マンチェスター・シティ(英プレミア)を買ったタイ元首相
サッカーのタイ代表チームには3人の選手がイングランド マンチェスター・シティの所属だ。
この1月に代表チームはマンチェスター・シティとともに合宿をしている。
イングランドの古豪とタイ代表、この結びつきには一体何があるのか?
2006年9月の軍事クーデターで政権の座を追われたタイのタクシン元首相は、この後、ロンドンに住み復帰に向けた布石を着々と打っている。
タクシン氏がイングランド・プレミアリーグの古豪マンチェスター・シティーを買収したのもその一環だ。
買収額は8160万ポンド(約200億円)。自ら会長に就任し、元イングランド代表監督のエリクソン氏が監督を務めている。
タイ国民の最も好むテレビ番組は、英サッカー・プレミアリーグの中継であり、マンチェスター・シティーの買収、タイ人選手の獲得と、メディアを巧みに利用しようとしている。
もっとも失脚以前の2004年にも名門リバプールへの出資計画を明らかにしたことがある。リバプールの株式30%以上の取得を目指したものだが、40億バーツ(約113億円)の資金に国家予算が投入されるという噂が流れ、ご破算になった。
2003年頃からプレミアリーグに所属する各クラブが外国人投資家に買収されるようになった。
世界のフットボールリーグの収入を比較すると
1.イングランド・プレミア
2.イタリア・セリエA
3.ドイツ・ブンデスリーガ
4.スペイン・リーガエスパニョーラ
5.フランス・リーグ1
となる。プレミアリーグの注目がやはり世界で一番だ。
無名のロシア人がチェルシーを買収したのは2003年7月。
2億1800万ドルもの大金を拠出して名門クラブを手にしたのは当時36歳だったロマン・アブラモビッチ。
ロシアの石油王である。
アブラモビッチ以降外国人による買収が続く。
マンチェスター・ユナイテッド.→アメリカ人 2005年5月
NFLバッカニアーズのオーナー マルコム・グレイザーが7億9000万ポンド(約1627億円)で買収。
ポーツマス→フランス人 2006年7月
1億2500万ドルでロシア系フランス人のアレクサンドル・ガイダマクが買収。
アストンビラ→アメリカ人 2006年8月
NFLクリーブランド・ブラウンズ オーナーランディ・ラーナーが1億4200万ドルで買収。
リバプール→アメリカ人 2006年11月
NHLカナディアンズのオーナー ジョージ・ジレットとMLBレンジャーズとNHLスターズのオーナー トム・ヒックスが共同で4億7000万ポンド(約1109億円)で買収。
ウエストハム→アイスランド人 2006年11月
アイスランドサッカー協会会長を務めるエゲルト・マグナソン氏を中心とする投資グループが、8500万ポンド(約190億円)で買収。
2007~08年シーズンの開幕時点でプレミアリーグ所属20クラブ中8クラブが外国人がオーナー職を勤めているという。
やや古い資料だが、英調査機関デロイト・トーシュによると、マンチェスター・ユナイテッドの年間収入は2003年7月期に約2億5140万ユーロ(約340億円)。
この金額は米スポーツ首位のニューヨーク・ヤンキース(2億4380万ユーロ)を上回っている。
サッカーの試合数を考えると、効率の良い稼ぎであるといえる。
スタジアム改修などの資金調達を行うとともに、サポーターとの距離を近づける狙いで、株式を上場するチームも多いことも特徴だ。プレミアリーグでは現在、8クラブがロンドン証券取引所に上場しており、そのため買収もしやすいとの話もある。
村上ファンドが阪神電鉄株を買い進めたときに、阪神球団を上場させたいと話したところ、虎ファンからは反対の声が多かった。
今のところプロ野球もJリーグも具体的な上場の話はないし、もちろん外資による買収話もない。
サッカー日本代表のW杯初出場だった1998年に ソニーがニューキャッスル・ユナイテッドを買収、セルティック(スコットランド)に野村証券の英現地法人、野村インターナショナルが関心を示しているという記事が英国紙に出たことがあるが、どちらも実現しなかった。
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