サッカー日本代表を巡るおカネのはなし(5) 世界一高額な放映権を払う日本
日本時間25日に行われる日本対コロンビア、コートジボワール対ギリシャの2試合は日本時間の午前5時からだ。
この時間ではそれほど高い視聴率は望めないだろう。
W杯において、グループリーグの3試合目は、2試合が同時に行われる。
そのためどんな理由があっても開始時刻を変えることはできない。
前々回のエントリーで、日本対コートジボワールの試合の開始時刻が当初の予定よりも遅くなったこと、その理由が日本が支払う巨額の放映権の所為だ、という記事を書いた。
恐らく同様の理由で試合開始時刻が変更された国がもうひとつある。
アメリカだ。
6月22日にマナウスで行われたアメリカ対ポルトガルは、当初15時試合開始(現地時間)だったが、18時に変更された。
そこから遡ること5日、17日に行われたアメリカ対ガーナは、当初の予定通り18時から行われた。
グループリーグの1試合目と2試合目が、同じ時刻に開始されたのはアメリカとフランスの2カ国しかない。
フランスは恐らくは偶然、アメリカはホスト局の都合に合わせたと見る。
というのもブラジルとアメリカの東部時間に時差はなく、アメリカの午後6時は、かなりテレビが見やすい時間なのだ。
アメリカはサッカー不毛じゃないのか?
決してそんなことはない。
1994年のW杯アメリカ大会は総観客数3,587,538人、1試合平均 68,991人という驚異的な数字を残した。
この数字はアメリカのヒスパニック系の住民が大挙してスタジアムに詰め掛けたためだといわれているが、近年、MLSが興行的にもうまくいき、サッカーがアメリカの英語を話す人たちにも随分受け入れられている。
その証拠にアメリカの支払ったW杯の放映権は、2010年、2014年大会合わせて4.25億ドルもの額になる。
(厳密にいうならば英語放送であるESPNが約1億ドル。スペイン語のネットワークUnivisionが3.25億ドル。)
ところが、日本が支払った放映権は2010年、2014年の2大会合わせると650億円。ブラジル大会だけで400億円。
FIFAとJC=ジャパンコンソーシアムの間に電通が入ることによって世界一の放映権になっている。
電通は、FIFAからがアジア16ヶ国の放映権まとめて購入し、日本がその大部分を負担するように配分している。
日本人の支払う金で他の国にサッカー見せてやってると言える。
欧州におけるEBU(欧州放送連合)の位置にJCが来てしまっている。
4年前の南アフリカ大会も莫大な放映権のため、日本代表はベスト16に進出し、日本国中を沸かせたが、放送権料の民放負担分と番組制作費の合計が広告収入を上回った。
W杯直前まで岡田JAPANが不振、不人気だったため、企業の関心が低く、広告販売に影響が出たこともある。
今大会も3試合で終わってしまうと大赤字になる!
中国のサッカーは3大会連続でアジア予選を突破できず、出場しないにも拘らずこの巨額を支払っている。
仮に次回中国が出場できたら?あるいは将来、W杯中国開催にでもなったらFIFAはどんな額を吹っかけてくるか?恐ろしい気もする。