シラク発言がパリ五輪を遠ざけた 2012年五輪招致
招致委理事「IOCはウソつきばかり」 森元首相明かす
先日朝日新聞にこんな記事が載った。
東京五輪招致委員会が23日に開いた決起集会で、森喜朗元首相があいさつのなかで「コペンハーゲンで負けた後、ここにいる水野さんが『IOCのみなさんのことを信じられへんわ』『ウソつきばっかりやわ』(と言った)」と語った。
というもの。
何てこともない。前回2016年招致の際に『IOC委員が東京支持を約束しておきながら、結果的に東京に投票しなかったケースがあったと水野正人副理事長が話した』と森氏が披露したことを、朝日新聞が発言の中の一部を殊更に拡大報道したに過ぎない。
政治家が、ジョークのつもりで言ったひとことが、致命的な傷になることはよくある。
2012年五輪が、ロンドンに決まったのはブレア首相(=当時)のロビー活動もさることながら、シラク大統領(=当時)の失言だった、という話もあるのだ。
この年 2005年は、シンガポールのIOC総会のその日に英国でサミットが開幕した。
サミット前に、シラク仏大統領が、プーチン・ロシア大統領、シュレーダー・ドイツ首相(いずれも当時)と会談した際、フランス人らしいキツイジョークで英国を皮肉ったのだ。
シラク氏は、
「英国が欧州の農業にもたらしたのは、BSEだけだ」
と述べると、さらにエスカレートし、
「我々は料理のまずい国の国民は信用できない、フィンランドに次いで、料理がまずいのが英国だ」
と言い放ってしまった。
シラク大統領は、ブレア首相同様にサミットを控えていたため、IOC総会には出ず、事前のロビー活動を展開した。
しかし、「世界一料理がまずい」といわれたフィンランド2人のIOC委員が、ロンドンに投票したのはもちろん、他のIOC委員も、完璧な準備をしたはずのパリから心が離れていったのは、想像に難くない。
当時パリが圧倒的に有利と言われながら、ロンドンが逆転した背景にはこんな話もある。
*BSEってこの当時はよく聞かれたけど、覚えてますか?