500m金メダルタイムの推移
11月19日に加藤条治がスピードスケート男子500メートルで34秒30の世界新を樹立した。続く20日にも500mで優勝し、一躍トリノ五輪の金メダル候補に躍り出た。
会場となったソルトレークシティのスピードスケート会場は高速リンク。
五輪期間中、何度も何度も聞かされた言葉だが、ソルトレークのスケート会場は2000mを越す高地の室内リンク。空気抵抗が薄く、高記録が出やすいと言われている。
五輪で室内リンクが初めて使われたのはカルガリー五輪。それまで、天候に泣かされてきたスピードスケートにとって革命的なリンクであった。
好記録が出やすい点と、天候によるスケジュール変更があり得ない点が、テレビ放映に歓迎された。
●スピードスケート男子500m歴代10傑 全ての記録がカルガリーかソルトレークシティで出されている
1.加藤条治 (日本) 34秒30 2005年11月20日 ソルトレークシティ
2.清水宏保 (日本) 34秒32 2001年3月10日 ソルトレークシティ
3.J・ウォザースプーン (カナダ) 34秒37 2003年12月6日 ソルトレークシティ
4.C・フィッツランドルフ (アメリカ) 34秒42 2002年2月11日 ソルトレークシティ
5.D・ロブコフ (ロシア) 34秒51 2003年12月13日 ソルトレークシティ
6.イ・カンソク (韓国) 34秒55 2005年11月20日 ソルトレークシティ
7.M・アイルランド (カナダ) 34秒58 2004年1月02日 カルガリー
8.G・ファン・ベルデ (オランダ) 34秒59 2003年12月6日 カルガリー
8.ユ・フェントン (中国) 34秒62 2005年1月22日 カルガリー
10.武田俊樹 (日本) 34秒62 2001年12月9日 カルガリー
以下、札幌五輪以降の男女の500mの優勝タイムを見て欲しい。
基本的に近年になるほど、そのタイムは良くなってきている。
レークプラシッドの5冠王ハイデン。彼は、五輪記録を1秒以上縮め、4年後のサラエボでもその記録は破られなかった。
ハイデンの記録が当時としては超人的だったのも事実だが、サラエボの500mの当日、リンクには吹雪が舞い、何と競技開始時間が6時間も遅れている。
日本のエースでメダル候補だった黒岩彰は、その6時間中多くのマスコミを引き連れ、すっかり精神状態を乱し、惨敗した。そうした荒れた環境下でのレースだったため、優勝タイムもハイデンの記録を下回っている。
最初の本格的な室内リンクで行われたカルガリー五輪で優勝したメイのタイムも、当時としては驚異的な36秒台であるが、メイ自身が屋外で行われたアルベールビル五輪でこの種目連覇した際に、カルガリーでの記録は破ることができなかった。
そして、長野五輪の前年、突如現れたスラップスケート。
ジャンプ競技でいうV字飛景のようにあっという間に主流になったのである。
●スピードスケート 500m優勝タイムの推移
1972年 札幌五輪
男子 ケラー(西独)39.44
女子 ヘニング(米)43.33
1976年 インスブルック五輪
男子 クリコフ(ソ連)39.17
女子 ヤング(米)42.76
1980年 レークプラシッド五輪
男子 ハイデン(米)38.03
女子 エンケ(東独)41.78
1984年 サラエボ五輪
男子 フォキチェフ(ソ連)38.19
女子 ローゼンブルガー(東独)41.02
1988年 カルガリー五輪
男子 メイ(東独)36.45
女子 ブレアー(米)39.10
1992年 アルベールビル五輪
男子 メイ(ドイツ)37.14
女子 ブレアー(米)40.33
1994年 リレハンメル五輪
男子 ゴルビョフ(ロシア)36.33
女子 ブレアー(米)39.25
1998年 長野五輪 長野以降2日間に2回滑ることになる
男子 清水宏保(日)1分11.35
女子 ルメイドーン(カナダ)1分16.60
2002年 ソルトレークシティ五輪
男子 フィッツランドルフ(米)1分09.23
女子 ルメイドーン(カナダ)1分15.64
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