大韓航空ナッツ・リターン事件と平昌オリンピック
1988年夏季五輪招致を名古屋市とソウルで争ったことについては、何度も書いてきたので是非そのページを見て頂きたいが以下のようなこともあった。
圧倒的有利と言われた名古屋市が、水面下で起こっていることに気付かずにクリーンに招致活動をしていたとき、ソウルはサンダーボール作戦と呼ばれる国を挙げての招致活動を展開していた。
ソウル側は、大韓航空が世界一周のファーストクラスのチケットを用意し、IOC委員に配ったとされている。
IOC委員は、このチケットを使おうが、換金しようが自らの意思に委ねられたのだ。
大韓航空は財閥である韓進グループに属し、韓進グループを率いていたのは趙重勲氏(2002年没)。
この人物が、ソウル五輪招致の際の財界側のトップにいた人物だ。
時は流れ、2018年冬季五輪を勝ち取った 平昌の招致委員長を務めていたのが趙亮鎬氏。
名前を見ても判るだろう。趙重勲氏の息子であり、現在の韓進グループ会長を務める人物だ。
父親がソウル五輪を、息子が平昌五輪を呼び込んだ。
今年の8月、急に辞職した前任者の代わりに平昌五輪組織委員長に就いた。
親子2代で2度の五輪を呼び込んだとはまるで映画のような親子である。
ところが12月になり、趙亮鎬氏の長女 趙顕娥氏の名前がいきなり世界を賑わせた。
そう、大韓航空前副社長が自社旅客機の機内サービスに激怒して、航空機を引き返させた「ナッツ・リターン事件」のその人だ。
元々大韓航空は国営航空会社だったが、朴正煕大統領が、趙重勲氏率いる韓進グループに売却し、1969年に民営化された経緯がある。
朴正煕大統領とはもちろん朴槿恵現韓国大統領の父親である。
12月12日 平昌五輪組織委員会は、競技を海外の会場を使用することなく、韓国内ですべての競技を行うと発表。
ひとます、平昌五輪の競技場の問題は収まった形だ。
が、明らかに朴槿恵大統領、平昌五輪組織委員会、韓進グループに揺さぶりを掛けようとしている人物がいる。
韓国の大統領の任期は5年。
再選はできない。
次の大統領選は2017年。
新大統領は2018年から任期となる。