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December 10, 2007

どう見る?2016年東京五輪 開催賛成は62%(追記あり)

2016年夏季五輪招致を目指す東京五輪招致委員会は、今月初めに実施した世論調査で、「招致賛成」は全国で62%、都民では60%であることを発表した。
調査は1日~3日および6~8日にインターネットで計6000人(都民2000人、都民以外4000人)に実施したという。
この数字は、来年1月にIOCに提出する申請書の世論の項目に記載される。

五輪招致で実はこの世論調査の数字が大きな意味を持つ。
立候補都市の住民がどれだけ五輪開催を熱望しているかは重視されている。
しかも、招致委員会とIOCが独自に実施するものと2種類あり、この乖離が大きければ、それこそ大恥をかくのだ。
近年招致を勝ち取った都市は、どのくらいの数字を残しているか、ご存知だろうか。

2012年五輪 単位は% ①は開催都市②は国内

招致委員会調査①

招致委員会調査②

IOC調査賛成 

IOC調査反対

ロンドン  

82 

67

13

パリ  

75

67

72

7

マドリード  

88

82.6

85

2 

ニューヨーク  

73 

68

11 

モスクワ  

90

89

76

5

押しなべて招致委員会の報告する数字がIOCの調査する数字よりも高く出る傾向にある。
ロンドンに決まった2012年五輪、ロンドンの賛成は招致委員会調査で82%、IOC調査でも67%と高かった。
一方、本命といわれたパリは招致委員会調査で75%、IOC調査では72%と両者の差が少なかった。


2008年五輪 単位は% ①は開催都市②は国内

招致委員会調査

IOC調査① 

IOC調査②

北京  

95

96

96

1

トロント  

90

71

67

19

パリ  

79

66

65

23

イスタンブール  

88

86

86

2

大阪 

76

52

51

24

北京に決まった2008年五輪 北京は招致委員会調査で95%、IOC調査では96%と全体主義的な高い数字が残っている。
2008年に立候補し僅か6票で敗れた大阪市は招致委員会調査で76%、IOC調査では52%の賛成しか得られていなかった。

ついでに言うならば大阪市が、6票を集めた招致費用に53億3200万円という莫大な金額を使ったと公表している。IOC委員を過剰接待で持て成し、問題となった長野五輪の場合でも招致費用の総額は25億円。
大阪市の半分以下でしかない。

2016年夏季五輪開催地が決まるのは2009年のIOC総会(コペンハーゲン)であり、まだ時間はある。
が、東京の今回の62%という数字は2008年の大阪市をも下回る非常に低い数字である。

無関心を装うというのは成熟した先進国特有の現象かもしれないが、パリやロンドンも東京より遥かに賛成の数字があったことは忘れてはならない。

追記:毎日新聞東京版128日付けに石原都知事の話が出ていたので紹介する。

【五輪招致世論調査】

 ◆「(6割賛成は)都民国民に五輪の開催意義、経済効果などを説明し、積極的にPRしてきたことの現れ。今後さらに招致機運を盛り上げ、目標とする7割以上の賛成を目指していきたい」

 --目標の賛成7割到達のために今後どのようなことを。

 「何かいいアイデアあったら教えてよ。(野球の)星野チームの優勝も一つのインパクトになる。これから東京や日本で開かれる国際大会で日本の選手がいい成績を上げてくれば『よし』という気持ちになるが。日本のスポーツ、このごろふるわない。そういうことも自覚して選手たちに頑張ってもらいたい」

確かに北京五輪の出場権を獲得した野球日本代表チームの記者会見なりで、例えば星野監督が

「野球は北京で一度、正式種目から外れますが、東京が立候補している2016年には是非再び正式種目に戻したい。そして金メダルを獲りたい。そのためにはどうか皆さんも東京五輪招致に協力をお願いしたい」

といったことを話していたら、東京五輪招致の理解は進んだだろう。

とにかく世論調査の数字は非常に重要だ。

ことあるごとに仕掛けていく必要がある。

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