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February 24, 2006

女子フィギュアの代表選考はこれでよかったのかな

トリノ五輪第14日目の23日、フィギュアスケートは女子フリーがあり、荒川静香が圧巻の演技で191.34で優勝、村主章枝も実力を発揮し175.23で4位、安藤美姫は4回転ジャンプで転倒し140.20で15位だった。
サーシャ・コーエンが2位、イリーナ・スルツカヤが3位だった。

昨年末の全日本選手権で6位ながら五輪代表に選出された安藤美姫、その選考には多くのメディアが?を示した。五輪本番になっても安藤は精彩を欠き、いいところなく五輪を終えた。彼女の言い訳がある。

骨折した小指は完治していません。骨はくっついているけど、 跡が残っています。薬を飲んでいるので痛みはありません。アメリカでは、足も治らないし、五輪が来る不安やつらさもあり、プログラムも決まらない。毎日、日本に帰りたいと泣いていました。
YAHOOスポーツ 

安藤は五輪代表決定以前からロッテ、松下電器、トヨタなど多くの企業のCMに出演し、日本スケート連盟も代表から外すことができなかった節がある。
おまけに言い訳を並べ、スポーツマンらしい潔さに欠けているようにも思う。
安藤自身、現時点の持ち得る実力は披露したとは思う。
だけど上位の選手もこんな状態だった。

金メダルを獲った荒川静香は、トリノ入り後に転倒して左肩を脱臼し、けがを乗り越えての快挙を達成した。
4位に入った村主章枝も昨年9月半ばに右股関節を痛め、今季は出遅れた中、五輪2大会連続入賞を果たした。
銅メダルのスルツカヤはもっと凄い。血管の難病にかかり全身がむくれ、触られただけで痛いという。
薬を飲むも、副作用で強烈な眩暈に襲われている。
それでも、病気を理由に練習はもちろん試合も休むことはない。

安藤も小指の骨折が思わしくなかったのなら、補欠だった中野友加里か恩田美栄と代わっても良かったのではないのだろうか?
全米選手権を欠場したミッシェル・クワンを代表に選ぶという、日本と同様に後味の悪い選手選考をしたのはアメリカ。ただし、ミッシェル・クワンは怪我が治らず五輪出場を辞退し、エミリー・ヒューズと交代、7位に入った。
中野も恩田も出場していれば、持っている実力を存分に発揮した演技ができたものと思う。

スケート連盟が慢性的な金欠状態で、スポンサーの存在がありがたいのは分かる。
でも、代理店の力が大きくなりすぎ、代表選考にまで口を挟まれるのなら、制度の見直しも必要だろう。

今日の中継の中での刈屋富士雄アナウンサーと解説の佐藤有香氏のやりとりを紹介する。
佐藤氏の父親は村主のコーチ、母親は荒川のコーチを務めている。
刈屋アナ
「五輪を楽しみたいと口にする選手がいるんですけれども、"最高に仕上げてきた人"が初めて楽しめるんですね」
佐藤由香氏
「そう思います。楽しむというのは、あはは、って楽しむのではなく、今まで作り上げてきたその状態をこの場で出すことができるからそこで初めて自分が自分で感激をするということ。そして楽しむということです。」

●フィギュアスケート女子最終順位

SP

フリー

得点

1.荒川静香

66.02(3)

125.32(1)

191.34

2. サーシャ・コーエン(米)

66.73(1)

116.63(2)

183.36

3. イリーナ・スルツカヤ(露)

66.70(2)

114.74(3)

181.44

4.村主章枝

61.75(4)

113.48(4)

175.23

5.J・ロシェット(加)

55.85(9)

111.42(5)

167.27

6.キミー・マイズナー(米)

59.40(5)

106.31(6)

165.71

7.エミリー・ヒューズ(米)

57.08(7)

103.79(7)

160.87

8.サラ・マイアー(スイス)

55.57(10)

100.56(8)

156.13

15.安藤美姫

56.00(8)

84.20(16)

140.20


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Comments

おおむね同意だけど、スポーツ選手に健全な精神やらを押しつけるのは、視聴者の傲慢。「心身ともに」は言い過ぎ。彼女が高校生であることを差し引いても。

Posted by: あ | February 24, 2006 07:50 PM

どうして貴方は安藤選手にそこまできつくするのですか?
確かにスポーツマンに言い訳はふさわしくない。
でも、安藤選手も、荒川選手、村主選手とおんなじように、100%の力を出し切れたんだからそれで良いと思う。
安藤選手のポイントの低さに、激するのではなくて、荒川選手の金メダルをはじめ、代表選手三人の、トリノで戦ってきた姿に、気持ちよく迎えるべきだと思う。
安藤選手を初めとした3選手もトリノまでの日々必死に練習してきた。
どんな過酷な辛い練習をしてきたかも知らないのに、この選手は代表にはふさわしくないというのは選手や、その選手達の応援者、家族にも失礼だと思う。
逆を考えれば、安藤美姫選手は世界で、15位なんだと、すごいんだと思うのが一番良いと思う。

