フィギュアスケートとアイスホッケーが夏季大会で行われていた?
冬季オリンピックは、1924年のフランスのシャモニー・モンブランオリンピックが第1回大会である。
ところが、オリンピックでのフィギュアスケートの初代金メダリストは、冬季オリンピックがスタートする15年以上前の、1908年・ロンドン大会で誕生している。つまり、夏季大会でフィギュアスケートが行われていたということだ。
1908年のロンドンオリンピックでは、陸上競技や水泳、体操といった夏季大会お馴染みの競技に混じって、フィギュアスケートが初めて行われた。
ロンドン大会は4月27日から10月31日という長期間にわたって開催したが、フィギュアスケートは閉幕間際の10月28日と29日の2日間に屋内リンクで行われた。この時金メダルを獲得した選手が、スウェーデンのウルリッヒ・サルコウ。名前を聞いてピンときた人もいるだろう。フィギュアスケートのジャンプの1つ、サルコウジャンプは、彼の名前から付けられたものである。
ウルリッヒ・サルコウは、1901年から1905年、1907年から1911年の計10年間で、世界フィギュアスケート選手権で5連覇2回を含む、10回の優勝をしている。オリンピックでのメダル獲得はロンドン大会の1回だけだが、翌年の1909年には、後世に受け継がれるサルコウジャンプを成功。フィギュア界を語る上でなくてはならない選手なのだ。
現役引退後は、1925年から1937年の間、国際スケート連盟の会長としても活躍している。
アントワープオリンピック(1920年)でも、フィギュアスケートとアイスホッケーが行われた。アイスホッケーは7カ国が参加し、カナダが優勝した。
アイスホッケーの試合が行われたのは4月、オリンピックの閉会式は9月に開かれている。これは氷上種目のために時期をずらしているのではなく、先述のロンドン大会もそうであるように、当時は大会期間そのものが半年くらいの長期開催だったためだ。
4月から競技を実施しているのだから、巌密に言うならば「夏季オリンピック」ではなく「春夏季オリンピック」だったことになる。