サッカー日本代表を巡るおカネのはなし(2) なぜキャンプ地はイトゥに決まったのか
サッカーW杯、日本代表はサンパウロの北西100㎞にあるイトゥをキャンプ地にしている。
ところが、日本代表が3試合を行う都市まではイトゥから1200~2300㎞も離れている。
第1戦 対コートジボアール 試合会場:レシフェまで2144㎞
第2戦 対ギリシャ 試合会場:ナタルまで2324㎞
第3戦 対コロンビア 試合会場:クイアバまで1288㎞
2000㎞を超す距離ってわかりにくいだろうが、稚内と那覇を直線で結ぶと約2460㎞になる。
なんでこんなに移動をするの?
日本と同じC組の他国代表はどうか。
コートジボワールも随分遠くまで試合に行かなくてはならないが、ギリシャ、コロンビアは日本に比べればかなり試合会場から近いところをキャンプ地にしている。
ブラジルは国土が広大で、この時期の気候は様々だ。
イトゥは15~20度の過ごしやすい気候らしいが、試合をする3都市はいずれも25度を超す気温になる。
なぜわざわざ2000㎞も離れた気候も違う土地を選んだのか。
イトゥにキリンのブラジル法人の本社があるからだ。
日本サッカー協会とキリンが蜜月関係であることは、サッカーファンであればよく知っているだろう。
キリンカップ、キリンチャレンジなど国内の代表の試合にはキリンの名前が冠される。
現在のサッカー協会とキリンとのスポンサー契約は、年間15億円。
これは今年終了し、
2015年年4月1日~22年12月31日の7年9カ月は、年間25億円で総額約200億円の超大型契約を結んでいる。
男子のA代表だけでなく、女子のA代表、フットサル、ビーチサッカー、各年代別の代表も支援の対象となる。
日本にビールメーカーはキリン、サントリー、アサヒ、サッポロの4社があるが、キリンホールディングス(HD)
の売り上げは2兆円を超え、そのうち海外での売り上げが40%を占める。
その40%はブラジルと豪州の現地法人によるもの。
キリンHDは、2011年にブラジルでビールや清涼飲料事業を展開するスキンカリオール・グループを3000億円で買収、BRASIL KIRINとして傘下に収めた。
この本社と工場がサンパウロ州イトゥにあるのだ。
▲イトゥにあるBrasil Kirinの工場 キャンプ地であるスパ・スポーツ・リゾートの隣にある。
日本代表の強化にキリンには十分すぎるほどお世話になっている。
が、イトゥをキャンプ地に選んだことは納得仕切れない。
グループリーグが終わった時に後悔していなければいいのだが…。
●C組の他国のキャンプ地と試合会場までの距離
コートジボワール代表 キャンプ地 アグアスデリンドイア(サンパウロ州)
①レシフェ 2235㎞
②ブラジリア 930㎞
③フォルタレーザ 2455㎞
ギリシャ代表 キャンプ地 アラカジュ(セルジッペ州)
①ベロオリゾンテ 1219㎞
②ナタル 607㎞
③フォルタレーザ 824㎞
コロンビア代表 キャンプ地 コチア(サンパウロ州)
①ベロオリゾンテ 496㎞
②ブラジリア 851㎞
③クイアバ 1328㎞