MLBを超える大学バスケットの放映権
東洋経済5/15号「スポーツビジネス徹底解明」(下記)には興味深い様々なデータが出ている。
その内のひとつを紹介しよう。
「スポーツ選手の年収ランキング2009年」だ。
①タイガーウッズ(米)ゴルフ 99.7億円
②フィル・ミケルソン(米)ゴルフ 53.0億円
③デビッド・ベッカム(英)サッカー 45.2億円
④レブロン・ジェームス(米)NBA 42.4億円
⑤キミ・ライコネン(FIN)F1 40.1億円
⑥マニー・パッキャオ(比)ボクシング 40.0億円
⑦リオネル・メッシ(ARG)サッカー 39.9億円
⑧アレックス・ロドリゲス(米)MLB 39.0億円
⑨シャキール・オニール(米)NBA 35.0億円
⑨フェルナンド・アロンソ(西)F1 35.0億円
⑨バレンティーノ・ロッシ(伊)オートバイ 35.0億円
世界中のスポーツ選手の中で、2009年に最も収入が多かったのはタイガーウッズ。
その活躍ぶりは今更だが、例の交通事故から不倫騒動が持ち上がったのが昨年11月のこと。
1月~11月までの収入でも2位以下に圧倒的な差を付けての1位にいる。
4位にレブロン・ジェームス、9位にシャキール・オニールがいる。
米国の4大プロスポーツといえばNFL,NBA、MLB、NHL。
4大スポーツの選手の収入が、もっとも高いのは、MLBでもNFLでもなく、NBAである。
NFLやMLBと異なり、 室内体育館=観客収容能力の少ないはずのNBAがなぜ多額の給料を払えるのだろうか。
その答えは次のようになる。
・五輪、W杯と同様に4大スポーツも、入場料収入よりもテレビ放映権料が大きい。
・NBAの放送頻度は高い。
・野球やフットボールは一チーム50人から100人の選手を抱えている一方、NBAは1チーム僅かに12人。どうしても1人あたりの収入はバスケットは高くなる。
・マイナーリーグの必要がない
例えば野球は、メジャー球団がマイナーリーグの選手を事実上養っている。
その点バスケットは、大学と高校で非常に盛んなスポーツであり、マイナーリーグがない。
4大スポーツ、五輪、W杯の放映権をまとめてみると下記のようになる。
(4大スポーツは1シーズン、五輪・W杯は1大会)
W杯南アフリカ大会 29億2100万ドル
ロンドン五輪 27~28億ドル
NFL 26億6000万ドル
北京五輪 18億2600万ドル
バンクーバー五輪 11億ドル
NBA 9億2500万ドル
NCAAバスケット 7億7000万ドル
MLB 5億2600万ドル
NHL 1億2000万ドル
米国人にとって、バスケといえばNBAとともに大学バスケットがある。
毎年3月は、全米大学体育協会(NCAA)1部男子バスケットボール選手権が行われ、その熱狂振りはマーチ・マッドネスと呼ばれている。
米4大テレビネットワークの一つ、CBSとケーブルテレビ局のターナー・ブロードキャスティング(TBS)は、NCAAとマーチ・マッドネスのテレビ放映権とインターネット配信権について新たに14年間で108 億ドルという契約を結んだ。
それまでの契約は同じくCBSと11年間で60億ドルだったが、(このときも随分騒がれたが)、今回はさらに高騰した。
ちなみにデューク大学が優勝した今年の決勝のテレビ中継は、全米で2390万人が見たとされる。
バンクーバー五輪のアイスホッケー決勝カナダ対アメリカの視聴者が、全米で2760万人だからその熱狂振りもわかるだろう。
(しかし、スーパーボウルの視聴者は1億人を超える)
特筆すべきは、大学スポーツが放映権料でMLB、NHLという4大プロスポーツを上回ったことだ。
米国がいかにスポーツ大国といえども、優良ソフトは決して多くない。
それゆえに希少コンテンツの価格は高騰する。
多チャンネル時代を迎えて、他局との差別化、ブランド化は一層厳しいはずだ。
そこでは高視聴率が約束されたイベントが必要になる。
ワールドシリーズ、スーパーボウル、ゴルフのマスターズと同様に大学バスケもその中にあるということだ。
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