バスケットスペイン代表欧州を制す ここから見えてくるもの
ポーランドで開かれていた2009年バスケットボール欧州選手権男子(兼2010世界バスケ欧州予選)は、21日スペインが85-63でセルビアを破り、初の欧州王者となった。
マドリードの市役所前には、バスケの優勝を祝うとともに、これを2016年夏季五輪招致成功の前祝いとする20000人の市民が集まった。
バスケットの欧州選手権のニュースは、日本ではまず流れることはないが、欧州は今やアメリカと並ぶバスケットボールの本場である。
そしてスペインは、欧州バスケの中心である。
1992年のバルセロナ五輪 アーチェリーで聖火を点灯させたパラリンピック選手のアントニオ・レボジョに、聖火を引き継いだのがフアン・アントニオ・サン・エピファニオ。
バルセロナ市民が今も当時を懐かしむエピファニオは当時33歳。
スペインバスケット界のスーパースターであり、ロサンゼルス五輪銀メダルのメンバーの一人でもあった。
自他共に認める欧州のバスケ強国とはいうものの、なかなかビッグタイトルが獲れなかったスペイン代表だが、日本開催だった2006年世界バスケットボール選手権で初優勝、今年の欧州選手権が2つ目のビッグタイトルとなった。
このスペイン代表の快挙を見守った一人に、国際バスケット連盟(FIBA)会長のパトリック・バウマン(42歳=スイス)がいた。
バウマンは現役のIOC委員のひとりであり、10月2日にコペンハーゲンで2016年夏季五輪開催地を決めるために1票を行使する一人でもある。
一方、今年の8月には中国・天津で、欧州と同様に男子バスケットボールのアジア選手権が開催された。
出場したのは16カ国。
イランが大会2連覇を達成し、中国・ヨルダンとともに2010年世界選手権(トルコ)の出場権を獲得した。
地元開催だった2006年に続いての世界バスケ出場を目指した日本代表は、なんと10位に終わった。
これは日本代表のアジア選手権における過去最低の成績でもある。
五輪においては、サッカーよりもバスケットが、最も世界中の関心を集める球技であるといって良いだろう。
(バスケもそうだが)球技全般の国際競争力が、五輪招致に影響することを忘れてはならない。
日本では、1964年の東京五輪をきっかけにして各競技団体が組織化され、多くの球技で日本リーグが誕生した。
ただそのチームは企業チーム、実業団であり、一端不景気になると、「企業の論理」で簡単に廃部されているのが現状だ。
筆者自身は、世界の流れからも、企業チームからクラブへの移行、そしてトップリーグのプロ化は日本のスポーツ界の健全な発展のために必要であると考えている。
その契機となるのは、2016年の東京五輪以外にはあり得ない。
違う言い方をするならば、五輪という大儀名分以外に、ドラスティックなスポーツ界の改革はできないのだ。
東京五輪招致に反対する、あるいは賛成しない人たちに、健全な日本のスポーツの発展のために五輪招致が必要であるという訴え方もあったのではないか。
環境に優しい五輪とか、成熟した都市の再構築といったコンセプトよりも、素直に心に響いたと思うのだがいかがだろうか。
●参考記事
欧州籠球事情 バスケットユーロ
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