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November 25, 2014

1500m自由形五輪金メダリスト 孫楊のドーピング問題は適切な処置だろうか。

中国反ドーピング機関(CHINADA)は24日、孫楊が5月17日に青島で行われた仁川アジア大会の選考会を兼ねた中国選手権で、禁止薬物のトリメタジジンに陽性反応を示していたと発表した。
トリメタジジンは狭心症や目まい、耳鳴りなどの治療に使われる薬の成分だが、興奮剤としても用いられ、今年1月から世界アンチドーピング機関(WADA)の禁止薬物リストに加えられている。
ただ、競技期間中の服用が禁止されている薬物で、競技期間以外は服用が許されている。

 孫楊は、中国選手権で200m、400m、1500mの3種目に優勝した。
 5月12日 200m自由形 ①1分46秒04
 5月14日 400m自由形 ①3分45秒12
 5月17日 1500m自由形 ①15分01秒33

ところが、詳細は公表されていないが、17日の1500mのあとのドーピング検査でトリメタジジンに陽性反応が見つかったようだ。
通常こうした場合、優勝した3種目の記録は認められない。
そのため、アジア大会の中国代表の座も手にすることはできなかったはずだ。

ことしの2月に行われたソチ五輪でも、孫楊と同じくトリメタジジンが検出された選手がいた。
ノルディックスキー距離女子のマリナ・リソゴール(ウクライナ)にトリメタジジンが検出されると、IOCは、リソゴールを失格、大会から追放という処分を取っている。

ところが、孫楊の場合は、17日の1500m自由形の優勝が取り消されただけで、12日の200m、14日の400m自由形1位の記録はそのまま、しかも1500mも合わせて、3種目で孫楊を仁川アジア大会の中国代表に選んだのだ。
そして孫楊は、仁川アジア大会で400m、1500m自由形、4×100mリレーで金メダルを獲得している。
ドーピング違反が見つかったのが、中国の国内選手権であるため五輪とは異なるルールで処分を受ける、と言う言い方もできるだろう。
だが、それが国際大会(アジア大会)の選考レースである場合、その理屈は通らないのではないか。

そして、孫楊は5月17日から8月16日まで3カ月間の出場停止処分を受けた。
報道には書いていないが、中国の水泳協会か、中国の五輪委員会が出した処分だろう。
本人は7月に「治療目的で服用していたもので、トリメタジジンが禁止薬物ということは知らなかった」と釈明している。
心臓病の治療薬として服用していたと言っているそうだが、心臓に疾患を抱える自由形の選手を私は知らない
また、3カ月間の出場停止処分は短いとは思はないが、孫楊ほどの大選手に対する処分が、すぐに公表されず、アジア大会も終わって2カ月も経ってから公表されるとはあまりにおかしくはないだろうか?

北京五輪を成功させ、2022年冬季五輪の北京招致も確実視される中、不透明なドーピング騒動は、中国のスポーツ界にとってなにひとつ良いことはないと思うのだが…。



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