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July 13, 2009

米オリンピック委員会 NBCテレビにケンカを売る?

米ケーブルテレビ(CATV)最大手のコムキャストと米オリンピック委員会(USOC)は8日、CATVの新チャンネル「USオリンピック・ネットワーク(USON)」を創設する計画を明らかにした。

これはすごいニュースかもしれない。

日本と異なり、アメリカの五輪放映権は、ひとつのネットワークが独占する形で取得してきた。
1988年のソウル五輪以降、NBCが常に放映権を獲得し、五輪といえばNBCのイメージが出来ていた。
そして2008年から、NBCはユニバーサル・スポーツという名のチャンネルを開始し、オンデマンドもしくはインターネット上で過去の五輪の名場面を見ることができるというサービスを始めていた。

NBCは2010年冬季と、2012年夏季五輪の放映権として22億ドルもの巨額を支払っている。
また、余り知られていないだろうが、NBCの親会社はGE(ゼネラルエレクトリック)で、GEはIOCのパートナー企業TOPのひとつでもある。

これだけIOCに対して貢献している企業グループが米国内にあるにも関わらず、USOCはそのパートナーにコムキャストを選んだということだ。

実は、IOCとUSOCは五輪収入の分配を巡ってもめた経緯がある。

夏季五輪国際競技連盟連合(ASOIF)によると、2005-08年の4年間で、USOCへ五輪収入の分配金が約3億ドル(約294億円)が支払われている。

これは北京五輪で実施された28競技の国際連盟(IF)への分配金の総額に匹敵し、米国以外の各国国内五輪委員会(NOC)への分配金の合計とほぼ同額という高さだ。
また、五輪関連費用は分配比率に応じて各IF、NOCが負担しているはずが、ASOIFの試算でUSOCは約1400万ドル(約13億7200万円)を免除されていた。

これに対し、昨年12月、IOCは、USOCと、2021年以降の五輪収入の分配比率について13年から見直し交渉に入ることで合意、また、五輪関連費用をUSOCが負担することでも合意している。

この経緯からすると、USOCがIOCに反目し、IOCに近くない企業と新たなネットワークを作ったように見える。

実は、2014年冬季と2016年夏季五輪の米国内向け放映権の交渉は、シカゴが2016年の有力開催候補地であることから、10月2日の開催地決定以降に順延され、ジャパンコンソーシアムのようなUSOCを中心に幾つかのネットワークで放映権を獲得するという案も出ていた。

が、USOCに対抗しようというのだろう。
NBCは、14年ソチ冬季五輪、16年夏季五輪の放送権の交渉を単独で行う計画であると、12日になってAP通信が伝えている。


IOC委員にとって、このUSOCの一連の動きは好まざるものではない。
五輪招致をめざすシカゴにとって、大きなマイナス要因であることは間違いない。

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