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May 19, 2016

2020年オリンピック招致 東京もイスタンブールも国際陸連とディアク親子に振り回された

前IAAF国際陸連会長のラミーヌ・ディアクは、急死したプリモ・ネビオロの後を受けてIAAFの会長に就き16年に渡って務めた。
2020年夏季五輪の開催地が決まったブエノスアイレスでIOC総会が行われた2013年、10人の陸上競技出身のIOC委員がいた。
ラミーヌ・ディアクにとって彼らを束ねることは難しくなかったかもしれない。

東京五輪招致の裏金の問題のそもそもの発端は、女子マラソンのリリア・ショブホワ(ロシア)のドーピングが発覚した際に、彼女がロシア陸連に7000万円を払ったこと。その際に使われたのがシンガポールにあるBLACK TIDINGSの口座だった。

東京と2020年五輪の開催地を争ったのがトルコのイスタンブール。
陸上競技はサッカーを除けば、世界的にも最も人気の高い競技だ。
だが、IAAFの財政を支えているのは日本企業だ。
TBSがIAAFの各選手権の独占放送権を持っているほか、IAAF公式スポンサー7社の内4社(トヨタ、TDK、セイコー、キヤノン)が日本企業だ。
ラミーヌ・ディアクが東京招致に協力するのは明らかかと思われていた。

これに対し、イスタンブールもIAAFに近づいていた。
トルコはそれまでIAAFの公式競技会を開催したことがなかったが、イスタンブールは2012年春に世界室内選手権を開催した。
そして同じ年に行われたロンドン五輪の陸上女子1500mでは、トルコのアスリ・カキルアルプテキンが金メダル、同じくガムゼ・ブルトが銀メダルを獲った。
トルコにとって陸上競技での金メダルは史上初の快挙だった。
ところが、ロンドン五輪の翌年、アスリ・カキルアルプテキンのドーピングが発覚し、やがて金メダルははく奪されることになる。

その時の経緯はこうだ

IAAFのラミン・ディアク前会長の息子でIAAFコンサルタントだったパパマッサタ・ディアクが、ロンドン五輪陸上女子1500mで優勝したアスリ・カキルアルプテキン(トルコ)のドーピング違反をもみ消す見返りに3万5000ユーロ(約450万円)の賄賂を受け取った。
カキルアルプテキンは違反が発覚して昨年(2015年)8月に8年間の資格停止処分と金メダル剥奪が確定した。(毎日新聞16年1月15日)

パパマッサタ・ディアクが、ロシア選手だけでなくトルコの選手をも餌にして私腹を肥やそうとしていたのだ。

IAAFは毎年ダイヤモンドリーグという陸上競技のシリーズを開催している。
五輪や世界陸上とは別にシーズン中に世界各地を転戦し年間総合王者を決めるというもの。
高額な賞金を売りものとし、スキーのW杯に似た形式だと思っていただければいい。
ダイヤモンドリーグはその発足当初からスポンサーのサムスンの名を冠していたが、2011年の世界陸上大邱大会が終わり、サムスンは世界陸上とダイヤモンドリーグの両方のスポンサーを降りることになった。

IAAFのラミン・ディアクはサムスンの後釜となるスポンサー企業を探した。
五輪招致レースをしていたトルコと日本に、IOC総会での票に繋がるから企業を紹介しろと声を掛けた。

トルコからは世界室内陸上でも協賛した携帯会社のTURKCELL、バスケットボールの欧州チャンピオンズリーグの冠スポンサーであるTURKISH AIRLINESに打診したようだが契約には至らず、キヤノンがIAAFのスポンサーに加わった。

この時のことは英国の高級紙THE GUARDIANにも記事がある。
https://www.theguardian.com/sport/2016/jan/14/bidding-2020-tokyo-olympics-IAAF-scandal

イスタンブールは、世界陸上かのダイヤモンドリーグに400万ドル~500万ドルのスポンサーマネーを払わなかったため、トルコはラミン・ディアクのサポートを失った。トランスクリプトによると、日本はこれを支払った。

2012年11月15日 日本の新聞各紙にも以下のような記事が載っている。

キヤノンは14日、来年(2013年)から4年間、世界選手権など国際陸連が主催する15の大会に協賛することを発表した。カメラ、レンズのメンテナンスなどを通じて報道関係者を支援すると同時に、同社の印刷機器などが大会で使用される。

世界陸上はその最初に行われた1983年から日本企業の協賛を得てきた。が、いずれも長期に渡っておりキヤノンの4年間、しかも2013年~16年のみというのは中途半端な時期だ。
キヤノンがIAAFの依頼を受けて協賛したというのは海外メディアも書いている。

2013年6月 地中海競技大会がトルコのメルシンで開催された。
トルコの陸上選手団に30名の大量ドーピング疑惑が浮上し、トルコ陸連の会長は8月に入り責任をとって辞任に追い込まれていく。

トルコの陸上選手のドーピング騒動が、IAAFの協賛を断ったから明るみに出たのか、それとも表に出るのが必然だったのか、それは判らない。

五輪開催地が決まるIOC総会が9月9日。
直前の立候補国のドーピング大量摘発は、招致決定に何らかの影響があっただろうことは想像に難くない。
敢えて書くならば、この時期東京側は、東京からわずか250キロしか離れていない福島第一原発爆発事故由来の汚染水問題が連日テレビを賑わしていたが、招致を争う国の不祥事は東京側にとって有り難かったのは間違いない。

経緯を時系列にしてみた。

2012年3月
世界室内陸上選手権トルコ・イスタンブールで開催

2012年7月
ロンドン五輪開催
女子1500mで、アスリ・カキルアルプテキン(トルコ)金メダル

2012年11月
キヤノンIAAFの公式スポンサーに決定

2013年6月
地中海競技大会がトルコのメルシンで開催
トルコ陸上選手団は30名の大量ドーピング違反

2013年7月
東京 1回目のブラック・タイディングズ社へ1億円の送金

2013年8月
地中海競技大会のドーピング違反の責任を取り、トルコ陸連会長が辞任

2013年8月
ロンドン五輪女子1500m金メダルのアスリ・カキルアルプテキンドーピング発覚

2013年9月
ブラック・タイディングズ社がパリで高級時計などを爆買い

2013年9月
ブエノスアイレスでIOC総会 五輪東京開催決定

2013年10月
東京 2回目のブラック・タイディングズ社へ1.3億円送金

2014年1月 
キヤノン会長御手洗冨士夫氏の東京五輪組織委員会名誉会長就任

2014年9月
IAAF 電通との代理店契約を2029年まで延長

2015年8月
ラミン・ディアクIAAF会長を退任

2015年11月
ラミン・ディアクIAAF前会長 ドーピング絡みの収賄発覚

2016年5月
フランス検察
「2020年東京五輪招致」の名目で、BLACK TIDINGSの口座に2.3億円が支払われていたと公表。

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