バンクーバー五輪・開会式は、開会宣言に注目だ
日本時間の明日午前中、バンクーバー五輪の開会式が行われる。
五輪開会式での開会宣言は、
「開催国の国家元首によっておこなわれる」
とオリンピック憲章に明文化されており、国王、大統領もしくは準じる立場の方が開会宣言を行っている。
2008年の北京五輪では胡錦涛国家主席が開会宣言をした。
まだ覚えておられる方も多いだろう。
そのため過去には、1936年のガルミッシュパルテンキルヘン冬季五輪とベルリン五輪では、アドルフ・ヒトラーが開会宣言をしたこともある。
日本においては1964年の東京五輪及び1972年の札幌五輪には昭和天皇、1998年の長野五輪には今上天皇が、開会宣言をされた。
面白いのは、カナダだ。
1976年モントリオール五輪
私自身も初めて見た五輪開会式だったのだが、このとき開会宣言をしたのは、英国のエリザベス女王だった。
カナダは、英連邦を構成し、英国王を元首としているため、エリザベス女王が開会宣言を行った。
というのが事の次第なのだが、五輪史を紐解くと面白いことが出てくる。
英国本国をのぞく、英連邦の中で最初に五輪を開催したのは1956年のメルボルン五輪。
このとき開会宣言を行ったのは、フィリップ・マウントバッテン氏。
英国女王エリザベス2世の夫(王配)のことで、通称エヂンバラ公、今年89歳になられるそうだが元気だそうだ。
ただ、なぜ、エリザベス女王でなくエヂンバラ公だったか、今となっては詳しいことは判らない。
1988年カルガリー五輪
このときに開会宣言をしたのはジャンヌ・ソーベ総督(女性)。
カナダの国家元首、エリザベス英女王の名代であるジャンヌ・ソーベ総督が務めた。
「第15回カルガリー冬季五輪の開会を宣言する」と、いわなくてはならないところ、
「第15回カルガリー五輪の開会を宣言する」
と、冬季が抜けてしまい話題となった。
2000年のシドニー五輪
オーストラリアで2回目の五輪となったシドニー大会。
この大会で開会宣言をしたのは、ウィリアム・ディーン総督。
カルガリーのときと同様に、エリザベス女王の名代であるウィリアム・ディーン総督が最終的に行ったのだが、実はここに至るまでには紆余曲折があった。
この当時のオーストラリアは、英国女王を元首とする立憲君主制から、大統領を新たに任命し共和制に移行しようとする動きが活発だったのだ。
当時のハワード首相は、共和制移行の国民投票の結果次第では、自身が大統領になり、シドニー五輪の開会宣言を行うことを決め、IOCの承認も取っていた。
ところが、オーストラリアの国民投票で「立憲君主制維持」が過半数となり、ハワード首相の開会宣言は幻と消え、ウィリアム・ディーン総督に落ち着いた。
そして2010年、バンクーバー五輪で開会宣言するのは
ミカエル・ジャン総督。
女性であり、しかもハイチからの移民であるアフリカ系の方である。
カナダ、英連邦というイメージからは、少し違った開会宣言になるかもしれない。
ハイチと言えば、先日の大地震で多くの方が亡くなったばかり。
先日もミカエル・ジャン総督は、五輪終了後に街を飾った公式フラッグをオークションにかけ、収益をハイチに送ることを表明している。
●英連邦での五輪開会式の開会宣言
1908年 ロンドン五輪 エドワード7世
1948年 ロンドン五輪 ジョージ6世
1956年 メルボルン五輪 エヂンバラ公
1976年 モントリオール五輪 エリザベス女王
1988年 カルガリー五輪 ジャンヌ・ソーベ総督
2000年 シドニー五輪 ウィリアム・ディーン総督
2010年 バンクーバー五輪 ミカエル・ジャン総督
2012年 ロンドン五輪 ?
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冬季オリンピック 栄光と挫折の物語
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Comments
私はオリンピック賛歌が大好きなのでどんな形態で演奏されるか楽しみです。
Posted by: 石井 | February 12, 2010 04:16 PM
どうも遅くなりましたが、この前の続きです。
2013年のIOC総会はブエノスアイレスになりました。
遠いですね。
クアラルンプールだったら行けただろうと思います。
OCAはIOCのアジア版と思ってください。
ただ、本部はクウェート、IOC委員でもあるシェイク・アーマド会長は、ハンドボールでもめたときの元凶、そのひとです。
大阪招致のときも、東京招致のときもこの人には振り回され、2020年にドーハが最終選考に残れば、必ず敵になります。
JOCは東京招致の失敗を経て、人脈作りに一生懸命と言ったところでしょう。OCA総会招致もアジアの票まとめが第一の目的です。中国も韓国も香港も東京には一票を投じていません。
ユース五輪は今度が初回なので、テレビ中継は良く判りません。
Posted by: 管理人 | February 12, 2010 04:33 PM
聖火の最終点火、故障ですかね?
Posted by: sawasawa | February 13, 2010 02:06 PM
聖火の最終点火、故障ですかね?
(ランナー4人に対して、柱3本)
Posted by: sawasawa | February 13, 2010 02:08 PM
確かに柱は3本でした。
ただ点火したのはスティーブ・ナッシュ、ナンシー・グリーンとルメイ・ドーンだけだったのではないですか?
グレツキーは、このときどこにいました?
Posted by: 管理人 | February 13, 2010 02:44 PM
あの支柱は失敗だとは気づきませんでした。逆に、音楽が途中で中断したのが失敗だと思ってました。オリンピック賛歌はソロで歌ったのはソルトレーク以来でしたね。カナダ選手入場で盛り上がっているのを見て、自分も自国開催のオリンピックを見てみたいと思いました。
PS.あと1年早く生まれてくれば、きっと長野五輪を見れたと思うんですが...。(泣)
Posted by: 石井 | February 14, 2010 02:32 AM