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March 01, 2013

東京五輪招致に思わぬ障害 イルカ猟をする国は五輪ホストに相応しくない

2020年夏季五輪の東京招致に関して、IOCの評価委員会が来日した。
この来日を契機にして世界中でちょっとした反日行動が起きている。

2009年に世界中で公開された米国映画に『ザ・コーヴ』(The Cove)というドキュメンタリーがあった。
ルイ・シホヨスという監督が、和歌山県太地町で行われているイルカ追い込み漁を批判的に描いた作品だ。
シホヨス監督が2005年に設立した環境保護団体が製作し、同年10月から08年9月にかけて撮影された。
太地町では主に7人のスタッフが、町の制止を無視してカメラを回した。クライマックスの漁師たちがイルカを殺し、血で海が赤く染まるシーンに、漁師たちは撮影を拒絶したという。
これに対し撮影クルーは、夜間入り江に忍び込み、隠しカメラを設置し、現場の撮影に成功したという。
この作品が、2009年度第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞など数々の賞を受け、世間の注目を集めることになり、この作品を通じて日本人がイルカを乱獲しているという印象が世界中に流布された。

世界での公開が2009年、日本での公開が2010年で、ほとんどこの映画の存在は、忘れかけていた。
ところが、この映画に刺激を受けた人たちが、いきなりその標的を五輪招致に向けたのだ。
先週、日本人のイルカ猟を問題視する環境団体は、世界21カ国42都市で、東京の五輪招致に反対するキャンペーンを始めた。
ロゲ会長を初めとするIOC委員には、
「日本人のイルカ猟の方法は残酷で非人道的であり、虐殺に等しい。こうした行為は五輪憲章に相反し、環境問題が懸念される国は、五輪開催国に相応しくない。」
といった書簡を送りつけている。

先進国が五輪招致をする際に、環境団体が反対することは多く見られる。
例えば、長野五輪の際もそうだ。滑降コースがなかなか決まらなかった。
彼等はIOC委員の携帯メールのアドレスまで調べ上げ、朝に晩にメールを送り付け、徹底的に招致の邪魔をするケースもあるが、今のところその段階までは至っていないようだ。

イルカ猟自体に全く問題がないとは思わないが、それと五輪招致がどうして結びつくのか。
では、闘牛の盛んなスペインのマドリードは、五輪のホストに相応しくない、とならないのだろうか。

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