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December 10, 2014

平昌の真実Ⅴ 平昌五輪の競技の一部を長野でやる話が水面下で進んでいるようだが

2018年の平昌五輪のそり系の競技を、長野五輪で使用したスパイラルでできないか、といった話が水面下で進んでいるらしい。

そり系の競技とはボブスレー、リュージュに長野五輪の4年後のソルトレークシティ五輪から正式種目になったスケルトンがある。
日本ではいずれも非常にマイナーな競技であり、例えばボブスレーの日本の競技人口は50人いないといわれている。
民主党政権時代に、政府の事業仕分けで、文字通り「マイナー競技」と指摘された経験がある。

長野五輪でボブスレーとリュージュの会場だったスパイラルは、当時101億円の費用をかけて建設された。
アジアでほかにそりの国際大会が開催できる競技場はない。

スパイラルは、長野市の管理施設であり、年間の維持費が1億8000万円かかる。
このうち1億3000万円を長野市が、5000万円を「長野オリンピック記念基金」が負担してきた。
が、長野五輪閉幕から10年以上経ち、「長野オリンピック記念基金」の底が尽き、現在は維持費のほぼすべてを長野市が負担している。

一方の平昌五輪。
そり系の競技場は、リゾート地のアルペンシアに、スライディングセンターという名前で、今年の3月に建設工事が始まった。
建設のための総費用は約1228億ウォン。米ドルに直して1.145億ドルをというから長野のスパイラルとほぼ同額だ。
これを韓国政府が921億ウォン、地方政府が307億ウォンを負担し、2016年末までに完成する予定だ。

韓国のボブスレーは、実は日本より強い。
平昌五輪が決まり、それまでスケートしかやっていなかった韓国がひそかに強化をしているのが、カーリング、モーグル、そしてボブスレーだ。
例えば今年のソチ五輪のボブスレー男子二人乗りでは、日本チームが26位(完走27組)だったのに対し、韓国はABの2チームが出場し、韓国Aが18位、韓国Bが25位と日本を上回っている。

韓国が強化をしているボブスレー、毎年長野市が2億円近く維持費の負担をしているスパイラル。
こうした事情があるのだから、長野市の維持費を韓国側が負担するのであれば、私は平昌五輪のそり系競技を長野でやることは構わないのではないかと思う。

ただ、問題がある。
そり系の競技は、試合の行われる会場でどれだけ滑り込むことができるかが、本番の順位に大きく影響するのだ。

日本は、ボブスレー男子2人乗り、4人乗りともに1972年以降毎回参加しているが、最も順位が良かったのは
当然地元開催の大会だ。

ボブスレー男子4人乗り 日本チームの最高順位と2番目の順位
 札幌大会12位、長野大会15位
ボブスレー男子2人乗り 日本チームの最高順位と2番目の順位
 札幌大会15位、長野大会17位

こうした事情を知っていれば、平昌に競技場を作る方が良い。

(補足)
韓国メディアによると、平昌五輪開幕まであと3年ほどしか残っていないにもかかわらず、会場の建設が始まった形跡がほとんどないという。
開催にかかる費用は、2011年の招致成功時には6993億ウォン韓元(約758億円)だったが、物価上昇などにより、8200億ウォン(約888億円)にまで膨れ上がっている。
2014年のソチ五輪の510億ドル(約6兆2000億円)に比べれば微々たる額ではあるが、自治体にとっては軽い負担ではない。




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