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February 23, 2009

2016年から変わるかも?五輪テレビ放送(下)

2016年から変わるかも?五輪テレビ放送(上)

2月18日、IOCは、2014年ソチ五輪および2016年夏季五輪の、ヨーロッパ40カ国における放映権をドイツの代理店SPORTFIVEに売ったと発表した。

この契約は、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、トルコおよびイギリスを除くヨーロッパ各国を対象として、Free-to-airと呼ばれる様々な言語で放送されている衛星放送、会員制有料テレビ放送、インターネットおよび携帯電話を含むすべてのメディア・プラットフォームを横断しての権利が含まれている。

フランス、ドイツ、スペイン、イギリスとは、直接交渉が現在も続いているが、既に、イタリアとトルコは、それぞれSKYイタリアおよびフォックス・トルコが放映権を獲得している。

1956年のメルボルン五輪から、ヨーロッパはEBU(欧州放送連合)が窓口となりIOCと契約し、良質の映像をヨーロッパ各国に提供し、オリンピック運動の普及に大いに貢献してきた。
ところが2014・16年五輪からこれが崩れることになったのだ。

IOCとSPORTFIVEとの契約に
「この合意は、オリンピック大会の放送中の刺激的な新時代を迎える」
とIOCジャック・ロゲ会長は言っている。
が、これまでIOCは冬季五輪に100時間、夏季五輪には少なくとも200時間の地上波無料放送することが望ましい、としてきた。
今後も無料放送が続くのか、またネット、携帯で五輪がどう配信されていくかも、注目といえよう。

そもそも、昨年2008年12月 EBUは、EBUが提示していた2014年ロシア・ソチ冬季五輪、16年夏季五輪のヨーロッパ向け放送権料額を、IOCが拒否したと発表している。
最近の五輪向けにEBUが、支払ってきた放映権は下記のような金額になる。

2006年トリノ五輪 1億3500万ドル
2008年北京五輪 4億4300万ドル
2010年バンクーバー・2012年ロンドン五輪 7億4000万ドル 

そして
EBUは、2014年ソチと2016年五輪に IOCから10億ドル以上を要求された、としている。

そして交渉決裂。
IOCは、1956年から50年以上続けてきたEBUとの関係を破棄、今回のSPORTFIVEとは3億1600万ドルの大型契約となった。

額が4年前、8年前よりも下がっている訳ではない。
既に別途契約をしているイタリア、トルコは含まれていないし、今後個別に交渉するイギリス、フランス、スペイン、ドイツは当然含まれていないのだ。

IOCの狙いが、EBU加盟のヨーロッパの大国の放送事業者との個別交渉で、放送権料収入の増加を計ることは明確だ。

この流れは韓国でも起きている。
韓国の五輪放送は、これまでKBS、SBS、MBCが同時に同じ競技を中継してきた。
日本でいうジャパンコンソーシアムにあたる韓国アソシエーション(KA)が、IOCと契約し、韓国内での人気種目は、複数局同時放送をしてきた。
ところが2010年・12年五輪、さらには2014年・16年五輪はSBSの単独での放映権獲得となった。
SBSとは、北京五輪の開会式のリハーサルの模様を勝手に放送してしまい、中国の怒りを買った放送局といえば覚えている人もいるかもしれない。

2010年バンクーバー五輪と2012 年ロンドン五輪に3,300万ドル、2014年ソチ五輪と2016年夏季五輪に3,950万ドルという契約をしている。
この契約は2014年ソチ五輪開催決定以前になされたものである。
2014年冬季は、開催地を巡って平昌とソチが争ったのだが、「平昌が勝てるのではないか」という見込みがあったようだ。

さて、五輪放映権の過半数を払うアメリカ(NBC)、国別では世界2位の金額を払う日本の放映権交渉は未だ始まっていない。
ともにシカゴ、東京という有力候補を抱え、特にNBCの意向が、IOC委員の投票にも大きく影響するからだ。

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