中国金メダリスト ドーピング批判で引退表明
アテネ五輪の競泳女子100m平泳ぎで金メダルを獲得した中国の23歳、羅雪娟が29日、心臓の病気を理由に引退を発表した。中国選手に80年代からかけられ続けてきたドーピング(禁止薬物使用)に対して「プールの水は汚れている」と発言するなど、愛らしいルックスとは裏腹の率直な物言いで話題の選手だった。羅は01年、03年世界選手権で50m、100mを連覇。アテネ五輪では中国水泳に8年ぶりの金メダルをもたらした。(朝日新聞)
羅雪娟はこの26日に23歳になったばかりだ。
日本のスポーツ選手なら栗原恵、寺川綾、松田丈志が同じ84年生まれで、中国陸上界のスター劉翔は83年生まれだ。
まして普通の社会人ならば、大学を卒業したばかりの年齢だ。
3月17日からオーストラリアのメルボルンで水泳世界選手権大会が開催されるが、先に羅雪娟は、体調が悪くて合宿訓練に参加できないことから、世界選手権には欠場することになると語っていたが、引退となるとは。
中国ならではのウラがありそうだ。
中国には、IOCの公認検査機関でもある国家体育総局ドーピング検査センターがある。北京五輪では、ここが世界の薬物検査の中心になる。北京五輪を最高のものとするためにも、世界一の検査機関にしたいと関係者は意気込んでいる。
ユネスコがドーピング撲滅を目指して定めた「反ドーピング条約」を日本政府は締結した。ドーピングに関する初めての条約であり既にイギリス、カナダなど中国を含む41か国が締結し、この2月1日に発効する。
スポーツ界の自助努力だけでドーピングを根絶することは無理だ。国としての取り組みも必要であり、フランスやイタリアなどスポーツ先進国では刑事罰まで含んだ法整備を進めている。
北京五輪成功のためには、アンチドーピングが不可欠、このことは中国首脳にも十分理解されているようだ。
ところが、北京を離れた地方組織までいくと怪しくなってくる。
中国には4年おきに開催される全国運動会とよばれる国内版の五輪と呼ばれるスポーツイベントがある。省や直轄市の対抗の形を採る総合競技大会だ。
第9回大会は2001年に広東省で、2005年には江蘇省で第10回大会が開催された。
この大会の優勝者は次の五輪代表に選ばれることが多く、中国代表選手も同時期に世界選手権が開催されていても、全国運動会を優先するという。
法外な報奨金も用意されている。
アテネ五輪ではメダル獲得者に中国政府から20万元が渡されたが、全国運動会の金メダルには5万~50万元、さらに住宅を副賞として提供するという話しも聞こえてきた。
名誉と金銭が絡むと当然不正の温床となる。
中央政府がアンチドーピングを必死で訴えても、地方は聞く耳を持たない。
2005年の全国運動会も禁止薬物使用が多発したといわれている。
朝日の羅雪娟の記事にはこんな続きがある。
01年の全国運動会で「プールの水は汚れていたが、私は清潔なまま上がってきた。国内大会でいい記録を出す選手が、なぜ国際大会に参加せず、いい記録を出せないのか」と、ドーピングに頼る選手を暗に批判。批判も浴びたが、優勝すると「私を憎んだすべての人に感謝する」と言い切った。
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