新・冬季五輪の記憶④ 荒川静香VS村主章枝 2001年全日本フィギュア
2002年ソルトレークシティ五輪フィギュアスケートの日本人女子の枠は2名。
この2名の枠を巡って争ったのは村主章枝、荒川静香、そして19歳の恩田美栄の3人だった。
このシーズン、日本スケート連盟が決めた五輪選考基準は、グランプリファイナルに進出できれば五輪内定、残りは全日本フィギュアで決定するというものだった。
今季、安藤美姫が全日本フィギュアを待たずに五輪内定を勝ち得たが、これは、「グランプリファイナルで表彰台に上る」、と言う条件をクリアしたから。
これから考えると8年前は随分内定基準は緩かったようだ。(日本選手の実力が相対的に上がったということだ)
村主、荒川、恩田のグランプリシリーズの結果は次のようになった。
村主章枝 NHK7位 スケートカナダ4位
荒川静香 ラリック杯6位 スケートアメリカ4位
恩田美栄 NHK2位 スパルカッセン杯2位
その結果、村主、荒川を差し置いて恩田が先に五輪切符を手にした。
そのため、4年前と同じ村主、荒川が1枚の切符を巡って全日本フィギュアで激突することになった。
第1日女子SP
1.村主章枝0・5
2.荒川静香1・0
3.安藤美姫1・5
女子最終成績
1.村主章枝 1・5(SP1位 FS1位)
2.荒川静香 3・0(SP2位 FS2位)
3.安藤美姫 4・5(SP3位 FS3位)
4年前の全日本フィギュアでは荒川静香に敗れ、長野五輪代表選考にもれた村主が4年越しで五輪代表を手にした。
長野からの4年間は五輪への思いだけだったという。
このシーズンに合わせてきたはずだったが、全日本の3週間前のNHK杯で失敗、五輪内定は恩田美栄の手に渡った。
それでも村主は
「神様は厳しい試練を与えるが、必ず乗り越えられると自分に言い聞かせていた」
と、カトリックの学校で学んだ彼女らしい表現をした。
結果、ソルトレークシティ五輪日本代表は
男子 本田武史、竹内洋輔
女子 恩田美栄 村主章枝の4名
田村岳斗、荒川静香の長野に続く五輪出場はならなかった。
この大会で特筆すべきは、当時14歳の安藤美姫だろう。
この大会が、わずか10日前にジュニアのグランプリファイナルを制した安藤美姫にとって、シニアの大会初出場だった。
3回転ルッツ~3回転ループという日本人初の離れ業を披露し、3位に入った。
この頃マスコミは安藤を 50年に一人の逸材 と表現している。