Posted by: 彩 | February 24, 2006 08:07 PM

やっぱり安藤美姫はでるべきではなかったと思う。全日本6位が今日の演技を示していると思う。4回転に挑戦しているがあの体格ではもう無理だ、15,6歳の頃とは違うということを自覚するべきだ。中野由香里がかわいそうである。彼女のドーナツスピンが見たかったです。あとひとつスケート連盟にも言いたいが、
安藤が昔よかったように現在の浅田真央を使わないとはどういうことだ。4年後成長して安藤のようになったらどうするのだ!きついことを言うようだが、あの年齢、体格でしか出来ない演技ではないのか、何故彼女を規則を無視してでも推薦しなかったのか疑問に思います。

Posted by: mo-ri- | February 24, 2006 08:53 PM

彩さん

おっしゃていることはよくわかります。
確かに書きすぎたところもあるようです。
仮にですが、代表選考が選手の手の及ばないところでシナリオどおりに進んでいたとしたら、やはり過酷な辛い練習をしてきたかも知らないのに、その選手や、その選手達の応援者、家族には失礼です。
今の五輪は余りに商業主義に進みすぎて、裏で操っている大人が多すぎるようです。

あ さん
確かに言いすぎですね。直します。

Posted by: 管理人 | February 24, 2006 09:02 PM

mo-ri-さん

コメントありがとうございます。
アメリカはミッシェル・クワンを最初に選んだときにその選考過程を公表しています。
日本スケート連盟も透明性が必要だったことは間違いないと思います。

Posted by: 管理人 | February 24, 2006 09:17 PM

わたしも、同感です。安藤を出すべきではなかった。城田強化部長が、今回金メダルを取れたのでやめなくて良くなるのが、本当に残念です。何より3人にスポンサーを先につけすぎたため、浅田の出場申請の時期が遅かったし、わざとらしい。中野や恩田もかわいそう。過酷な練習はみんなしてる!その中で実力だけがものをいう、それがスポーツ。城田がやめるべき。

Posted by: フィギュア | February 24, 2006 10:47 PM

わたしも管理人さんの意見に賛同です。
ただ安藤選手がどうとかではなく、
スケート連盟のやり方に問題があったと。

結局スポンサーの影響で五輪代表が
選ばれた、という現実は確かにあったと
思わざるを得ないと思います。

安藤選手もかわいそうだし、中野選手は
もっとかわいそうだと思いました。

でも安藤選手も自分のことだけでなく、
出られなかった選手への言葉も欲しかったです。

安藤選手が第二の荒川選手になれるか、
期待したいとは思います。

Posted by: 樹里亜 | February 25, 2006 12:50 AM

スルツカヤは病気なんだから出場を辞退するべきではないか。補欠の選手を出していたら、その選手が素晴らしい演技をしたかもしれない。…とは言われないのに、安藤選手にはそれを言いたくなるのは何故でしょうね?
(本国のブログでは書かれてるのかもしれないけど。)

これまでの経緯や背景を知ることによって、スポーツ観戦がより面白くなるという一面はあるけど、逆にそれが邪魔をして素直に応援できなくなることもある。難しいところだ。

Posted by: tetra | February 25, 2006 09:26 AM

tetra さん

スルツカヤは精神的にもプロなんでしょうね。だから27歳になってもフィギュア大国ロシア代表を維持できた。

>これまでの経緯や背景を知ることによって、スポーツ観戦がより面白くなるという一面
>はあるけど、逆にそれが邪魔をして素直に応援できなくなることもある。難しいところだ。

同感です。ネット時代になって以前なら知りえない情報も公になっている。良い面も悪い面もありますね。


樹里亜 さん フィギュア さん

昨日NHKのハイライトに恩田さんが出ていました。安藤選手についても大人のコメントをしていました。まだ若い中野選手は、どういう心境で中継を見たのでしょう。
選手層が厚くなって、競争が激しくなるのはいいことです。
そうしたらその分、公正な選考を求めたいですね。

Posted by: 管理人 | February 25, 2006 04:55 PM

>スルツカヤは病気なんだから出場を辞退するべきではないか。

病気だろうがなんだろうが、成績を残せる人が出ればよいと思います。
スルツカヤは3位に入ったのだから、ロシアにそれ以上の選手がいなければ問題ないと思います。

安藤は、はなから勝負にならないのがわかってて、他に成績残せる可能性のある選手がいるのに妙な選考システムで選ばれてしまったのがマズイと思います。

Posted by: kenji47 | February 26, 2006 02:05 PM

安藤とスルツカヤを比較すると、スルツカヤは心臓病の発病(03年?)で一時期競技から外れていたけど、復活してからでも女王街道をつっぱしっているわけで、直前の欧州選手権でもそうだし、それ以外の大会でも女王健在振りを見せつけまくっている。
一方安藤の場合、直前の大会でたまたま悪かったという訳ではなく、それ以前から下降気味だった。03年の大会できめた4回転と、昨季の成績だけで評価されたことになっているけど、4回転にこだわったためか、今季はぼろぼろで(良かったのは1試合ぐらい?)3回転ですらこけまくりだった訳で。直前の全日本でも他選手の好成績・内容に比べて物足りなさが目立っていた(今季の調子だけでみれば中野や恩田の方が明らかに上だった)という点が、何故安藤が選ばれたのかという疑問がわいてくる理由だと思います。
実際に(五輪の結果以前の)選考が決まった時点で安藤だけに疑問符が集中していたのはまぎれもない事実。

