紙一重の金メダル オーサー対ボイタノ 1988年カルガリー五輪
バンクーバー五輪はフィギュア女子のSPが行われ、1位は韓国の金妍児、2位に浅田真央が付けた。
その差は約5点。
2007年の世界選手権で、浅田はSP5位、1位の金妍児に10点以上離されたが、フリーで逆転、安藤美姫に次いで2位になったこともある。
ただし、3年前のこと。
金も浅田も随分成長しているから、逆転はかなり厳しいかも知れない。
金妍児のコーチをしているブライアン・オーサーは、現役時代 カルガリー五輪(1988年)でフィギュア史に残る際どい勝負をしている。
ライバルの名前はブライアン・ボイタノ。
ファーストネームが同じブライアンであるため、ブライアン対決と煽られた勝負だ。
当時は現在とは異なり、審判の採点合計で決まる順位点の合計(規定、ショートプログラム、フリー)で決まった。
ショートプログラム終了時点で首位ブライアン・ボイタノ(米)が順位点2・0、2位オーサーは同2・2。
フリーの1位に順位点1・0、2位に同2・0が加算されるため、フリーで上回った方が優勝だった。
9人の審判はそれぞれ各6点満点の技術点、芸術点を採点し、その合計点で順位を決め順位点が決まる。
ボイタノを高く評価した審判 3人
オーサーを高く評価した審判 4人
両者を同等と評価した審判 2人
この時点でオーサーが上位に来るように見える。
が、規約細則の中にこんな文があった。
「同点は技術点で高得点の選手が上位」
同等と評価した2人の審判は、技術点の高かったボイタノへ行くことに。
ボイタノ 5人
オーサー 4人
となり、フリー演技の順位は
1.ボイタノ 順位点1・0
2.オーサー 順位点2・0
さらにそれまでの順位点にそれぞれが合計され
1.ボイタノ 3・0
2.オーサー 4・2
ボイタノ金メダル、オーサー銀メダルとなった。
オーサーに対し、チェコの審判は、芸術点で満点の6点を付けるほどの出来栄えだった。
が、当時のルールではこうなった。
開催国カナダは、金メダル最有力候補のオーサーが銀メダルに終わり、結局金メダルがゼロに終わってしまったのだ。
規定終了時
1.アレクサンドル・ファデエフ(ソ連)0・6
2.ボイタノ(米国)1・2
3.オーサー(カナダ)1・8
SP終了時
1.ブライアン・ボイタノ(米国)順位点2・0(規定1・2、SP0・8)
2.オーサー(カナダ)2・2(1・8、0・4)
3.ファデエフ(ソ連)4・2(0・6、3・6)
フリー終了時
1.ボイタノ 3・0
2.オーサー 4・2
3.ペトレンコ (ソ連) 7・8(規定3・6、SP1・2、フリー3・0)
ペトレンコがフリーでファデエフを上回り3位に入った。
*1990年までフィギュアには規定があった。
今もアイスダンスに残る規定とは異なり、あらかじめ定められたトレースを氷上に描き、形の正確さ、バランス、エッジワークの優劣を競っていた。
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