W杯優勝 ドイツ代表は多民族軍団だった
W杯ブラジル大会決勝はドイツ代表がアルゼンチン代表を1-0で破り、4度目の優勝を果たした。
02年準優勝、06年3位、10年3位、14年優勝と絶えず上位にあるかに見えるドイツだが、2000年のユーロ欧州選手権では1勝もできず、グループリーグで敗退した。
当時ドイツ代表には、けが人が出て急遽代表入りした39歳ローター・マテウスを始め、30歳以上の選手が何人もいた。
ドイツ生まれの白人選手で固めたチームが、もろくも崩れ去って行った姿はドイツの純血主義問題を浮き彫りにした。
これを受けてドイツサッカー協会は重い腰を上げて、開放政策を取り始める。
2000年1月より、ドイツは従来の血統主義に基づく移民法に変えて出生地法を採択した。
ドイツに永住意志のある外国人の両親を持つドイツで生まれた者は、出生と同時に両親の国籍と同時にドイツ国籍も自動的に付与される、というもの。
だが、親がEU域外の国籍を持つ場合、ドイツで生まれた人も23歳までに、いずれかの国籍を選ばなければならない。
例えば、ドイツ国内に住むトルコ系住民は計約295万人と移民のなかで最多だが、ドイツ国籍を得たのは半分以下の約135万人に過ぎない。
その結果外国にルーツを持つ選手がドイツ代表に入るケースが増え、今大会にも6人が名を連ねた。
●ポーランド系
ルーカス・ポドルスキ
ミロスラフ・クローゼ
●トルコ系
メスト・エジル
●ガーナ系
イェローム・ボアテンク
●アルバニア系
シュコドラン・ムスタフィ
●チュニジア系
サミ・ケディラ
何といってもすごいのは、イェローム・ボアテンクだろう。
彼の兄は、ケヴィン・ボアテング。
今大会にガーナ代表として出場した。
兄弟は、父親はガーナ人の同一人物だが、母親は別々のドイツ女性だという。
そして、ガーナとドイツは10年、14年と2大会続けてグループリーグで同組となり、兄弟はそれぞれ出場し、W杯では恐らく2度とない2大会連続「兄弟対戦」が実現した。
6人で驚いてはいけない。
4年前 南アフリカ大会のドイツ代表には11人の外国にルーツを持つ選手がいた。
大会中 トルコに住むエジルの祖母が亡くなるという不幸もあった。
日本代表の中にも酒井高徳は、ドイツ人の母親を持つドイツ系であることは知られている。
ほかにもイラン代表のアシュカン・デジャガとダビエル・ダーヴァリーがドイツの血を引いている。
デジャガはU21ドイツ代表で活躍していた選手だが、最終的にイランを選んだ。