プルシェンコ(露)金メダル 表彰式で流れるはソビエト連邦国歌 いったい何が?
トリノ五輪フィギュアスケート男子はフリーを行い、SP首位のエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)が合計258.33点で金メダルを獲得した。旧ソ連時代を含むと、ロシアは同種目通算5連覇を達成。
プルシェンコの不出場だった05年世界王者のステファン・ランビエール(スイス)が銀、ジェフリー・バトル(カナダ)が銅メダルを手にした。
競技に引き続き、表彰式が行われ、ソルトレークシティ五輪で同じロシアのアレクセイ・ヤグディンに敗れたプルシェンコに金メダルがやっと手渡された。
スイスとカナダの国旗を従えたロシアの国旗が掲揚され始めると 耳に馴染んだメロディーが流れ始める。
70年代~80年代テレビで五輪ばっかり見ていた人間(筆者)にとって、旧ソビエト国歌、旧東ドイツ国歌というのは口ずさむことができるくらい馴染んだメロディーだ。
モントリオール五輪でソ連が獲った金メダルは49、東ドイツは40。モスクワ五輪に至ってはソ連80、東ドイツ47にもなる。
近年の五輪中継では、日本人選手がメダル授与される場面は中継されるも、外国の選手がメダル授与される場面が中継されることはほとんどなくなった。
ところが、今朝の男子フィギュア(NHKBS1)では、表彰式まで完全に生中継された。
ソビエト連邦をぶっ壊し、先に独立したバルト3国と、ロシアをはじめとする12の国に分けたボリス・エリツィンは、ロシアの脱ソ連化を推し進め、ミハイル・グリンカ作曲の「愛国歌」をロシア国歌に定めた。が、この曲には歌詞が無くメロディーのみが演奏されたため、一向に定着することがなかった。
ロシアに残っていた共産党は、ロシアの誇りを呼び興す事が出来るとして「ソビエト連邦国歌」の復活を要求、エリツィンにかわって大統領となったウラジーミル・プーチンは、共産党への懐柔を狙い、2000年末にソ連国歌のメロディを復活させる国歌法を制定する。
こうしてソビエト連邦国歌はロシア連邦国歌として生まれ変わった。
だから、プルシェンコの金メダル授与にソビエト連邦国歌が流れたという訳だ。
ソビエト国歌は、第二次大戦勝利、大国の栄光、宇宙開発の成功、そして五輪金メダルを象徴する曲であり、プーチンの企む「ロシアの栄光の復活」を後押しする曲だ。
五輪に限らず、表彰式でかかる国歌は伴奏だけで、歌は流れない。
自由な共和国の揺ぎ無い同盟を
偉大なルーシは永遠に結びつけた
人民の意思によって建設された
団結した強力なソビエト同盟万歳! (以下略)
が旧ソビエト国歌に付けられていた歌詞だが、
ロシア、聖なる我らが国家よ
ロシア、愛しき我らの国よ
力強き意思、大いなる栄光は
汝が持てる物、いつの時にも!
讃えあれ、自由なる我らが祖国(以下略)
がロシア国歌の歌詞である。
ところで、いつになったらトリノの青空に日の丸が掲げられるのだろうか?
photo:eurosport
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Comments
古い話題にコメントする事になりますが、サッカーのヨーロッパ選手権を見ててスペインの国歌に歌詞が無かった事に最近気づきました。
ロシアの最初の国歌だったミハイル・グリンカ作曲の「愛国歌」は私は覚えてます。
なぜかと言うとボクシングの勇利アルバチャコフ(海老原はNGでしたね(笑))が世界王者だった頃、ロシアの国歌はまだこの曲だったので試合前の世界戦の国歌吹奏の時によく流れてました。
正直言って戦う人間の士気を萎えさせちゃうような暗いメロディでした(失礼!!)
あとバレーボールを見てて思うのですがイタリアとブラジルの国歌吹奏はいつも途中で切れてますが、あれって問題ないんですかね?
もし韓国相手に同じ事をやったらスゴイ国際問題になっちゃうんだけどね(笑)
(かつて1990年の札幌冬季アジア大会で間違えて北朝鮮の国歌を流した事があって国際問題になりましたから)
Posted by: 中東の太鼓 | June 25, 2008 12:45 PM
スペイン国歌は18世紀に作曲された国王行進曲ですが、フランコの死去後歌詞が廃止されました。
北京五輪に向けて、スペイン五輪委員会が新しく歌詞を募ったのですが、「スペイン万歳」というフランコ時代に集会で使われた言葉が入っていたため、与党である社会労働党がクレームをつけ、うやむやになり、まだ歌詞なしなんだと思います。
>1990年の札幌冬季アジア大会で間違えて・・・
よく覚えています。
日本も大したことないと思いましたよ。
Posted by: 管理人 | June 25, 2008 05:10 PM