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October 09, 2009

2016東京招致失敗の原因を考える(3) IOC選手委員選挙に見る日本の地位低下

東京の招致失敗でも見えるように、世界のスポーツ界において日本の地位・発言力は下落したままだ。
北京五輪を成功させ、年々その地位を挙げる中国と、巧みな選挙術で重要なポジションを固める韓国。
その狭間にあって年々その地位を下げているのが日本だ。

先のIOC総会では、招致に立候補している各都市に付けられる番号のくじ引ききがあった。
東京は「8」、リオは「7」になったのだが、このくじの際にムンと呼ばれる長身の東洋人が、アシスタントをしたのをご覧になった方もいるのではないだろうか。

この男の名前は文大成、韓国人であり、アテネ五輪テコンドー80㎏+級の金メダリストだ。
その文氏がなぜあの場にいたのか?
彼がIOC委員だからだ。

IOC委員というと、世の中の表裏を見尽くしてきたような老人を思い浮かべるかもしれないが、こんな若い人もいるのだ。
文大成は、正確にはIOC選手委員で、通常のIOC委員同様に立候補都市を決める投票にも参加できる。
通常のIOC委員と異なるのは、任期が8年と決まっていることだろうか。
IOC選手委員は、若くしてIOCの中枢に学び、将来は世界のスポーツ界のリーダーになる人材と言えるだろう。

IOC選手委員は、選手とIOCの橋渡し役として1981年に創設された。
同年のバーデンバーデンのIOC総会で、選手委員に選ばれた、あのセバスチャン・コーが、前年のモスクワ五輪ボイコットに対し、大演説をぶったのは有名なはなしだ。(日本では誰も知らないが)

1999年に発覚したIOCスキャンダル以降、選手の立場から強力に意見具申するために、IOC委員を兼ねるようになった。
夏季・冬季五輪開催中に、参加した選手の投票によって当選者が決められる。
が、新制度になってから日本人選手で当選した者はない。


●過去のIOC選手委員選挙結果 2008.08.22(北京五輪)
4人当選 任期8年
①文大成(韓国・テコンドー 3220票)
②アレックス・ポポフIOC委員(ロシア・水泳 1903票)再選
③クラウディア・ボケル(ドイツ・フェンシング女子 1836票)
④ユミルカ・ルイス(キューバ・女子バレー 1571票)
の4名が当選した。
日本から満を持して立候補したのは室伏広治だったが、
15位 室伏広治 (落選) 
立候補は29人

選手委員といっても、現役選手が当選するのはやはりきついものがある。
このとき、地元中国からは、劉翔が立候補したが、9位で敗れている。
韓国の文大成は、既に現役は引退していたが、テコンドーという(失礼ながら)超マイナー競技出身者で当選した。
今更ながら、韓国の選挙の上手さが判るだろう。

2006.02.23(トリノ五輪)
15人立候補 2人当選
①のベッキー・スコット(カナダ・スキー距離女子 449票)
②サク・コイブ(フィンランド・アイスホッケー 412票)
③落選 荻原健司(ノルディック複合 392票)

この4年前、ソルトレークシティ五輪の際にも荻原氏は立候補している。
このときはまだ現役選手で、力の入れ方がこのときとはまるで違った、はずだったが、
落選。
世界の荻原と呼ばれた人間が周到に準備をした積りでいても、選手委員になれないのが、日本のスポーツ界の実力だ。

ご存知のように、荻原氏のノルディック複合でもジャンプでも、度々日本に不利なルール改正が行われ、トリノ五輪での日本選手団の不振の一因になったことはいうまでもない。
日本の発言力を高めるために、そして2016年以降の夏季五輪招致の顔となるべく、荻原氏には期待したが、届かなかった。

ちなみに荻原氏の2002年の結果はこうだ。

●2002年IOC選手委員選挙結果
4人当選
①ペニッラ・ビーベリ(スウェーデン・アルペンスキー 640票)
②マヌエラ・ディチェンタ(イタリア・クロスカントリー 593票)(以上任期8年)
③ヤリ・クリ(フィンランド・アイスホッケー 579票)
④オドネ・センデロール(ノルウェー・スピードスケー 427票ト)(以上任期4年)
  中 略
⑦荻原健司(落選 360票) 
立候補は10人

2000年にはテニスの松岡修三氏も立候補したが、完敗している。

●2004年IOC選手委員選挙結果
4人当選
①フランク・フレデリクス(ナミビア・陸上男子短距離)
②ヤン・ゼレズニー(チェコ・やり投げ)
③ヒヒャム・エルゲルージ(モロッコ・陸上中距離)
④ラニア・エルワニ(エジプト競泳)
日本人の立候補なし

●2000年IOC選手委員選挙結果
8人当選
①セルゲイ・ブブカ(ウクライナ、陸上男子)
②アレクサンドル・ポポフ(ロシア、競泳男子)
③スーザン・オニール(豪、競泳女子)
④ロバート・ストブルトリック(米、バレーボール男子)
⑤ヤン・ゼレズニー(チェコ、陸上男子)
⑥シャーメーン・クルックス(カナダ、陸上女子)
⑦ロラント・バール(独、ボート男子)
⑧マヌエル・エスティアルテ(スペイン、水球男子)
23位 松岡修造(落選)

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Comments

地位向上を目指さすにはやはり英語力と説得力が必要ですね。

Posted by: 石井 | October 11, 2009 at 04:16 PM

石井様

このブログご存知ですか?
参考になりますよ。

http://blog.goo.ne.jp/singaporesling88/e/804ed6a101d0c8f72819b5873e918c67

http://blog.goo.ne.jp/singaporesling88/e/e97d82cba4f5a1e5409d9501c2cdccfb

Posted by: 管理人 | October 11, 2009 at 04:40 PM

見てみました。ありがとうございました。
ところで、広島と長崎が2020年五輪の招致を検討していますが、管理人さんはどう思いますか?

Posted by: 石井 | October 11, 2009 at 05:57 PM

広島・長崎ですか。
確かに広島なら、東京よりも国内外の賛同を得られるかもしれません。

ただ、94年のアジア大会には行きましたが、競技施設が点在し、非常に便が悪かった印象です。
収容人数も少なく、ほとんどの施設(ホテルも)を新設する必要がありそうです。

広島に刺激を受けて、東京も再立候補を表明してほしいというのが、今の率直な感想です。

Posted by: 管理人 | October 12, 2009 at 04:35 PM

いつも興味深く、情報の厚さに驚きをもって拝読しております。
初めてのカキコミでなんなんですが、

×松岡修三
○松岡修造

ですね(^^;)

Posted by: mina | October 27, 2009 at 10:59 AM

ご指摘ありがとうございます。
早速直しました。

Posted by: 管理人 | October 27, 2009 at 11:34 AM

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