バンクーバー五輪を支えるテレビ放映権料 日本はいくら払ったか?
バンクーバー五輪も目前になったが、日本およびアメリカの支払うテレビ放映権料が、五輪を支えていることはご存知だろう。
今回、日本もアメリカも、バンクーバー冬季五輪単体での放映権の契約は行われていない。
どちらも2010年冬季(バンクーバー)と2012年夏季(ロンドン)の一括契約がなされているのだ。
日本側はNHKと民放連で構成する「ジャパン・コンソーシアム(JC)」が2008年5月に、アメリカ側は4大ネットワークの内のNBCが、なんと2003年6月にIOCと契約した。
なぜ、「なんと」かというと、この2003年時点では、2010年・2012年ともに開催地がどこになるか決まっていなかったためだ。
夜を徹して五輪中継を見るなんてことをアメリカ人はしないため、北米以外で五輪が開催されると、視聴率は格段に悪くなる。
2010年は事前からバンクーバー有利と言われてはいたが、もし平昌にきまっていたら慌てただろう!?
日本側にとっては、それまでのドルに代わって、初めて円建てによる契約がなされたことも特筆すべきことだ。
そのため日本側の金額は単純比較が出来ないが、NBCの契約は06年トリノ冬季、08年北京夏季五輪の計15億800万ドルに比べ、約32・7%の大幅増となっている。
五輪全収入の52%をテレビ放送権料が占め、その大半を米国NBCという一企業が負担する構図は、商業五輪のいびつさを物語っている。
IOC内部ではこうしたことが言われている
「五輪の放送価値がここまで高まった今、もはやどこが開催地かは関係ない」。
先に、2016年夏季五輪がリオデジャネイロに決まったが、確かに発展途上国開催によるリスクはある。が、莫大な放映権料があり、政府による財政保証も取り付けているため、東京でやろうが、リオデジャネイロでやろうが、IOCにとっては関係ない、ということだ。
かつては、冬季五輪は規模が小さく、夏季五輪と同年に開催されていた。
これが1986年、大きな転機を迎える。
この年の10月に開かれたIOC総会では、
「冬季五輪は夏季五輪の中間年に実施する」
ことを正式に決定。
これは、夏季と切り離すことで冬季五輪の注目度が高まり、
「五輪ビジネスがより拡大するし、放映権を持つ米テレビ局の営業がやりやすくなる」
ことが狙いだった。
そしてかつては12日間で開催されてきた冬季五輪は、カルガリー五輪から夏季同様に十六日間の日程で実施されるようになったのも、米国のテレビ局が
「大会中に週末が三回欲しい」
と要望したためだ。
そのために、長い日程を埋めるために新しい種目が冬季五輪に追加されたのはいうまでもない。
ジャンプ団体、ノルディック複合団体、ショートトラックスケート、フリースタイルスキー、スノーボード、女子のアイスホッケー そしてカーリング。全てここ20年のはなしである。
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Comments
私が初めてオリンピックというものを見たのはシドニーオリンピックです。最近、読売新聞でサマランチさんの特集が掲載されていますが、あれを読んでみて、20年前の激動の五輪の時代を初めて知りました。
社会人になるまであと3年ありますが、将来はどこかでオリンピックの発展を支えていきたいと思います。
Posted by: 石井 | January 20, 2010 09:50 PM
>私が初めてオリンピックというものを見たのはシドニーオリンピックです。
随分若いんですね。(笑)
読売の連載は 結城和香子記者が書いていますね。
結城記者の書いた「オリンピック物語」(中公新書)を読んで見られるといいです。
恐らく近代五輪の問題点を最も端的に書いた本だと思います。
Posted by: 管理人 | January 21, 2010 11:26 AM
なるほど〜。分かりやすい解説有り難うございます。
アメリカでは1局だけの放送、しかもプライムタイムだけに集中しての録画放送なので何だか納得出来ません。すでにネットなどで見て結果は分かっているのに...。
Posted by: まりあ | February 14, 2010 08:23 PM
アメリカからのコメントですよね。
NBCの意図まではこちらでは分かりかねますが、ネットも動画はNBC以外は見られないのではないでしょうか。
例えば日本からNBCのサイトにアクセスして動画を見ようとしても、見ることはできないんですよ。
テレビ放映権といっても現在ではネットまで含んでしまっているのです。
Posted by: 管理人 | February 14, 2010 11:53 PM