グルジアと日本を結ぶ細く長い糸
1996年7月 米国ジョージア州で行われたアトランタ五輪の開会式。
8万の大観衆が、ひときわ大きな歓声を上げた選手団があった。
その国の名は
GEORGIA
アトランタの市民にとって、自分たちの州と同じ名前の国からやってきた選手団に歓声を上げるのは当然だ。
しかもその国がかつての政敵、ソ連の崩壊とともに独立した国であればなおさらだ。
その国は、日本ではグルジアと呼ばれている。
バルセロナ五輪柔道で、小川直也を破って金メダルを獲ったハハレイシビリの母国であり、柔道強国として知られている。
このグルジアの選手に不幸があったことは知っているだろう。
リュージュに出場予定だったノダル・クマリタシビリ選手が公式練習中にコース外に飛び出し、死亡したのだ。
まだ21歳、才能にあふれた将来有望な選手だったという。
皮肉なことに痛ましい事故によってグルジアの名前が有名になった。
フィギュアスケートの競技が今日から始まり、ロシア国籍を取得しロシア代表として出場している川口悠子、アレクサンドル・スミルノフ(ロシア)組は、SP終了時点で3位に付けている。
日本からロシアに国籍を移した川口の一方、米国代表として女子シングルに出場する長洲未来は日米両国籍を持つ。
そして日本代表としてアイスダンスに出場するキャシー・リード・クリス・リード組は父が米国人、母が日本人で2人はミシガン州出身、姉は日本国籍を選択、弟は日米両国籍を持つ。
このあたりまではわりと知られた話だが、リード姉弟にはアリソン・リードという妹がいる。
このアリソンが、実はグルジア代表でバンクーバー五輪に参加しているのだ。
姉弟同様にアイスダンスをしていたアリソンは、昨年5月、コーチの紹介でグルジア人のオタル・ジャパリゼとコンビを組んだ。
9月に五輪出場権を獲得、11月にはグルジア国籍を取得。
バンクーバーには姉兄とは異なる国籍ながら、同じ種目に挑むことになった。
*1992年のバルセロナ五輪にハハレイシビリは旧ソ連EUNの一員として出場。
が、表彰式にはグルジア国旗・国歌が使用された。