ロバとツル
ファツマ・ロバというマラソンランナーを覚えているだろうか。
アトランタ五輪でロシアのエゴロワ、日本の有森裕子を抑えて金メダルを獲った選手だ。
ロバと言う名前が日本語の驢馬(ろば)を思わせる、印象深い選手だった。
実はエチオピアには他にもツルやワニがいる、と当時話題になった。
ワニは結局ワミの誤りだったが、ツルは本当にいた。
1984年のロサンゼルス五輪女子400m障害で金メダルを獲ったのが、モロッコのナワル・ムータワキル。
そう、IOC委員でインスペクションの団長として東京にも来たのは、まだ記憶に新しい。
このムータワキルに次いでアフリカの女子選手で2人目の陸上金メダリストになったのがデラルツ・ツルだ。
1992年のバルセロナ五輪の女子1万mで優勝した。
1972年生まれのツルはこのとき20歳。
このツルが、今年の11月1日に行われたNYシティマラソンでなんと優勝したのだ。
今年37歳になった。
記録こそ2時間28分52秒と平凡だったが、まだ走っていたとは、驚きである。
ツルは、息の長い選手だ。
世界デビューは、1991年の東京世界陸上。
19歳のツルは1万mで8位になった。
イギリスのマッコルガンが、ノルウェーのクリスチアンセン等に勝ったレースなのだが、残念ながらツルのことは全く覚えていない。
ツルの主なレース結果をまとめてみた。
1991年 東京世界陸上 1万m8位 (19歳)
1992年 バルセロナ五輪 1万m1位 (20歳)
1995年 イエテボリ世界陸上 1万m2位 (23歳)
1996年 アトランタ五輪 1万m4位 (24歳)
2000年 シドニー五輪 1万m1位 (28歳)
2001年 エドモントン世界陸上 1万m1位 (29歳)
2004年 アテネ五輪 1万m3位 (32歳)
2009年 NYマラソン 1位(37歳)
20年近くも世界のトップにいることになる。
なお、今年のNYマラソンには3連覇を狙ったイギリスのラドクリフも出場したが、4位に終わっている。
ラドクリフも12月には36歳になる。
地元開催のロンドン五輪での金メダルを目指しているが、果たしてどうだろうか。
女子のスポーツは、以前なら考えられない高年齢の選手が、現役で活躍していることに驚かされる。
マラソンもそうだ。
北京五輪も
1.コンスタンティナ・トメスク(ルーマニア)38歳
2.キャサリン・ヌデレバ(ケニア)36歳
3.周春秀(中国)29歳
と上位2人が30代後半のママ選手。
ちなみに高橋尚子はこの当時36歳だった。
蛇足ながら付け加えると、ファツマ・ロバは、2004年の長野マラソンが最後のレースになった。
このとき31歳である。
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