オリンピックビジネスも崩壊の予兆
IOCにはTOP(The Olympic Partners)と呼ばれるスポンサー制度ある。
1988年のカルガリー、ソウル五輪から導入しされ、全世界で五輪ロゴを利用した広告や製品販売の権利が認められている。
サムスン:無線通信機器
パナソニック:AV/放送機器・記録メディア
のようにカテゴリーが分かれており、一つのカテゴリーに1社しか参加できないシステムだ。
2006・08年 トリノ、北京五輪対象のTOP企業は12社で、合わせて866,000,000US$の巨額の契約金を支払ったという。
1社あたりの平均契約金は68億7000万円となる。
アメリカの医療器具メーカーのジョンソン&ジョンソンが、このTOP企業を降りることを表明した。
超優良企業であるジョンソン&ジョンソンは、中国市場を強化するため、06・08年のTOPから加わった。
北京五輪も終了し、当初の目的を果たすことができた、というのがジョンソン側のコメントだが、あまりに契約金が高騰し、効果が額に合わなくなったところに金融危機が起きたため、というのが本当のところらしい。
また、北京五輪に限りTOPに参加していた中国のPCメーカーLENOVOも契約を更新せず、後継のPCのカテゴリーには台湾のACERが決まった。
他にもカナダのマニュライフ(生命保険)、KODAK(フィルム・写真画像)も今後は契約を結ばない、といわれている。
2002年のトリノ、2004年のアテネ両五輪組織委員会とIOCのこの4年間の収入は4,189,000,000US$。
内訳を見ると53%をテレビ放送権が、16%をTOPスポンサーが占めているので、TOP1社の負担は1%強。とはいえ4社が抜ける影響は大きい。
その一方、日本のパナソニック(旧松下電器産業)、韓国のサムスンはいずれも2016年までの契約を既にしている。
というのも東京が2016年夏季、平昌が2018年の冬季五輪招致を目指しているからだ。
TOP企業一覧
企業/年 |
国 |
~88 |
~92 |
94・96 |
98・00 |
02・04 |
06・08 |
10・12 |
14・16 |
コカコーラ |
米国 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
VISA |
米国 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
- |
KODAK |
米国 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
× |
- |
Panasonic |
日本 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
マニュライフ |
カナダ |
- |
- |
○ |
○ |
○ |
○ |
× |
- |
マクドナルド |
米国 |
- |
- |
- |
○ |
○ |
○ |
○ |
- |
サムスン |
韓国 |
- |
- |
- |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
オメガ |
スイス |
- |
- |
- |
- |
○ |
○ |
○ |
- |
GE |
米国 |
- |
- |
- |
- |
- |
○ |
○ |
- |
Johnson&Johnson |
米国 |
- |
- |
- |
- |
- |
○ |
× |
- |
アトスオリジン |
FRA |
- |
- |
- |
- |
○ |
○ |
○ |
- |
LEVONO |
中国 |
- |
- |
- |
- |
- |
○ |
× |
- |
ACER |
台湾 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
○ |
- |
ボシュロム |
米国 |
- |
○ |
○ |
- |
- |
- |
- |
- |
ゼロックス |
米国 |
- |
- |
○ |
○ |
○ |
- |
- |
- |
タイム誌 |
米国 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
- |
- |
- |
スリーエム |
米国 |
○ |
○ |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
ブラザー |
日本 |
○ |
○ |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
リコー |
日本 |
- |
○ |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
UPS |
米国 |
- |
○ |
○ |
○ |
- |
- |
- |
- |
フィリップス |
NED |
○ |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
MARS |
米国 |
- |
○ |
- |
- |
- |
- |
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- |
IBM |
米国 |
○ |
○ |
○ |
○ |
- |
- |
- |
- |
TOP/Year |
開催地 |
TOP |
NOCS |
総契約額 |
Ⅰ)85~88 |
カルガリー・ソウル |
9社 |
159 |
9600万ドル |
Ⅱ)89~92 |
アルベールビル・バルセロナ |
12社 |
169 |
1億7200万ドル |
Ⅲ)93~96 |
リレハンメル・アトランタ |
10社 |
197 |
2億7900万ドル |
Ⅳ)97~00 |
長野・シドニー |
11社 |
199 |
5億7900万ドル |
Ⅴ)01~04 |
ソルトレーク・アテネ |
11社 |
202 |
6億6300万ドル |
Ⅵ)05~08 |
トリノ・北京 |
12社 |
205 |
8億6600万ドル |
Ⅶ)09~12 |
バンクーバー・ロンドン |
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Comments
ラグビーW杯も世界的な金融不況の影響もあり開催国がIRBに支払う巨額の保証金も減額されたとのニュースを見ました。
赤字防止とはいえこの”上納金”は高すぎですし、かえって開催意欲のある国に敷居を高くしている気がします。
前回のフランス大会では政府と協会が約50億円を納めましたが結果的にはIRBに約100億円、ラグビー協会には約40億円の収入が転がり込み、更に政府には約1400億円もの莫大な税収が入って十分に元を取ったのでこれに味をしめたIRBが次回2011年NZ大会では保証金を倍に引き上げた経緯があります。
ただNZはラグビーが国技だとは言え人口も少なく経済力が小さいので結局政府が保証するとのこと。
保証金が減額されたとはいえW杯開催を目指す日本は政府が肩代わりするとは思えないし、不況の中こんな巨額の資金を調達できるのかも不安です。
仮に開催権を獲得しても日本はサッカーW杯のために造られたスタジアムはありますが如何せんラグビー人気が低迷してますし観客動員が心配されます。
それに欧州と時差があるので放送権料もあまり見込めないので巨額の赤字を出したら2006年の世界バスケの二の舞になると思います。
なんだかIRBは前回同様に競技の世界的な普及という冒険をせずに結局ラグビー宗主国の8強の既得権益を優先しそうな気がします。
日本としては来年6月のIRB主催のU20ジュニア世界選手権で開催能力をアピールするしかないですね。
(チームの実力もね!)
Posted by: 中東の太鼓 | November 30, 2008 03:06 PM
そうなんですよね。
2011年がNZで大きなの収益が見込めないから、2015年は必ずラグビー大国での開催になる。
すると日本開催はやはりない?
でもイングランド、スコットランド、ウェールズも金融危機の打撃をもろに受けているのでだめ。
イタリアか日本かになって、森元首相の活躍で日本開催決定。
(イタリアはラブビー専用競技場ってあるのでしょうか?)
結果、2015年ラグビーW杯、16年夏季五輪、18年FIFAW杯と全て日本に回ってくることに(笑)。
Posted by: 管理人 | December 01, 2008 01:45 PM