荻原健司の当選の可否が日本の夏季五輪招致成功の鍵を握る
トリノ五輪で競技以外に楽しみにしていることがある。
IOC選手委員会選挙だ。
ノルディック複合五輪金メダリストの荻原健司氏が、4年前に続いて立候補している。
IOC選手委員は、五輪出場選手の投票によって現役の選手または出場経験者の中から12人(夏季8、冬季4)が選ばれている。
荻原は、前回2002年のソルトレークシティ五輪の際にも立候補。
92年アルベールビル、94年リレハンメル大会のノルディックスキー複合団体戦での金メダルは、各国が推薦した(元)選手の中で群を抜く実績だった。
にもかかわらず結果は立候補者10人中360票で7位。最下位当選者(4位)には67票及ばなかった。SAJのある役員は「荻原でも勝てなかったことを深刻に受け止め、国際スポーツ界における日本の影響力低下を真剣に考えないと」と危機感を募らした。
IOC選手委員選挙のことは日本ではほとんど話題にされていない。
アトランタ五輪時には小谷実可子氏、シドニー五輪時には松岡修造氏を立てたがいずれも完敗だった。
満を持して擁立したのが荻原だっただけに前回の落選のショックは大きいものがあった。
ソルトレークシティ五輪でも、ショートトラックスケートやスノーボードの判定に現場レベルが不満を感じながらも、日本選手団としての意思表示は明確にしなかった。
あるいは、ジャンプやノルディック複合での日本たたきのためのルール改正も、シドニー五輪男子柔道での篠原信一の「誤審」に端を発した判定方法改善、何を見ても日本の主張は通っていない。
また、IOC選手委員は総会における1票を持つため、2016年以降の夏季五輪招致のためにも荻原の再立候補の持つ意味は大きいはずだ。
昨年12月前半の約2週間、テレビ局の五輪事前取材で訪れた欧州のスキーやスケートの試合現場で「オギワラという名前をインプットする作業をしてきた」そうだ。
五輪期間以外は候補者として活動できないが、荻原という人物そのものの存在を示すことは問題ないことになっている。
とはいうものの、今回は立候補しているメンバーが凄い。
これは苦戦は必至だろうな。
Jacqui Cooper (オーストラリア) フリースタイルスキー
Ruben Gonzalez (アルゼンチン) リュージュ
Georg Hackl (ドイツ) リュージュ 1988年銀1、1992~98年3連覇、2002年銀1
Mark Hatton (ドイツ) リュージュ
Kwang-Bae Kang (韓国) ボブスレーとリュージュ
Saku Koivu Ice (フィンランド) アイスホッケー 2002年銅1
Janica Kostelic (クロアチア) アルペン 2002年金3、銀1
Jaak Mae (エストニア) クロスカントリー 2002年銅1
Corinne Niogret (フランス)バイアスロン 1992年金1
荻原健司 (日本) ノルディック複合 1992年金1、1994年金1
Maria José Rienda (スペイン) アルペン
Beckie Scott (カナダ) クロスカントリー 2002年金1
Adne Sondral (ノルウェー) スピードスケート 2002年銅1
Yang Yang (中国) ショートトラック 2002年金2、銀1
Pawel Zygmunt (ポーランド) スピードスケート
ゲオルク・ハックル(Hackl)は、3連覇を含む冬季五輪史上初めて5大会連続メダルを獲得したリュージュ界のスーパースターだ。ドイツのこうした超人は、たいてい旧東ドイツ出身なのだが、ハックルは旧西ドイツ。
また、ヤニツァ・コステリッチ(Kostelic)はソルトレークで回転、大回転、複合で金メダル、スーパー大回転で銀メダルを獲ったアルペン界の女王で現役選手。
楊揚(YangYang)はソルトレークシティのショートトラック500mと1000mを制覇、リレーでも銀メダルを獲った選手。
荻原含めて5人が金メダリストという豪華さだ。
筆者は荻原の当選の可否が日本の夏季五輪招致成功の鍵を握ると見ている。
●2002年IOC選手委員選挙結果
1.640票 ペニッラ・ビーベリ(スウェーデン) アルペンスキー
2.593票 マヌエラ・ディチェンタ(イタリア) クロスカントリー(以上任期8年)
3.579票 ヤリ・クリ(フィンランド) アイスホッケー
4.427票 オドネ・センデロール(ノルウェー) スピードスケート(以上任期4年)
中 略
7.360票 荻原健司(日本)
立候補は10人
ソルトレークシティ五輪参加選手の内、約70%の1773人が投票(複数投票)した。
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