どうなるサッカー英国代表
北京五輪開幕前にロンドンからこうしたニュースが流れていた。
イングランドサッカー協会は6日、4年後に開かれるロンドン五輪の男子サッカーで、英国代表チームを結成して参加することを明らかにした。協会幹部が英BBC放送に語った。同じ英国のウェールズ、スコットランド、北アイルランドの3協会は独立した地位が失われるとして反対の立場にあるが、たとえ3協会の賛成がなくてもチームを作るという。どのような構成になるかは、後で議論するとの立場を示した。五輪サッカーでの英国代表は1908、12年を連覇したが、60年を最後にチームを送っていない。(2008. 08. 07読売新聞) |
2012年のロンドン五輪の開催が決定したのは2005年のことだが、サッカーの英国代表がどうなるか、3年経ってもはっきりしない。
ご存知のように、サッカーの母国英国には、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4協会があり、それぞれが国際試合に参加している。
これがロンドン五輪に限って、英国代表を結成するかが、注目となっている。
北京五輪の閉会式にベッカムが出てきただろう。
イングランドフットボール協会(FA)は、英国代表結成に意欲的だ。
北京五輪のサッカーは16カ国が参加し、アルゼンチンの2連覇で幕を閉じたが、欧州代表で参加したのは
オランダ、セルビア、ベルギー、イタリア
の4カ国。
予選は、2007年にオランダで開催されたU21欧州選手権と兼ねて行われた。
優勝がオランダ、2位セルビア、この両国に準決勝で敗れたのがイングランドとベルギーだった。
そう、上位4カ国の北京五輪出場権に、イングランドは手が届いていたのだ。
だが、イングランド代表では、英国代表にはならない。
五輪に参加するのは、英国であり、BOA(英国オリンピック委員会)の管轄になる。
慣例によりイングランドは五輪出場を辞退、イタリアとポルトガルの間で5位決定戦が行われ、イタリアが北京五輪出場権を得た。
かつては、サッカーでも英国代表が組まれ、1972年のミュンヘン五輪の予選までは参加していた事実もある。
ところが、4協会の確執から、40年近く英国代表は結成されていないのだ。
これまでの五輪であれば、それでも良かったのだが、地元開催のロンドン五輪をどうするか、その行方が世界的にも注目されている。
BOAの幹部の中にも、「4協会の確執が、若い選手が五輪でプレーする機会を奪っている」と指摘する声がある。
国際サッカー連盟(FIFA)も、五輪で統一チームを結成しても、4協会は従来通り、個別に活動できるとの見解を見せている。
だが、競技者の人口も多く、実力も高いいイングランドに英国代表の大多数を占められることに、スコットランドを始めとする他協会が納得しないらしい。
スコットランドやアイルランドはケルト人で、アングロサクソンであるイングランド人に征服されたという意識が強く、サッカーだけはイングランドに支配されたくないのだ。
北京五輪で英国は大活躍をし、金メダル19個は中国、アメリカ、ロシアに次ぐ4位、ロンドン五輪に向けて強化は順調に進んでいる。
自転車でスプリント、チームスプリント、ケイリンの3種目に金メダルを獲ったクリス・ホイはエジンバラ出身のスコットランド人。
同じく自転車の女子ロードレースで、金メダルを獲ったニコール・クックはウェールズ人。
2002年のソルトレークシティ冬季五輪の女子カーリングで金メダルを獲った英国代表は、実はチームスコットランドだった。
タータンチェックのスカートを覚えている方もいるかもしれない。
英国選手団の多くはイングランド人だが、スコットランド人、ウェールズ人、さらにはオーストラリア、南アフリカ、ジャマイカなど他の英連邦出身の選手もいる 言わば多国籍軍団だ。
であるにも関わらず、スコットランドフットボール協会等が、統一チームを嫌がる理由は日本人からすると、少々わかりにくい。
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Comments
韓国と北朝鮮の例になりますが、かつて1991年に幕張での世界卓球選手権とポルトガルでのサッカーのワールドユースで南北統一チームを結成しそれなりの成果を収めましたが、現在のように南北の実力格差がありすぎると統一チームの結成は困難なような気がします。
特に北朝鮮は国家の威信を賭けて必ず選手と役員の数を南北同数の主張が予想されますし、そのあおりで爪弾きにされた韓国の選手も不満に持つと思うので政治的には効果はありますが、現場の士気はむしろギクシャクすると思います。
もし同数にしたら確実に弱体化してそれこそ五輪やアジア大会のメダル獲得争いで日本に負けると思います。
ドイツも東西統一したら夏季五輪のメダル獲得争いの順位も大きく落としてます。
統一チームは上手い具合にお互いに足りないものを補強する関係が出来たら実力や士気がこの上なく上昇すると思いますが、利害関係があるから実際は難しいでしょうね。
あと英国の団体球技はサッカーとホッケー以外はあまり印象が無いのですが大丈夫なのでしょうかね?
Posted by: 中東の太鼓 | September 04, 2008 11:39 PM
>現在のように南北の実力格差がありすぎると統一チームの結成は困難なような気がします。
スコットランドが統一チームを嫌がるのはまさにそこで、政治的に支配され、さらに英国代表でもイングランドに主導権を握られたくない、なんでしょうね。
ラグビーには4協会連合チーム(しかも北アイルランドではなくアイルランド)のブリティッシュライオンズが、しばし結成されています。
サッカーのライオンズを期待しますが、サッカーの方が政治色が強いんだろうな。
Posted by: 管理人 | September 05, 2008 01:10 PM