JOC歴代役員の人脈を生かせ
5月19日にJOCで東京五輪招致に向けての動きがあった。
JOCは、元会長の古橋広之進顧問、元副会長の松平康隆氏、笹原正三氏ら歴代の幹部を集めて東京都内で昼食会を開き、2016年夏季五輪の東京招致に向け、それぞれの人脈を生かした協力を要請した。
新聞などによるとこんな発言があったという。
川廷栄一元JOC副会長
「10月のIOC総会では、1回目の投票で1位か2位にならないと勝てないと思う。そのためにはまずアジア(のIOC票)をきっちり押さえることが大切ではないか」
松平康隆元JOC元副会長
「支援を頼まれればやる。JOCをやめて初めての会だったが、温故知新を大事にすることは悪くない」
元会長の古橋広之進JOC顧問はIOCの世論調査で東京の開催支持率が56%だったため、
「これじゃ勝負にならない。マドリードは90%近くだろ」と心配している。
また、7月1日のアジア・オリンピック評議会(OCA)総会で、東京開催を全面的に支持する決議を求めることを要望した。
これは、欧州オリンピック委員会理事会が、マドリードの全面支持を決めたためだ。
河野事務総長はOCA理事でもある竹田恒和会長に対し、「支持を決議していただければ弾みが付くと思う」と話した。
OCAで決議をすることは容易ではないだろう。
というのも2016年夏季五輪が東京に決まることを望まない国もあるからだ。
韓国は2018年冬季の平昌が既に立候補を決め、2020年夏季には釜山が名乗りを挙げている。
また、インドは2020年夏季にデリーが立候補する方針だ。
2016年夏季に立候補を表明し、最終候補としに残れなかったドーハの再挑戦もあり得る。
2016年が東京になると、2020年のアジア開催はない、2018年も冬とはいえ、アジアが続くことは難しい。
OCAの会長はシェイク・アーマド氏。
昨年ハンドボールの「中東の笛」で話題になった人物だ。
現時点では東京支持を表明しているが、腹の底では何を考えているか判らない。
JOCは元々日本体育協会の一委員会という位置づけだった。
そのため独立性に乏しく、モスクワ五輪では、政治の圧力に屈しボイコットに追い込まれたという屈辱の歴史を持つ。
当時から体協からの独立を訴えてきたが、独立できたのは1989年。
ソウル五輪で日本チームが惨敗したことが引き金となった。
そのため、JOC独立以前は、その筆頭者は委員長、独立以降は会長が要職名となっている。
●JOC委員長 (敬称略1962年以前は略)
竹田恒徳(1962年~1969年)東京五輪開催 現JOC会長竹田恒和氏の父親
青木半治(1969年~1973年)札幌五輪開催
田畑政治(1973年~1977年)
柴田勝治(1977年~1989年)モスクワ五輪ボイコット 名古屋五輪招致失敗
●新生JOC会長
堤義明(1989年~1990年)
古橋広之進(1990年~1999年)長野五輪招致、同開催
八木祐四郎(1999年~2001年)大阪五輪招致失敗
竹田恒和(2001年~)
JOC副会長は、長い間置かれていなかった要職だが、長野五輪前にJOC内の業務が煩雑化し1995年から置かれている。
過去にはこうした人物が務めている。
松平氏始め豪腕(強引?)ぞろいだ。
松平康隆 1995年~ 元国際バレーボール連盟副会長 72年五輪金メダル監督
笹原正三 1995年~ 元国際レスリング連盟副会長 56年五輪レスリング金メダリスト
小掛照二 1999年~ 元陸上三段跳世界記録保持者 56年五輪8位
上田宗良 1999年~ 元国際ホッケー連盟常務理事、アジアホッケー連盟副会長
川廷栄一 2003年~ 元国際テニス連盟副会長
小粥義朗 2003年~ 元全日本柔連副会長
小野清子 2005年~ 参議院・国務大臣(当時) 64年五輪体操団体銅メダリスト
川淵三郎 2005年~ 元日本サッカー協会会長 64年五輪8位、
林務 2005年~ 元日本水泳連盟副会長
そして現在は日本レスリング協会会長の福田富昭氏と、ミズノの水野正人会長が副会長を務めている。
かつて荻村伊智朗さん(1994年没)という方がおられた。
卓球が五輪種目になる前に何度も世界王者になり、引退後は国際卓球連盟会長、JOC国際委員長も務めた方だ。
この荻村さんが長野五輪召致に非常に貢献された。
残念ながら長野五輪前に亡くなったのだが、国際的な知名度、影響力など際立った存在だった。
こうした人物が今日本にはいない。
The comments to this entry are closed.
Comments