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June 24, 2009

朝日新聞6月21日「私の視点」に対して

朝日新聞6月21日付「私の視点」に朱建栄東洋学園大学教授が、2016年五輪招致についての意見を書かれている。が、筆者からすればこれはピントの外れた理想論に過ぎない。
それはこんな内容だ。

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朱教授の専門は中国の政治外交史だそうだが、スポーツ外交には強くないようだ。
欧米では2回、3回と五輪開催をしている都市があるかのように書いておられるが、実際のところ、夏季冬季を含めても2回五輪開催した都市は7都市あるものの、戦後2回開催した都市は、デンバーが返上し、急遽2回目が決まったインスブルック(冬季1964・76年)のみである。
ロンドンは戦後初の1948年大会を開催し、次回2012年年大会を開催して戦後2回目、通算3回目となる。
戦前に2回の開催経験のあるパリも、戦後は3回落選、ローマ(60年開催)もメルボルン(56年開催)もモスクワ(80年開催)も、再度立候補すれど、2回目の開催は成し遂げられていない。
だから2回目の招致を目指す東京も苦戦することは必至だ。

2016年大会に立候補しているマドリードは、様々な条件を満たした有力候補だ。
だが、本命になれないのは2012年夏季五輪がロンドン、2014年冬季五輪がソチとともに欧州で開催されるためだ。
同一大陸での連続五輪開催を禁止した文言が、五輪憲章にある訳ではない。が、戦後夏季五輪が同一大陸で続けて開催されたのは戦後直ぐの1948年・52年の1回しかない。
そのため、アジアでも欧州でも、将来の五輪招致を目指す国は隣国の立候補都市の動きに過敏になる。
例えば2018年冬季五輪には韓国・平昌が既に立候補を表明し、中国にも立候補の兆しがある。
夏季と冬季の違いはあるものの、2016年が東京に決まると、平昌もハルビン(?)も非常に厳しいだろう。
これは地域的にアジアが続くということと、アジア開催の五輪は、欧米からは大きな時差が生じ、テレビ視聴率の苦戦が予想され、テレビ放映権が押さえられる可能性があるからだ。
テレビ放映権が、IOCの屋台骨になっていることはいうまでもない。

そして、2020年夏季五輪にはアジアだけでも、釜山、ドーハ、デリー、クアラランプール、台北が招致に意欲的である。
こうした国々は東京開催に易々と賛成、協力するだろうか?

招致側とIOC委員の駆け引きは、互いの思惑に、ウラに表に絡み合う。
こうした五輪招致レースを「魑魅魍魎の世界」とはよく言ったものだ。

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