Posted by: ぽ | February 27, 2006 12:31 AM

そもそも、3回転なんとかで
申請してたんでしょ
4回転失敗じゃなく3回転失敗じゃない

Posted by: q | February 27, 2006 12:34 AM

結果が出ないと分かるや否や批判が出るのは良くあることですが、あまり今回のことを批判するのは感心しません。
選考基準についてはGPシリーズのポイントが第1条件で、さらに実績や可能性を伴った選手ということで3人を選んでいます。
安藤選手は実績こそ少ないですが、GPシリーズでの表彰台獲得もあり、ポイントは年齢制限のあった浅田選手を除けばトップの成績でした。
スポンサーの意向と言うのがあったかどうかは知りませんが、事前に発表されていた選考基準にそった決まり方です。

4回転に拘りすぎというのもありますが、今シーズはすべて4回転を封印しています。
オリンピックだからこそやりたいという気持ちは選手としてあって当然だと思います。
かつての伊藤みどりもトリプルアクセルに拘り続けた選手の1人です。
忘れていませんか?

金メダルを取った荒川選手も天才少女と言われ初出場した長野では、結果を残せていないのですよ。

Posted by: D4 | February 27, 2006 01:30 AM

http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1859358
http://www2.asahi.com/torino2006/news/TKY200602240240.html?ref=rss

Posted by: aegis | February 27, 2006 02:13 AM

qさん、選考基準が事前に発表されていたというのは確かですか?  それならばなぜ、JOCですらあんな混乱があったのでしょうね?

Posted by: okay | February 27, 2006 08:30 AM

ポイントによる選考については,かなり早い段階で一般にも報道されていましたね。私はJOCが混乱・・という印象は持っていません。ポイント制の是非はあるにせよ,少なくとも今回の連盟対応は(年齢制限問題への対応も含めて)首尾一貫したものだったと思います。
アメリカのような「一発勝負方式」も含めて,選手選考の手順についてはバンクーバーまでに議論されるべき問題でしょう。ただ選ぶ側の責任を,選手にまで混同して押し付けるべきではないのでは?

Posted by: ぐら | February 27, 2006 08:49 AM

五輪前ですと、村主、荒川、中野が順等だと思います。安藤は体の線が太すぎて見栄えがしないし、ジャンプだけが取り柄と海外の専門家の間ではいわれているようです。中野のほうが奇麗な線が出てくるし、来月の世界選手権で期待できると思います。きっと、良い結果が出るでしょう。

ただ、安藤は「ちょっとバカなアイドル」的なところがあって、日本ではああいう子が人気がでるでしょう。彼女は父親がいなかったりして、そういう話題性もありますが、それだけに父性を十分に受けていないので、大舞台では弱いようですね。スルツカヤも父親がいなく、やはり大舞台で失敗しましたね。ちなみに、リレハメル五輪で金のクリスティー山口の父親は歯医者で父親としても立派だし、前回の金メダルのヒューズの父親も弁護士で非常にできた家庭的な父親としてアメリカの雑誌などでも取り上げられたようです。荒川選手の家庭は知りませんが、少なくとも両親そろってトリノに行ったようではありましたね。若い女性にとっては、そういう強みというのもあるでしょう。

Posted by: ok but not perfect | February 27, 2006 08:59 AM

前シーズンからのポイント持ち越しなんてあるのが問題だと思います。

そういう油断があるからブクブク太っちゃうんじゃないですか。
緊張感もってトリノに臨んでからは2ヶ月であれだけ痩せられるんだから。

たいして実績無い選手に高い下駄を履かせるような制度は見直すべきと思います。

Posted by: kenji47 | February 27, 2006 01:11 PM

kenji47 さんに同意です。

>前シーズンからのポイント持ち越しなんてあるのが問題だと思います。

例えば今季の中野選手のように急に伸びた選手は代表に選ばれなくなってしまいますよね。
ケガに泣いた村主選手には良かった面はありますが。

okay さん
>アメリカのような「一発勝負方式」も含めて,選手選考の手順についてはバンクーバーまでに議論されるべき問題でしょう。 

アメリカも3人の内一発選考で選んだのはコーエンのみです。残りの2人は選考会議で決めました。全米不出場のクワンを選んだのでもめましたが、最後には採決の結果も公表しました。

今回の件でスケート連盟も随分痛い思いはしていると思うんですよね。
何にも感じないならこの国のスポーツはもう終わりです。
来年の世界フィギュアは東京開催、真央選手も来年は年齢制限はありません。
そして4年後バンクーバー五輪。

透明性を持った選考で、相応しい選手が選ばれることを期待したいです。

Posted by: 管理人 | February 27, 2006 02:34 PM

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