リンク
陸上女子の永遠に破ることのできない世界記録 (中国人選手編)
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Comments
はじめまして。
久しぶりに面白いブログを発見して
うれしく思います。
ドーピングで出せる記録は
鍛錬で出せるようになる、
そんな根拠のない感覚が、
かつて毎日泳いでいたころの記憶から
感じられます。
破られる日が来ると、それはそれは
興奮ものでしょうね。
Posted by: まう | August 09, 2005 10:10 PM
コメントありがとうございます。
ボブビーモンの高地記録も、ベンジョンソンのドーピング記録も今では過去のものになりました。
いつしかジョイナー等の記録も超えられるときが来ることを願います。
Posted by: 管理人 | August 11, 2005 10:27 AM