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February 13, 2013

IOC理事会は何故レスリングを除外したか① 見えてきた密室会議 

レスリングの五輪除外から1日が経ち、少し内情が見えてきた。
時事通信は、IOC理事会における得票数を公表している。

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これによると近代五種とレスリングが1回目の投票から5票ずつ獲り、最終決定まで争ったことが判る。
そもそも、今回除外されるかもしれない競技は近代五種かテコンドーではないかと言われていた。
それがなぜレスリングになったか。

テコンドーも近代五種も、度々五輪種目から除外されるという瀬戸際に追い詰められた経験を持つ。
そのため、しばし積極的なロビー活動を展開する。
例えばテコンドーだ。
2018年の冬季五輪を開催する平昌で今年冬季スペシャルオリンピックが開催された。
スペシャルオリンピックと名前がついているが、五輪ともパラリンピックとも関係はない知覚障害者のための大会である。
韓国側はこの大会にIOCのロゲ会長を招き、朴槿恵次期大統領が面会をしている。
ここで「根回し」があった可能性がある。(もっともロゲ会長自身はIOC理事会で投票はしない。)

一方の近代五種。
国際近代五種連合の副会長はサマランチ・ジュニア。
そう、長くIOC会長として君臨し、五輪の肥大化と商業化を大胆に推し進めたあのサマランチ前会長(故人)の子息である。
サマランチ・ジュニアはまだサマランチ前会長が健在の2001年からIOC委員を務めており、IOCは今もサマランチファミリーの影響下にある。
このジュニアがIOC理事会にいれば、票を自分等に都合よく動かすこと(不正という意味ではない)など比較的たやすいと思われる。

そもそも、100人以上いるIOC委員のなかの僅かに15名しかいない理事会で、除外競技を決めること事体非常にナンセンスではないか。
実は、2009年に2016年五輪の正式種目を決める際も同様に理事会の投票のみで決められた。
そのときIOC副会長として参加していた猪谷千春氏は
「プレゼンも含めて総会ですべき」
と指摘していたとされるが、2009年も今回も適わなかった。
これでは、まるでサマランチ時代を髣髴とさせる密室会議である。


ではその密室会議に参加したIOC理事の皆さんを紹介しよう。
名前の後の競技名は、自身がその競技で五輪に出場したか、国際競技団体の役員をしているかを示す。

(副会長)
Ser Miang Ng セーリング
Thomas Bach フェンシング
Nawal El Moutawakel 陸上
Craig Reedie バドミントン

(委員)
John Coates 豪州五輪委
Sam Ramsamy 水泳
Gunilla Lindberg スェーデン五輪委
Ching-Kuo Wu ボクシング
René Fasel アイスホッケー 
Patrick Joseph Hickey アイルランド五輪委
Claudia Bokel フェンシング
Juan Antonio Samaranch Jr 近代五種
Sergey Bubka  陸上
Willi Kaltschmitt Luján テコンドー

ご覧頂いたようにレスリング関係者はいない。

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