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November 11, 2005

日本招致危うし 2011年ワールドカップ

11月8日のことだ。ラグビーの2011年W杯日本招致委員会の森喜朗会長は、招致実現の可能性について「見通しは極めて厳しい」と述べた。
開催国は17日にアイルランドのダブリンで開く国際ラグビーボード(IRB)理事会の投票で決まる。

投票権を持つのは13カ国・地域協会の理事計19人で合計24票。
イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、フランス、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ共和国の8カ国はIRBの創設者協会(ファンデーションユニオン)として2票ずつ持つ。
イタリア、アルゼンチン、カナダ、FIRA(他のヨーロッパ諸国の連合)、CAR(アフリカ諸国の連合)、FORU(他のオセアニア諸国の連合)と日本、ARFU(日本を除くアジア諸国の連合)7は各々1票ずつ持つ。
最初の投票で1国を落とし、残った2国で決選投票を行う。

当初、日本有利と伝えられていた招致レースだが、現在は南アフリカが本命とされている。
というのも南アフリカ政府が財政保証をするというのだ。
1億6300万ドル(約191億3300万円)という巨額の収益を政府が保証している。おそらく大会収支がここまで黒字が出なかったとしても不足分は政府が保証してIRBに払うというものだろう。
さらに南アフリカは経度的に欧州と変わらないため、時差がなく、テレビ放映権料などの面で日本とニュージーランドをリードしている。

昨年、IRBのミラー事務局長が来日した際、「W杯開催の条件」として次の5つを提示している。
(1)収益性
W杯の収益をその後4年間、およそ100か国のIRB加盟国への育成補助金として活用する
(2)観客動員
ラグビーのプロモーションのためにもスタジアムには必ず多くの観客が入っていること
(3)インフラの整備
国際大会を開催できるインフラが十分整備されていること
(4)警備
滞在チームが安心して参加できる環境にあること
(5)政財官界からのサポート
その国の政財官界から支援を受けていること

日本の場合、今振り返ってみると1・2・5については弱い。
ラグビー人気が低迷している今、スタジアムが満員にならない。サッカーW杯を開催したスタジアムを中心にスタジアムは十分揃っているのだが、スタジアムが満員にならないことには収益は上がらない。5の政財官界からのサポートが政府による財務保証という意味であるとは、関係者は判っていただろうか。
過去いおいて日本で開催された国際競技大会で、政府による財務保証がされたことは果たしてあるのか?
札幌市が2007年に開催する世界ノルディック選手権、競技者、テレビ視聴者ともに欧州中心のこの競技において、欧州時間に合わせた競技時間の設定と、テレビ放映権が高く売れない際に、SAJがある線まで金銭を保証するという約束はしていたはずだが、国による財政保証とは聞いたことがない。

 

国際ラグビー機構(IRB)に提出した報告書で、日本の問題点として挙げられたのは、
(1)国際的なラグビーイベント開催の経験が少ない
(2)観客動員への懸念
(3)欧州との時差
であったという。
これに対し日本側は、夏冬合わせて3度の五輪やサッカーW杯の開催経験を持つことなどを挙げて反論した。
アイルランドラグビー協会がサイト上で、2011年開催国にどこがふさわしいかアンケートを実施したところ、日本がトップの62%(1649票)集めたという。ニュージーランドは25%(669票)、そして、南アフリカは12%(341票)に過ぎなかったそうだ。

IRBの本部はアイルランドのダブリンにあり、一般世論はラグビーの世界的広がりに期待している=日本開催に賛成なことも間違いないと思う。

7月の2012年夏季五輪開催地決定の際には、本命といわれたパリをロンドンがひっくり返したことは記憶に新しい。
そのときはセバスチャン・コーという往年の陸上界の大スターのプレゼンテーションが効果的だったといわれている。
日本のラグビー界にこうしたスターはいない。
平尾? 大八木?世界的には誰も知らないだろう。
2010年サッカーW杯に続いて南アフリカにビッグイベントをさらわれてしまうのだろうか。

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