フェンシング太田雄貴はなぜ東京招致のプレゼンに選ばれたか
2020年東京夏季五輪招致団のメンバーで、プレゼンテーションを予定されているアスリートにフェンシング銀メダリストの太田雄貴と、パラリンピック走り幅跳びの佐藤真海がいる。
多くのアスリートがいる中からなぜこの2人が選ばれたのだろうか。
今回のIOC総会では2020年夏季五輪開催地だけでなく、次期IOC会長も決まる。
今回会長選に立候補しているのは下記の6人だ。
■IOC会長選立候補者
・トマス・バッハ(ドイツ)59歳 副会長 76年フェンシング金メダリスト
・セルミャン・ウン(シンガポール)64歳 副会長 第1回夏季ユース五輪組織委委員長。3・11の震災の際にIOCとして日本に協力を申し出た。
・セルゲイ・ブブカ(ウクライナ)49歳 理事 88年棒高跳び金メダリスト
・呉経国(台湾)66歳 理事 国際ボクシング協会会長 中国のバックアップがある。
・リチャード・カリオン(PUR)60歳 財務委員長 本職は銀行家
・デニス・オズワルド(スイス)66歳 68年ボート銅メダリスト 前理事 国際ボート連盟会長
アジアから2人が立候補しているのが目立つが、ドイツのトマス・バッハ氏が優位なのは間違いのないところだ。
バッハは1976年モントリオール五輪の金メダリストで、種目はフェンシング。
さらにIOC選手委員会委員長で、2020年五輪の評価委員会メンバーでもある同じドイツのクラウディア・ボケルもフェンシング・アテネ五輪の銀メダリストだ。
太田は頭がよく、人望もある。
この8月に国際フェンシング連盟の選手委員にトップ当選もしている。
が、なんといっても東京が太田を抜擢したのは、バッハ支持の強力なメッセージだ。
バランスを考えるIOCは、過去においてIOC会長が代わった際に、出身大陸の都市を五輪開催地に選ばない傾向がある。
しかもバッハは2022年のミュンヘンに冬季、2024年のパリに夏季五輪を招致したいと考えている。
2022年は1972年のミュンヘン五輪(もちろん夏季)から50周年、2024年は1924年のパリ五輪から100周年にあたる記念大会となる。
もしもマドリードが2020年の開催都市になってしまうと、欧州が3大会連続となり、流石に続きすぎてしまうのだ。
ちなみに2020年開催都市決定が9月7日、IOC会長選は最終日の10日。
このドイツの2人のIOC委員は東京支持と見られる。
佐藤真海は宮城県気仙沼出身。震災からの復興をめざす日本にとってシンボル的な選手であり、英語も堪能だ。
IOC総会に参加する安倍首相が、8月24日からクウェート、カタール、ジブチの3カ国を訪問してきたが、この3カ国にはそれぞれIOC委員がる。
安倍首相がお願いした点は、『東京をよろしく』ではない。
『1回目の投票でイスタンブールに入れたとしても、東京とマドリードが決選投票になったらそのときは東京をお願いします。』だ。
そこまで票読みは固まっていると見ていい。