国際水泳連盟とSPEEDO社の濃密な関係
今回のローマの世界水泳で出た世界新記録は43。
余りの記録ラッシュを生んだ高速水着は、来年の1月以降廃止されることになった。
とは言うものの、水着問題の根本的な解決には至ることはない。
というのも、FINA(国際水泳連盟)とスポンサーであるSPEEDO社は共に繁栄を願う運命共同体であるからだ。
1月以降の廃止の決定は、ジャケド社やアリーナ社のラバー素材やポリウレタン素材を使った水着が、レーザーレーサー(LZR)よりも高速であることが証明されたSPEEDO社の意向であることは間違いない。
世界水泳をご覧になった方は気づかれたであろうが、LZRを開発したSPEEDO社は、Nikonやヤクルト、オメガ等と共にFINAのスポンサー企業を務めている。
SPEEDO社からFINAに毎年支払われているスポンサー料は100万ドル。
そして、今大会で世界新記録を出した選手には、FINAから2万5000ドルのボーナスが出された。
世界新記録は43だったから
43×2万5000ドル=107万5000ドル
とFINAはSPEEDO社からのスポンサー料を上回る賞金を払う羽目になった。
とは言っても、スポンサーにはNikonもヤクルトもあるし、FINAには全く問題はない。
ジャケド社やアリーナ社の大躍進は、SPEEDO社にとっては予想以上だったとは思うが、競泳という商品にとってはこの上ない広告になったのだ。
世界新が連発され、メディアで高速水着が話題になり、普段競泳に関心のない層もテレビ中継をみるようになった。
メーカーにとってもテレビ、新聞で連日自社ブランドが連呼され、広告効果は計り知れないものがあったはずだ。
そんな金のなる木をFINAはみすみす切ることはしないだろう。
中でもSPEEDO社に不利益なことをすることはない。
●大会別の世界新の数 近年は高速水着の影響が際立つ
2009年ローマ世界水泳 43
2008年北京五輪 25
2007年メルボルン世界水泳 14
2005年モントリオール世界水泳 9
2004年アテネ五輪 6
2003年バルセロナ世界水泳 14
2001年福岡世界水泳 8
一方、大阪の素材メーカー 山本化学工業はFINAの新規定に適合する織物の「高速水着」素材を10月に発売すると発表した。
山本化学工業は、アリーナの社の高速水着『Xグライド』に素材を提供した企業だ。
そして、山本富造社長はFINAが今年に入り、水着に関するルールをたびたび改定したことについて「(英国の)スピード社とFINAの一体感があり過ぎ、(同社の意向で)ルールが変わる」と批判。「フェア(公正)に技術革新することが大事だ」と強調した。
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