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April 09, 2011

宮本陽輔 1500m自由形で初めて15分を切る

競泳の世界選手権選考会 男子1500m自由形で、宮本陽輔(鹿屋体大)が日本人として初めて15分を切る14分57秒56の日本新記録で優勝し、世界選手権代表を決めた。
20歳187センチだそうだ。

競泳や陸上などタイムを競う競技の場合、いくつかの壁が存在する。
競泳1500m自由形には「15分」という壁があった。

人類史上初めて15分の壁を破ったのは、ウラジミール・サルニコフ、当時のソ連の選手だ。
14分58秒27 
この記録が作られたのは1980年 アメリカや日本がボイコットしたモスクワ五輪である。

日本選手が参加していないため、マスコミの扱いの少なかったモスクワ五輪であったが、1500mで初めて15分の壁を破った青年の記事は日本の一般紙の一面にも取り上げられた。
このときのサルニコフは20歳。
サルニコフは真の五輪王者をめざし、ソウル五輪で2個目の金メダル(他の種目と合わせると4個目)を獲ったときが28歳。
この種目にとって28歳は大変な高齢になる。

1976年以降の1500mの五輪金メダリストを挙げると次のようになる。

1976年 ブライアン・グッデル17歳 アメリカ
1980年 ウラジミール・サルニコフ 20歳 ソ連
1984年 マイク・オブライエン 18歳アメリカ
1988年 ウラジミール・サルニコフ 28歳 ソ連
1992年 キエールン・パーキンス 18歳 豪州
1996年 キエールン・パーキンス 22歳 豪州
2000年 グラント・ハケット 20歳 豪州   パーキンス27歳は2位
2004年 グラント・ハケット 24歳 豪州
2008年 ウサマ・メルーリ 24歳 チュニジア ハケット28歳は2位

最年少は17歳、サルニコフを除く最年長は24歳。
若くなければ勝てない種目だ。
27歳で3連覇をめざした2000年のパーキンス、28歳で同じく3連覇をめざした2008年のハケットはともに銀メダルに終わっている。
サルニコフの28歳の金メダルは意地と執念の賜物である。

昨年11月に行われた広州アジア大会の1500m自由形で、優勝したのは中国の孫楊18歳(当時)。
グラント・ハケットが2001年に出した最古の世界記録に 0秒87差と迫る14分35秒43という大変な記録だった。
このレースは北京五輪400m自由形金メダリストの朴泰21歳(韓国)が2位、800m自由形世界記録保持者の張琳23歳(中国)が3位に入っている。
今日の宮本の台頭で、日本も中国・韓国勢の背中が見えてきた。


サルニコフは好きな選手で、このブログの最初の記事がこれだ。
オリンピックの記憶(1)ウラジミール・サルニコフ
参考記事
女子の世界記録に負けていた男子の1500m日本記録

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