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October 26, 2009

浅田真央とナディア・コマネチ

2010 Vancouver

GPファイナル進出が絶望的となった浅田真央は「照準を全日本選手権に合わせる」と決意表明した。
ショートプログラム、フリーとも曲は変えないという。

4年前、浅田真央がGPファイナルに優勝しても、年齢制限で五輪出場が適わなかった。
大人になり切っていない体のジュニア選手は、高難度のジャンプやスピンをこなすのに有利になる場合があり、シニアの選手と同じ土俵で勝負させるのは不公平である、という見方があった。
迫力や表現力に若さの残る選手が、高難度技で五輪の金メダルを獲ってしまうのは、フィギュアの真の面白さを損なうのではないか、という考え方だ。

調べてみると、浅田の中学2年頃(2004年)の身長は153㎝、2005年のGPファイナル優勝の頃が158㎝、現在は164㎝といわれている。
身長が伸びることによって、微妙にジャンプの感覚がずれていくだろうことは素人にも判る。
今の浅田の滑りを見て、一人の天才と呼ばれた選手を思い出した。

彼女の名前はナディア・コマネチ。

コマネチが世に出たのは、1976年のモントリオール五輪。
ルーマニアの白い妖精と呼ばれ、段違い平行棒と平均台で7回の10点を出した。
当時、コマネチの身長は154㎝だった。

コマネチを指導していたコーチは、ハンドボールの選手だったベラ・カロリー氏。
1977年の欧州選手権を境にカロリーは、ナショナルチームを離れることになり、コマネチの練習環境は一変した。
ちょうどその頃、コマネチの両親が離婚、彼女のストレスはピークに達した。
さらに悪いことに、コマネチはまだ成長期にあったのだ。

1978年 フランス・ストラスブールで開かれた世界体操選手権に姿を見せたコマネチに、メディアは仰天した。
身長が8cm伸び、体重も増え、白い妖精の面影が消えていたからだ。

ルーマニアのライバルであるこの当時のソビエト代表チームは、2年後のモスクワ五輪を控え、精鋭が揃っていた。
個人総合の上位は
エレナ・ムヒナ
②ネリー・キム
③ナタリア・シャポシニコワ
とソビエト勢が独占する。
コマネチは、あろうことか、自らの代名詞でもある段違い平行棒で落下(写真)、4位に終わった。

9

10

だが、コマネチの凄いところは、ここからモスクワ五輪に向けて建て直しを果たすところだ。
恩人であるカロリーコーチとの二人三脚が復活し、身体を絞り込んでモスクワ五輪を迎えた。

モスクワ五輪の女子体操は、ソ連びいきの不透明な採点が出て、後味の良くない大会であるのだが、コマネチは予想以上に気を吐いた。
個人総合ではエレナ・ダビドワ(ソ連)に次いで銀メダルに終わったが、平行棒と床で金メダルを獲り、生涯獲得金メダルを5個とした。

この頃思ったのは、やはりコマネチはオリンピックの申し子だ、ということ。
世界には、五輪のない年は全く不調であっても、五輪になると調子を合わせ、活躍する選手がいる。
日本でいえば、体操の加藤沢男さん、平泳ぎの北島康介。コマネチもそうだ。

逆に自他共に認める世界の第一人者でありながら、五輪ではついに勝てない選手もいる。
鈴木恵一さんとか古橋広之進さんとか。

浅田真央は、後者になってしまう予感がする。

●参考記事
オリンピックの記憶(9) ナディア・コマネチの伝説

さすがオリンピックの申し子コマネチ 44歳にて第一子を妊娠 トリノオリンピック開幕直前に発表

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冬季オリンピック 栄光と挫折の物語
Pyousi_2

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Comments

結論を出すのは早すぎるように思います。
私は、トリノ五輪の騒動のときに、浅田選手に特例でトリノに行かせろという騒動には辟易としていましたし、正直、悪者にされた安藤選手にいささか同情的な立場ではありますが・・・
荒川静香選手を思い出してください。
彼女がトリノで頂点に立ったのは二十四歳で史上最年長と言われていました。荒川選手は長野に出場したときに十六歳、ソルトレークには出場できず、トリノに出場したのはシニアの競技生活の中で迎える「三度目」の五輪でした。
五輪年を何歳で迎えるかという年回りから考えれば、浅田選手は荒川選手より若い年回りで迎えるのです。
次回のソチ五輪でもトリノの荒川選手より年下です。
むしろ息長く競技生活を続けて、そのうえで頂点に立ってほしいと思うのです。(実は、国際スケート連盟や日本のスケート連盟の内心そう思っているような気もしますが・・・スターには長くエリジブルでいてもらいたいと思ってるようです。)

Posted by: asou | October 26, 2009 at 06:27 PM

いや、結論を急ぎすぎたつもりはもちろんありませんよ。

でも、確かにTV局も、スポンサーも、あるいは見ている我々も、バンクーバーの金メダルにこだわり過ぎですね。


>息長く競技生活を続けて、そのうえで頂点に立ってほしいと思うのです。

ずばりですね。いい意見だと思います。

Posted by: 管理人 | October 26, 2009 at 09:31 PM

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