« ジャンプ週間と五輪メダルの相関関係 | Main | 葛西紀明6大会連続五輪出場へ »

January 09, 2010

スピードスケート500m金メダルタイムの推移

2010 Vancouver

バンクーバー五輪のスピードスケートで、日本勢の活躍が期待できるのはやはり男子の500m。
トリノ五輪は及川祐の4位が最高だったが、6大会連続(1984-2002)メダルを獲得してきた”お家芸“だ。

500mの世界歴代10傑を作ってみた。
筆者のデータベースから作ったもので実際には ずれている可能性もある(笑)。
先に引退を表明した8位の清水宏保以外は現役選手、残りの9選手の中から3種類のメダリストが出る可能性が高い。

500m

そして、特筆すべきは10傑の全てがソルトレークシティとカルガリーで出された記録であることだ。
1988年の五輪会場だったカルガリー、2002年の五輪会場だったソルトレーク(名称はユタオリンピックオール)。
ソルトレークのスケート会場は2000mを越す高地の室内リンク。
空気抵抗が薄く、好記録が出やすい。

かつて、五輪といえどもスピードスケートは屋外で行われた。
室内リンクが初めて使われたのは1988年カルガリー五輪。
それまで、天候に泣かされてきたスピードスケートにとって革命的なリンクであった。
好記録が出やすい点と、天候によるスケジュール変更があり得ない点が、テレビ放映に歓迎された。

バンクーバーのスピードスケート会場はリッチモンド・オリンピックオーバル。
屋根を低くして抵抗を減らした高速リンクらしいが、世界新がでるほどの高速リンクではなさそうだ。

以下、札幌五輪以降の男女500mの優勝タイムを見て欲しい。
基本的に近年になるほど、そのタイムは良くなってきている。

レークプラシッドの5冠王ハイデン。彼は、五輪記録を1秒以上縮め、4年後のサラエボでもその記録は破られなか
った。
ハイデンの記録が当時としては超人的だったのも事実だが、サラエボの500mの当日、リンクには吹雪が舞い、何と競技開始時間が6時間も遅れている。
日本のエースでメダル候補だった黒岩彰は、その6時間中多くのマスコミを引き連れ、すっかり精神状態を乱し、惨敗した。そうした荒れた環境下でのレースだったため、優勝タイムもハイデンの記録を下回った。

最初の本格的な室内リンクで行われたカルガリー五輪で優勝したメイのタイムも、当時としては驚異的な36秒台であり、メイ自身が屋外で行われたアルベールビル五輪でこの種目連覇した際に、カルガリーでの記録は破ることができなかった。

そして、長野五輪の前年、突如現れたスラップスケート。
ジャンプ競技でいうV字飛景のようにあっという間に主流になったのである。

●スピードスケート 500m優勝タイムの推移
1972年 札幌五輪
男子 ケラー(西独)39.44
女子 ヘニング(米)43.33

1976年 インスブルック五輪
男子 クリコフ(ソ連)39.17
女子 ヤング(米)42.76

1980年 レークプラシッド五輪
男子 ハイデン(米)38.03
女子 エンケ(東独)41.78

1984年 サラエボ五輪
男子 フォキチェフ(ソ連)38.19
女子 ローゼンブルガー(東独)41.02

1988年 カルガリー五輪
男子 メイ(東独)36.45
女子 ブレアー(米)39.10

1992年 アルベールビル五輪
男子 メイ(ドイツ)37.14
女子 ブレアー(米)40.33

1994年 リレハンメル五輪
男子 ゴルビョフ(ロシア)36.33
女子 ブレアー(米)39.25

1998年 長野五輪 2日間に2レースしての合計
男子 清水宏保(日)1分11.35
女子 ルメイドーン(カナダ)1分16.60

2002年 ソルトレークシティ五輪 2日間に2レースしての合計
男子 フィッツランドルフ(米)1分09.23
女子 ルメイドーン(カナダ)1分15.64

2006年 トリノ五輪 1日に2レースしての合計
男子 ジョーイ・チーク(米)1分09.76
女子 スベトラーナ・ジュロワ(ロシア)1分16.57

●オリンピックプラスの電子書籍 346円で発売中
冬季オリンピック 栄光と挫折の物語
Pyousi_2

|

« ジャンプ週間と五輪メダルの相関関係 | Main | 葛西紀明6大会連続五輪出場へ »

Comments

The comments to this entry are closed.