IOCは東京五輪に保険をいくらかけるだろうか?
あまり知られていない話だが、近年IOCは五輪開催が不可能となるような不測の事態に備えて保険に加入している。
今から12年前の2001年9月11日 米国で同時多発テロが発生した。
その僅か半年後に米国内でソルトレークシティ冬季五輪の開催が迫ってとおり、五輪が格好のテロの標的となるのではないかと危惧された。
このソルトレークシティ大会は無事開催されたが、とにかく五輪開催には巨費が動く。
IOCだけでなくNOC(各国五輪委員会)、IF(国際競技団体)は4年間の活動資金をIOCから分配金として得るため、五輪が通常通り開催されないと組織として活動ができなくなってしまう。
今年の春 レスリングが五輪正式種目から一端外されることになり、大騒ぎを起こしたことを覚えているだろう。
ロンドン五輪の決算が終わった。五輪種目で最も高い分配金をもらう国際陸上競技連盟(IAAF)の分配金は4500万ドル、今回正式種目から脱落しかけた国際レスリング連盟(FILA)が1100万ドル、北京五輪をもって正式種目から外れた野球、ソフトボールの統括団体世界野球ソフトボール連盟(WBSC)がもらう分配金は僅かに2~3万ドルに過ぎない。
もちろん国際競技団体は独自のマーケティング活動をしているが、五輪競技であるかどうかはその競技の死活問題であるのだ。
先述のように9・11を経てIOCは、五輪開催前に保険に加入するようになった。過去3大会の保険金は以下の額だ。
2004年 アテネ五輪 1億7000万ドル
2008年 北京五輪 4億2000万ドル
2012年 ロンドン五輪 13億4600万ドル
13億人の人口を抱え、一党独裁の中国で開催された北京五輪の保険金が、アテネの2.5倍になり、随分驚かれた。が、ロンドン五輪はその北京の3倍もの保険が掛けられていた。
ところが、3年後のリオデジャネイロ五輪の保険金は、ロンドン五輪並みではないかと言われている。
というのもロンドン五輪でIOCが手にしたテレビ放映権の合計が38億5000万ドルに対し、リオ五輪のテレビ放映権は41億ドル程度と見られているからだ。
テレビ放映権はここに来てその伸びが鈍ってきている。
そこから判断して、保険金自体もロンドン並ではないかといわれている。
では、2020年の東京五輪にIOCはいくらの保険をかけるだろうか。
どうも非常に高額になるだろと見られている。
マドリードやイスタンブールに比べて手堅い運営が期待でき、安心できる立候補都市だと東京は言われていた。が、実際には福島の汚染水問題だけ見ても手が付けられない状態。
東京五輪は、東京から250キロしか離れていない福島原発事故のリスクと背中合わせなのだ。
2020年に福島原発事故はどうなっているだろうか。
まさかすっかり更地になっていると思ってはいないだろうか。
日本政府や東電が発表している廃炉工程表によれば、東京五輪の開催される『2020年度前半に1~3号機の原子炉内に溶け落ちた核燃料(溶融燃料)の回収に着手する』とある。
ただ、これは全くの絵に描いた餅であり、ことが順調に運びすぎた際のはなし。
実際に2020年に既に溶融燃料を回収し始めているとは、誰も思っていない。
今生きている人は一人も福島事故が収束するところを見届けられないとすらいう学者もいる。
あくまでも噂だが、IOCは東京開催が不可能になった際に代替開催できる都市を探しているという。
北京五輪の際に、IOCはパリで代替開催が出来るよう根回しをしていたという話もあるのだ。