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January 31, 2006

またも日本の国際発言力低下 ボブスレー枠がない

bobsleighかつてクールランニングという映画が流行った。
五輪出場を目指しながらも予選で敗退してしまったジャマイカの陸上選手が、夢を捨て切れないままにボブスレー・チームを結成し、元金メダリストを無理やりコーチに迎え、冬季オリンピックの開催地カルガリーを目指して猛特訓を開始する、という実話をベースにしたスポーツ・ヒューマン・コメディ映画だった。
ボブスレーは1924年の第1回冬季五輪シャモニー・モンブラン大会から正式種目になっている伝統種目だ。
今回のトリノ五輪で日本は、男女それぞれの2人乗りに参加するはずだった。

ボブスレーの出場枠は種目ごとに、今季ワールドカップなどの成績上位国と、1枠も得られなかった大陸の最上位国に与えられ、選手総数は170人(男子135、女子35)と定められている。日本の両組はアジア大陸枠に該当していた。 日本連盟の池田芳正事務局長によると、FIBT(国際ボブスレー・トボガニング連盟)から日本連盟には25日に一度は出場資格確定が伝えられたが、数時間後に取り消しの連絡があった。FIBTの説明では、当初は選手数が日本を含めて176人でIOCの了解を得たが、直後に男子4人乗りで出場辞退を表明していた国から出場に転じる申し出があって選手数がさらに膨らんだため、IOCから減らすよう求められた、という。

日本オリンピック委員会(JOC)は30日、当地で五輪組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)と確認作業を行ったが、現時点では出場資格がないことを確認した。
該当する選手は男子2人乗りの清川卓(サニウェイ)小林竜一(鳥取県体協)と女子2人乗りの桧野真奈美(十勝エコロジーパーク財団)長岡千里(ニッシン)。同五輪の競技別選手エントリーは30日が締め切りで、4人はエントリーされなかった。(共同通信など)

ボブスレーの各国の選手数は、出場枠数によって登録できる補欠の人数が異なるなどの事情もあり、エントリーが出そろわないと確定しないらしい。今回はエントリー後に選手総数が、国際オリンピック委員会(IOC)で規定している170人を超えたことが明らかになったということのようだ。
日本連盟は会長がFIBTの会長に直接電話するなど抗議した。しかし、キャンセル待ちを伝えてきただけだという。日本連盟は「ルールに従ってやってくれなければ困る。出場国の辞退を受け付けながら、また取り入れるのはおかしい」と訴えている。

日本は当初の規定どおりアジア枠での出場権を確保していたにも関わらず、出場が認められなかった形だ。
トリノ五輪で女子2人乗りパイロットを務めるはずだった桧野真奈美。2002年ソルトレークシティー五輪は出場権を獲得しながら、選手団の人数調整のため派遣を見送られた経験を持つ。

またも国際スポーツ界における日本の発言力、存在感の乏しさが露呈されてしまった。
日本のテレビ局(JC)が支払っているトリノ五輪の放映権料は3850万ドル(約45億円)と莫大な金額である。
さらにIOC TOP企業である松下電器産業がIOCに支払っているスポンサー料金が約40億円。
この二つだけみても、日本よりも多くの額を支払っている国はアメリカ以外にはない。
なのに、どうしてこうも軽んじられるのか。競技力が低いといってしまえばそれまでだが、執拗に抗議すべきだ。
ジャンプやノルディック複合の日本叩きのルール改正、篠原信一の誤審問題、またいやな思いを繰り返すのだろうか。

ボブスレーに関してもうひとつこんな話がある。
長野五輪のボブスレー、リュージュの会場だった「スパイラル」が長野五輪から僅か8年、もう用済みになりかけているというのだ。

長野のスパイラルは、東アジア唯一の人工凍結トラックで、世界に誇れる施設。選手たちにとっても重要な地位を占めている。ところが施設の維持費が年間1億円。
国などの財政支援がなければ市単独の運営は困難としている。
スパイラルを使うスケルトンの越選手は「安全なゴムチューブで滑らせたり、観光客や市民に開放する方法を考えたり」と打開策を訴えている。

長野五輪から8年でつぶしてしまったら、世界の笑いものになる。

●2月1日追記
ボブスレー 一転出場OK
JOCがFIBTの判断は不当としてIOCに再考を求め、IOC側も出場資格を得るための複雑なシステムにも問題があるとして出場を認めた。

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Comments

はじめまして。
トリノ冬季オリンピックももうすぐ。
盛り上がりかけた気持ちに水を差すニュースに驚きました。
どうしてこのような事態に陥るのかがわからなかったのですが、こちらのブログがたいへん参考になりました。ありがとうございました。
私はルールは守るべきだと思いますが、ルールを都合よく解釈したり、不都合を押し付けてきたりするやり方には納得できません。
ましてや、アジア枠を勝ち取った選手にはなんの落ち度もないのですから。
こういうときに、1番傷つくのは選手です。
スピードスケートの安田選手の件もそうですが、開催直前にこのような事態を招くようなことは、起こすべきではないし、起こさないで欲しいと切実に願います。

Posted by: 真歌 | February 01, 2006 12:01 AM

真歌様
コメントありがとうございます。
ボブスレーはなんとかなりましたが、あとは安田選手が何とかなればいいのですが・・・。

Posted by: 管理人 | February 01, 2006 10:40 AM

大勢の選手団を引き連れて殆どの種目に参加するも入賞ばっかり、日本の勢いが失速し残念。

日本の国際政治・経済等の評価衰退を一足早く体現している。

Posted by: もも太郎 | February 19, 2006 01:37 PM

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