ベルリンのオリンピアシュタディオンは 8レーンしかない
IAAF(国際陸上競技連盟)は、2002年から五輪、世界選手権は、全てIAAFが認定した「クラス1」の競技場のみで開催と規定した。
であるから、近年の五輪・世界陸上を開催したのは全て9レーンを擁する競技場ということになる。
ちょっと待ってくれ。
開催中の世界陸上ベルリン大会 青いトラックの眩しい競技場は、8レーンしかない。
直走路(ホームストレッチ)は9レーンあるが、事実上使用していない。
世界陸上開催中のベルリンオリンピアシュタディオン(オリンピックスタジアム)は、1936年のベルリン五輪のメイン会場として造られたスタジアムだ。
今年で73年、古いスタジアムが多いヨーロッパでも指折りの古さになる。
なんといっても1936年の五輪、1974年の西ドイツW杯、2006年のドイツW杯と3回の巨大イベントの舞台になったスタジアムは、世界中でもベルリンと、メキシコシティのオリンピコの2つしかない。
オリンピアシュタディオンは、ドイツ2度目のW杯のために2億4200万ユーロかけて改修したという。
日本円にすると約320億円。
この金額は2002年のW杯のために新設された宮城スタジアムやエコパスタジアムよりも高額になる。
2016年夏季五輪の開催地に立候補している東京が、計画している10万人収容(仮設を含む)の新五輪スタジアムの建設費用は898億円。
人類史上最高額のスタジアムであり、海外では10億ドルのスタジアムと揶揄されている。
1964年の東京五輪のメイン競技場だった国立霞ヶ丘陸上競技場は、1958年に竣工、今年で51年目。
かなり老朽化しているが、オリンピアシュタディオンよりは若い。
1991年の世界陸上の舞台だった国立競技場だが、直走路も曲走路も8レーンしかない。
「2016年になぜここを改修して使わないのか」の問いには
「9レーン取るために拡げると敷地がはみ出る」との答えが来た。
もっともサブグラウンドもないという欠点もあるし、「首都にふさわしいナショナルスタジアムを」というのは、文部科学省の悲願でもあるらしい。
ところが、2000年以降の五輪・世界陸上のメイン競技場が何レーンだったか、下記のようになる。
長居と北京以外は実は曲走路9レーンを満たしていないのだ。
国立競技場も直走路が9レーン取れれば、改修もありかもしれない。
国立を生かしたほうが、五輪のレガシーの生きる街をアピールできるかもしれないぞ。
●参考記事
新オリンピックスタジアムの建設費用は898億円 石原慎太郎都知事 「国立競技場はダメだ」
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Comments
確かに8レーンでもOKかもしれませんが、現在の神宮外苑でメイントラックと同じ方位とレーン数のサブトラック、投てき練習場を確保することは事実上不可能ではないでしょうか。64年の時は東京体育館が小さく、南側に同等のサブトラックがとれていたので可能だったのですし。
それよりは、晴海に造るスタジアムをいかに安く造るのか検討したほうが良いと思います。
Posted by: ぱち | August 21, 2009 09:10 AM
コメントありがとうございます。
書いていただいたことは判っているつもりです。
ただ、(ヨーロッパの人には忌まわしい存在かもしれないですが)ベルリンのオリンピックスタジアムが、見事に改修されて、ヨーロッパ中の陸上ファンが集っている様子を見て、国立競技場に思い入れのある人間として、うらやましく思った次第です。
>晴海に造るスタジアムをいかに安く造るのか
本文にも書きましたが10億ドルのスタジアムは、金額が一人歩きしてしまい海外でも不評です。
また、新スタジアム、国立、味の素、日産の4つの巨大競技場を五輪後どう使っていくか、課題は多いですね。
Posted by: 管理人 | August 21, 2009 10:32 AM
こんばんは。お久しぶりです。
世界陸上の映像を見ていると、このオリンピアシュタディオンが、『民族の祭典』で見るスタジアムと同じところとはとても見えないですね(笑)オーロラビジョンのところの両側の柱にわずかに面影が見える程度です。
澤野大地のやや情けない決勝通過の様子を見ながら(自らの失敗はともかく、自分が残れるかどうか気になってうろうろする様子がね)、あの西田・大江が健闘した場所を汚さないように決勝では頑張ってくれ、という気持ちになりました。今日の夜中に決勝ですね。
私もバカ高い費用がかかるスタジアムはナンセンスだと思います。W杯サッカーの、さいたまとかエコパの二の舞はしてほしくないですね。
霞ヶ岳のサブですが、絵画館前の軟式野球場を潰せば・・・(笑)
私は野球が大好きですが、だめかなあ。
36年のベルリン当時は100mの決勝などは、6人でやっていましたが、あれはやはり着順を目視し、手動計時でやらなければならなかったからでしょうか。
Posted by: でいのしん | August 22, 2009 09:41 PM
でいのしん様
ご無沙汰です。
やっぱり世界陸上開催中は見入ってしまいます。
出場している選手達は、ベルリン五輪は意識していないのかと思いきや、アメリカチームのユニフォームの左上の「JO」に気が付きましたか?
ジェシー・オーエンスのJOです。
ヒトラーとの確執が今も伝えられるオーエンスですが、アメリカの陸上選手にとっては、オーエンスが今なおレジェンドなんでしょうね。
どうしても1936年とリンクさせてしまうベルリンです。
Posted by: 管理人 | August 23, 2009 09:13 AM
女子マラソン、尾崎さんの銀メダル、良かったですね。
>アメリカチームのユニフォームの左上の「JO」に気が付きましたか?
知りませんでした。ビデオで見たら、たしかに左肩に見えますね。
アメリカチーム、男子100×4リレーでまた失格していましたが、ビデオで見る限り微妙ですね。3走から4走へパスする時に、一発で取れなくて、持ち替えた時にバトンゾーンを出てしまったということなのかな。
>ヒトラーとの確執が今も伝えられるオーエンス
三冠達成のアメリカの英雄に、ヒトラーが直接面談したりしたのでしょうか。『民族の祭典』で見るオーエンスは、勝っておごらずという感じで非常に良いイメージですね。何があったか、知りたいです。
あまり関係ありませんが、三段跳びで世界新で優勝した田島直人さんが、「三段跳びの金より、オーエンスらと対等に渡り合った幅跳びの銅の方が誇らしい」と言っていたとか。
さて、やり投げの予選で、一発を決めた村上幸史の決勝に期待が掛かってしまいます。頑張って欲しいです。
Posted by: でいのしん | August 23, 2009 10:49 PM
「ヒトラーとオーエンスの確執」というわけではないかもしれませんが、ヒトラーは他の金メダリストとは握手をしたにも関わらず、オーエンスには拒否した、とまことしやかに伝えられています。
後年の人が、作りあげた寓話のような気もしますが・・・。
次回の世界陸上は、韓国・大邱。
韓国の陸上のレベルは李鳳柱が引退した今、世界的選手はゼロ。
孫基禎さんも天国でイライラしているでしょう(笑)。
Posted by: 管理人 | August 24, 2009 07:21 AM