世界一高価なスタジアムはどこか?仁川からバクーまで
9月19日からアジア大会が韓国仁川で始まる。
仁川には2002年のW杯の会場の一つで、1252億ウォンの建設費を掛けた仁川文鶴競技場がある。
サッカー専用競技場ではなく、陸上競技との併用スタジアムだ。
てっきり、この競技場がアジア大会のメインスタジアムになるのかと思ったが、仁川市は新たにアジアドスタジアムを造った。
韓国政府はこれに先駆け、1250億ウォンをかけて文鶴競技場を改造してメインスタジアムとして使用することを勧告したが、仁川市がこれを拒否。結局新たに競技場を造ったという。
延べ面積11万3620平方メートル、観覧席6万1944席の同スタジアムでは開閉会式、陸上競技、クリケット競技が行われる予定だ。
建設費は総額4900億ウォンで、そのうち韓国政府が1326億ウォンを負担、残りは仁川市の負担となった。
仁川市は、人口290万人。
市域の人口だけ見れば大阪市よりも大きく、韓国内でもソウル、釜山についで3位の規模がある。
が、人口1000万人を超すソウルから28キロしか離れていない。
ソウルの隣町に大きなスタジアムが2つも必要か。
さらに市は、アジア大会のサッカー用競技場として収容人数20000人強の仁川サッカー競技場(建設費1066億ウォン)も造った。
この競技場は、Kリーグの仁川ユナイテッドFCの本拠地でもあるが、Kリーグは観客が多く集まらない。
▲W杯の舞台となった仁川文鶴競技場
▲仁川アジアドスタジアム 9月19日アジア大会開幕
▲仁川サッカー競技場
10月にサッカー日本代表がブラジル代表とシンガポールで対戦する。
このシンガポールの会場となっているのがシンガポール新国立競技場(SingaporeSportsHub)だ。
今年の6月に竣工し、その杮落としにシンガポール代表対ユベントスのサッカーの試合が組まれた。
元々シンガポールには旧国立競技場という、東南アジアサッカー選手権やその前身のタイガーカップなど東南アジアサッカー史の様々な舞台になってきたスタジアムがあった。
ここは、8月のシンガポール・ナショナルデーの会場として、2006年までに18回にわたって使われてきた、名実ともにシンガポールを代表するスタジアムだった。
この旧国立競技場は、2007年から3年間かけて取り壊され、2010年から新たなスタジアムの建設が始まった。
SingaporeSportsHubはシンガポールがホストする、2015年の第28回東南アジア大会(SEA GAMES)のメインスタジアムとなる。
SingaporeSportsHubは、新国立競技場だけでなく、屋内アリーナや屋内プールなど東南アジア大会の他の競技会場をもその敷地内に擁する複合スポーツ施設である。
ご存じのようにンガポールは赤道直下の常夏の国だ。
そのため、新国立は開閉式の屋根を付け、空調が完全に備えられている。
ラグビーにおいてシンガポールは現在、日本と南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」(SR)への参入を争っている。
ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアと世界3強のプロクラブチームで構成されるリーグへ加入すれば、ラグビーの強化と普及は格段に進む。
シンガポールのクラブが加入することになれば、SingaporeSportsHubをホームとする計画だ。
日本よりもシンガポールが有力だとの情報がある。
シンガポールは、東アジアの金融の中心であり資金源も豊富。南アの有力企業が、シンガポールを後押ししているからだという。
この世界の最先端を行くSingaporeSportsHubの総事業費が13億3000万シンガポールドル。
日本円にして約1090億円。
恐らくこのスタジアムが、現在最も高価なスタジアムだろう。
▲おそらく世界一高価な競技場 SingaporeSportsHub
アゼルバイジャンのバクー。
と言ってもなかなかイメージがわかないかもしれない。
旧ソ連のひとつアゼルバイジャンの首都バクーは、東京に決まった2020年の夏季五輪にも手を挙げていた。
もっとも、その計画はIOCに理解されず、1次選考で落選した。
アゼルバイジャンには、バクー油田など豊富な天然資源があり、一人あたりのGDPも1万ドルを突破。
天燃資源で儲けた外貨でスポーツ施設を作りつつある。
バクーでは、来年2015年には、ユーロゲームが開催される。
ユーロゲームなんて聞いたことないと思われるだろうが、アジア大会のヨーロッパ版だと考えていただければいい。
ヨーロッパでは、各スポーツごとに欧州選手権があり、アジア大会のような総合競技大会を必要としなかった中で、2015年に第1回大会がバクーで開かれるというのだ。
ドイツ、ロシア、イタリア、フランスといったヨーロッパのスポーツ大国がどの程度本気で参加するか未定だが、将来、大きな大会になるかどうか、第1回大会の盛り上がりに掛かっている。
アゼルバイジャン政府が、この大会のために作った国立競技場が8万人収容。
その建設費がなんと10億ドル、日本円にして約1000億円だ。
▲将来の五輪開催はあるか? バクー国立競技場
建設費が1000億円に届こうという競技場がもうひとつある。
台北で現在建設中の臺北大巨蛋(台北ドーム)。
台北は2017年のユニバーシアードを開催するが、その開閉会式を予定しているのが台北ドームだ。
開催期日は2017年8月19日~30日。
北回帰線が通る台湾の8月は酷暑のため、屋外でのスポーツは難しい。
そのため、4万人収容の巨大アリーナで開閉会式を行う。
残念ながら陸上競技場ではない。
建設は大林組が請け負っているがその費用は280億台湾元 日本円にして975億円。
単純に比較はできないが、1993年にできた福岡ヤフオクドームの総工費の760億円を上回っている。
8月に台北に行った際に見てきた。
孫文を記念した国父記念館のとなり、台北のシンボル101のすぐ近くにある。
▲建設中の臺北大巨蛋